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第四編第三章 親を探す最大の手掛かり
命を掛ける価値
しおりを挟む一方、マムナック遺跡の入り口付近の砂漠で
武を競う反乱軍ガルダと帝国軍のオーズの
激闘は一層の激しさを増していた。
「…ヒック…強いねぇ…あっしの前でそんなに自由気ままに動くたぁ…!」
顔の横に付けていた鬼の面を顔に付け直し
棘付きのメイスを振るいながら大地のギフト
の特性“振動”を用いてガルダを翻弄する少将
オーズ・サーヴェント。
ガルダは其の攻撃に退く事はせず正面から
鉄パイプをぶん回して攻め続ける。
「あァ!?俺様の動きを止められるとでも思ってんなら…そりゃあ思い違いだ…コノヤローッ!!」
オーズはガルダの鉄パイプが振るわれると
共に吹き荒れる疾風のギフトの特性“裂傷”
によりジワジワと疲弊していく。
其処でオーズはメイスを足元に思い切り振り
下ろすと此れ迄とは比べ物にならない振動を
起こして一度遺跡の上部へ退避する。
すると、腰を下ろし瓢箪の酒に口を付ける。
「あァ!?テメェ…逃げてんじゃねェぞ…!!」
「…ヒック…おかしいねェ…あっしの見立てじゃあ…人の下に付く様な器には見えないんだよねェ…あんた然り副長のウィルフィン然りねェ…うぃ~…」
「其れァ…ウチの総長の事言ってんのかァ!?」
此れ迄、猛攻を止める事をしなかったガルダ
がふと放ったオーズの言葉に立ち止まる。
「…ヒック…そうさね。他にも元牛鬼組の組長アドラスとかよ…良く纏めあげたもんだねェ…そんなに凄い男なのかい…エルヴィスってのァ…」
「オッサンよォ…ウチの総長馬鹿にしてんならヤキ入れんぞ…。総長であるエルヴィスにはよォ…命を賭ける価値があらァ…!」
ガルダが放つ言葉にオーズは黙り込む。
「年齢じゃねぇ…強いヤツが上に立つのが筋…だけど総長の強いってのは腕っ節だけだと思うんじゃねぇぞ…仲間想いな優しさも人の為に身体を張れる根性も…何もかもテッペンだ…!」
「…心酔してるねェ…ヒック…」
「俺様も俺様の部下共も…敵対してた筈の総長に救われたァ…ヤツはァ…誰かの為になり振り構わず傷付きやがる…」
「…トップとしては脆いよ…それじゃあ…うぃ~…」
ガルダはオーズの言葉に拳を握り締めると
誓う様に全身全霊で叫ぶと鉄パイプをくるり
と回してギフトのチカラを解放して行く。
「あァ!?だから俺様達が支えんだろうが…ヤツを失う事は此の国の終わりだって俺様達ァマジで考えてんだよォ!!!!」
ガルダの波動とギフトのチカラが膨れ上がる
のを確認したオーズは緩りと立ち上がり掌を
ガルダに向けて差し出し口を開く。
「おぉーっとォ…覚醒を相手にするのは今日は望んじゃァ居ないんだ…ヒック…もう帰らせて貰うよォ…」
オーズが引き起こした振動によりガルダは
片足のバランスを崩しよろめいてしまう。
そして膝を付いて遺跡の上部を見上げた時に
は既にオーズの姿は消えてしまっていた。
「あァ!?マジで逃げやがった…舐めやがってェ…!」
ガルダは砂漠の砂を思い切り蹴って悔しさ
を露わにして其の場に胡座をかいて座った。
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