167 / 729
第五編第一章 反乱と革命の序章
反乱と革命の序章“前奏曲”
しおりを挟む「…いいでしょう。穏やかな話ではありませんので…努努、希望など抱きませぬ様に…」
ザックの言葉に全員が息を呑む。
そしてザックがアルバムの一ページを開く。
其処に映って居たのは満面の笑みを浮かべて
気圧された様に顔を赤らめるノアの肩を抱く
エルヴィスの姿が見て取れた。
「当時二人は十歳…一足先に此のピースハウスへとやって来ていたエルヴィスと此の歳に此処を訪れたノアとのお話から…」
ザックは緩りと瞳を閉じる。
物語は十五年前に遡って行く。
ノアが十歳の頃、両親が殺された。
手を掛けたのは何とノアの兄。
両親が死に、兄はノアの前から姿を消した。
そして一人になったノアはザックに救われて
此の孤児村ピースハウスへとやって来た。
当時のノアは其の記憶に苦しみ、孤児村へ
やって来てからも一人足を抱き抱え寝室の
ベッドの上でうずくまる蹲る日々を過ごす。
其の当時、ノアを気に掛けたのはザック達
職員は当然の事だが子供達の中にもノアを
寝室から引っ張り出そうと動く子が居た。
其れが、十歳当時のエルヴィスだった。
寝室の中へと足を向けるエルヴィスの手には
食事が盛り付けられたお盆が持たれている。
「よう、ノアだっけ?少しは食わねぇと元気なんか出ねーぞ」
ノアが蹲るベッドの前で足を止めるとお盆を
置いてノアの顔を覗き込むエルヴィス。
ノアは声を発さずにエルヴィスの顔を見て
咄嗟に怯えた様にシーツを被り縮こまる。
エルヴィスがノアに声を掛けた初日は
ノアからの返答は無かった。
だが、其の日からエルヴィスは食事の度に
ノアの元へと足を運んでは食事を置いて
必死に語りかけて行く日々が始まった。
「昨日は悪かったな…。自己紹介もしないでよ。俺はエルヴィス、ノアとは同い年って聞いてるぜ?飯食ってみんなと外で遊ばねぇか?」
だが、ノアからの返答は無い。
しかし日を重ねるごとにノアの反応はほんの
少しずつでも変わって行くのだった。
食事が少しずつだが摂れる様になったノア。
其れを見たエルヴィスは毎食の様にノアの
目の前で笑顔で食事をする様になった。
エルヴィスが現れてもシーツを被って震える
事が無くなって来たのを見てエルヴィスは
嬉しそうな表情を浮かべて話し始める。
其れは孤児村に居る他の同い年達の話。
ティアという少女は生まれ持った様な気品が
あるのだが、どこか抜けていて天然。
其の日も皆で大掃除中だったのだが職員に
「後はハンカチに名前を付けてね」と言われ
間違わない様に自分の名前を書く時間が
あったのだがティアは一人悩み抜いた末に
「ジョセフィーヌ」という名前を付けて皆の
大爆笑を掻っ攫っていた。
本人は其の事に気が付いて居ないのだが。
またアドリーという少女は十歳にしては
とても落ち着きのある大人びた少女。
なのだが、午後の演習で森の中へと散歩を
しに行った時の事、怖がるティアを背中で
守って勇敢に先頭を歩いていたアドリーの
目の前で突然ピョンと跳ねたカエルを見て
アドリーも同じ様に怖がって跳ねて居た。
其の後は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに
肩を丸めていたらしい。
エルヴィスの独り言の様な話にノアは
段々と耳を傾ける様になって行く。
60
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる