RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第四編第三章 親を探す最大の手掛かり

溜め込まれたチカラ

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また戦場は遺跡内へと戻る。

ギフトの覚醒である毒睨豪蛇ポイズンコブラを披露したスネイクに
相対するロードが探し求めた男ランス。

二人の激闘が今決着を迎えようとしていた。



「いやはや…覚醒のチカラとは本当に素晴らしい…膂力、そして脚力…人体の力が此れ程迄に増幅する…堪りませぬな此れは…!」



ロードは其の光景に恐怖する。

ランスの巨体がスネイクの細い左腕一本で
軽々と首を持たれ持ち上げられており、肩の
コブラがランスを喰らおうと舌を伸ばす。



「(ヤベェ…助けねぇと…クソ…足が震えてやがる…!)」



ランスを助けたい、其の思いをスネイクから
滲み出る根源的な恐怖に依って邪魔をされて
しまい震える足を動かせずにいた。

だが何とか前に進もうとした其の時だった。



「終わりかのう?スネイクよ…!」


「…何ッ…?」



スネイクに持ち上げられ、だらんと身体の力が抜け切っていたランスが突如として目と
身体に精気を宿して言い放って見せた。

全身から朱色の稲妻を解き放って見せた
ランスを前にスネイクは一度距離を取る。



「…あー…痛いのう。何発も何発も食ろうてしまったってーの…ほんじゃ仕切り直しと行こうかのう…」


「…まさか…」



スネイクは何かに気付いた所で初めて焦りを
其の表情に出して見せると、身構える。



「見よや見よやァ…!ランス・テラモーノの大立ち回りィ…第二幕の開演じゃァ!!」



ランスの身体から朱色の波動が流れ出す。



「迅雷覚醒“剛羆降雷グリズリーボルテックス”!!」



ランスの身体がみるみる内に増強され大きく
筋肉が膨張されて行くと共に歌舞伎役者の
朱色の隈取りが身体と顔に施される。

右手に構えた大槍が朱色の稲妻により強靭に
コーティングされると左手は羆の爪の様に
鋭く研ぎ澄まされて行く。



羆槍ゆうそうランス・テラモーノ…老け込んではァ来たが…隠居してる暇はねーんだってのォ!!」



覚醒を見せつけたランスは槍に膨大な量の
朱色の稲妻を模した迅雷のギフトを纏う。

其のギフトの量はロードが見た中で一番の
質量でありスネイクのチカラを圧倒している
と一瞬にして気付かされて居た。

そう、此れは迅雷のギフトの特性“蓄電”。

序盤から攻勢に転じず、スネイクの猛攻に
耐え続けて来たのは此の特性を使う為。

蓄電とはギフトの流れて行くチカラを抑え
体内で溜め込む事が出来る特性の事だ。

其の溜め込まれたチカラを今正に放とうと
槍を構えるランスを見てスネイクは其の威力
を長年の戦闘経験値から弾き出してしまう。



「見よや見よやァ…此れが王家に轟く天下の一本槍だっての…!!!!」



ランスの槍から衝撃の一撃が放たれ
遺跡内に轟音が激しく響き渡った。
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