RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第五編第一章 反乱と革命の序章

反乱と革命の序章“間奏曲”

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ノアの興味を惹こうと笑顔で話し続ける
エルヴィスの語りが十日目に差し掛かった頃
同じ様に食事を運んで来たエルヴィスは
部屋に居たノアの姿に驚いてお盆を
落としそうになってしまった。

其の理由はノアが立ち上がって居たから。



「おお、ノア!立ってんの初めて見たぜ、少しは元気になったか!?」



エルヴィスはいつもと変わらない笑顔。

なのだが其の声はどうしても普段よりも
弾んで居る様に聞こえてしまう。

テーブルにお盆を二つ置いたエルヴィスは
テーブルの前に胡座を掻いて座り込む。

そして、ノアに声を掛ける。



「食おう、ノア!腹減ったぜ…俺はもう…」



其の言葉にノアは初めてほんの少しだが
笑顔を浮かべると、其れをエルヴィスは
見逃さなかったが、今は口にしなかった。

ノアはエルヴィスに誘われて座り込む。

そして手のひらを合わせて「頂きます!」と
元気良く発したエルヴィスに続いてノアは
小さな声で「頂きます」と口にした。

ノアの声を初めて聞いたエルヴィスは辛抱
堪らず、へへっと笑いフォークを手に持つ。

食べ終わったエルヴィスは満足そうな顔を
浮かべていつも通り小話を始めようとした。

だが、言い掛けた其の声をノアが遮る。



「エルヴィスは…どうして僕に対してこんなに呆れずに話してくれるの…?」



其の声にエルヴィスはニッと笑って話す。



「お?そんなの友達だと思ってっから」



当たり前かの様に発したエルヴィスの言葉に
ノアは理解が及ばず混乱し始めてしまった。



「友達って…僕、ずっと無視してたんだよ…?」


「ここに来る子供はみんな、何かしらの傷を持ってんだ…最初から馴染めるヤツなんかいねーって」


「……そっか…」


「だから、ゆっくりでいいんだよ。段々とみんなに馴染んで行こうぜ。それに怖がるといけねーから一人で来てたがみんなノアを待ってる。新しい友達と早く遊びたいってな!」



エルヴィスの笑顔はノアの暗く冷たい心を
太陽の様に溶かして行くのだった。

ノアは不思議と目から溢れる涙を止める
事が出来ずにボロボロと泣き始めた。

そっとノアの横に移動したエルヴィスが
肩をポンポンと優しく叩いて慰める。

二人はまだ気付いて居ないが寝室の少しだけ
開いた扉から中を覗き込んで居た少女達。

ただ前のめりになり過ぎて勢い良く声を
上げて部屋の中へと倒れ込んでしまう。

うつ伏せに倒れ込んだ二人の少女を見て
エルヴィスは呆れた様に笑って見せた。



「お前等…覗いてやがったな?」



泣きながら其方へ目を向けるノアの目の前で
少女達は痛そうに身体を摩りながら膝を付き
身体だけを起こして目線を合わせた。



「彼女達は…?」


「前に話したろ?」



涙を拭いたノアは何かを思い出した様に
目を合わせながら口を開いて行く。



「ピョンと跳ねるアドリーさんに…天然のジョセフィーヌさん??」



首を傾げて言葉を発したノアを見て突如
エルヴィスは高笑いを始めて居た。




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