RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第五編第一章 反乱と革命の序章

森の街での再会

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静かに風に揺れる森林地帯の道を轟々と唸る
エンジン音を掻き鳴らしてバギーが走る。

砂漠の大地から一転、広大な緑が生い茂る
地帯へと踏み込んだU・Jの愛車はロード
達を乗せて其の車輪を前へと回して行く。

此処は森の街フォレストール。

街北部は雄大な森林地帯となっているが
南部は肥沃な平野が広がる平野地帯。

南北で特色を別ける此の街へロード達が
向かっていた理由とは、孤児村と呼ばれる
戦争孤児達が暮らすピースハウスへと足を
踏み入れる為であった。

其処には、反乱軍総長エルヴィスと革命軍の
総長ノア達が幼少期を過ごして居たらしい。

バギーの中でロードは砂の街であった事を
皆に解き明かして行く中でシャーレとポアラ
も二人の総長の親友関係には驚いていた。

U・Jが言うには其の二人の幼少期を知る男
が今も孤児村ピースハウスで働いている。

此の対立関係の根っこを知る為にほんの少し
の緊張感と真実を知る事の絶対的な不安を
胸に辿り着く其の時を刻々と待っている。

そして、エンジン音が弱まりU・Jがバギー
をとある赤い壁の施設の前で停めた。

其処の施設は窓の大きなログハウス。

ロード達はU・Jが持って来た孤児村への
支援物資を手分けして隣の倉庫付近へと
並べている最中にポアラが何かに気付く。

するとポアラは笑顔で走り出す。

そして、一人の女性に抱き付いて見せた。



「わぁ、シェリーちゃん!なんでここに居るのっ?」


「はわわわわわっ…ポアラ様こそっ、驚きましたっ!」



ポアラが走って駆け寄り抱き付いた相手は
何と風の街で一度別れる事となったバルモア
の王家ノスタルジア家の王女、シェリー。

ロードとシャーレも其れに気付くと驚きの
表情を浮かべて近寄って行く。



「皆様、お揃いの様で」


「レザノフさんも…まさか此処でまた会えるとは」



シェリーの後ろに控えて居た執事レザノフが
丁寧に首を曲げて会釈をするとシャーレが
片手を上げて其れに応える。



「ロード様っ、シャーレ様もっ」


「シェリー…!革命軍の所にいたんじゃ…」


「はいっ、ティア様に此処まで送って頂きましたっ…ティア様は何やらここには顔を出しづらいと仰って居ましたので今は私達だけですけど」



ロードは其れを聞いて一つ思い出す。

此処で幼少期を過ごしたのはエルヴィスと
ノアだけではなくティアもそうであった。

生まれ育った場所に顔を出しづらい、何故
そんな状況になっているか疑問は止まない。



「なあ、ロード」



そんな折シャーレが小声で話し掛けて来る。



「ポアラとシェリー、女の子同士は簡単に抱き合えて羨ましいな…何だか色々柔らかそうでドキドキしてしまう」


「相変わらずだな、オメェはよ…!」



ロードはシャーレの頭を小突いてツッコミを
入れるが何処かこういうくだらない事すらも
何だか久しぶりに感じてしまうのだった。
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