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第四編第一章 護国の旗を掲げる男
反乱軍副長の憎しみの種“処刑”
しおりを挟むお祭りムードの村にあって其の平穏の時は
半日しか続く事は無かった、其れは何故か
ウィルフィンの父アーウィンがバルモア軍に
捕らえられ、公開処刑されると決まった。
村から目と鼻の先だった戦場との位置関係が
相まってしまい其の公開処刑は直ぐ近くの
漁港の港で執行されると敵軍が宣言する。
情報屋の人間が其の情報を持って村へと
知らせに来てくれたのだった。
アーウィンが討ち取った敵将の大幹部は
バルモア国大貴族の現当主だった事もあり
敵軍の怒りは相当な物だった様で此の様な
無残な処刑の執行が取り決められたらしい。
執行は翌日の昼十二時。
お祭りムードだった村の意気消沈さは
言うまでも無いだろう。
咽び泣く爺さんに抱かれてウィルフィンは
未だ事の次第を理解出来ずに居るのだった。
そして運命の時刻となってしまう。
世話をしてくれていた爺さんはウィルフィン
の事を連れて行けないと判断し、出掛けると
嘯いて英雄への手向けだと処刑場へ向かう。
其処には何本も何本も繋げられ建てられた
竹のバリケードが張られ、其の奥には両手を
木の十字架に縛られ磔にされたアーウィンの
姿があり、其の姿は暴行を幾重も浴びた事を
直ぐに理解出来る程の無残な姿であった。
「おお…何という事じゃ…アーウィンよ…」
英雄アーウィンの死に際を一目其の目に
焼き付けようと集った村の人々は怒りと
悔しさ、憎しみ、様々な負の感情を
巡らせて涙を止め度無く流す。
「テメェみたいなゴミ屑の為にこんだけの人間が泣いてらぁ…勿体無ェ、勿体無ェ…」
「貴様の死が惨く、より酷く残酷であればある程にあの方は天国で報われるのだ」
意地汚く縛り上げられたアーウィンの周りを
処刑用の槍を持ってニタニタと嫌な笑みを
浮かべながらくるくると回る処刑人が二人。
「…父ちゃん…?」
英雄アーウィンの処刑場に居る筈の無い
少年の姿を確認したのはアーウィン本人と
爺さんの二人だけであった。
直ぐに爺さんが慌てた様にウィルフィンの
口を手のひらで抑えて隠す様に縮こまる。
「何故来たのじゃ…ウィルフィン…」
ウィルフィンは子供ながらに大人達の
異様さを感じ取ったのだろう、村から
後ろを尾けて来て居たのだった。
「(悪ィな…ウィル…母ちゃんも父ちゃんも逝くには早過ぎるよな…悪ィなぁ…ぐっ…ちゃんと家に帰らねぇクソ親父でよ……ッ)」
磔にされたまま涙を流すアーウィンを見て
処刑人達が腹を抱えて嘲り笑う。
此処を地獄と呼ばす何と呼ぶのだろうか。
「(少しぐらい…ウィル…お前に対して話してやりたい…ッ…だけどよ…ッ名前を呼んだらウィル迄殺されちまう…其れはダメだ…)」
アーウィンは心の中で贖罪を込めた言葉を
届けられない辛さに胸が締め付けられる。
そして処刑人の槍の鋒が双方とも
英雄アーウィンのに向けて突きつけられた。
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