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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い
交わる炎と風
しおりを挟む「こ、これは…?」
ヨハネとウィルフィンが激突する場所へと
流れる波動の強さを頼りに辿り着くロード。
ロードは革命軍の撤退を目的に動いていたが
此処が目的の場所では無いと理解はするも
倒れている言わば因縁の男ウィルフィンを
見て、息を呑んで黙り込む。
「き…貴様はロード。何故、此処に…?」
「アンタは…ウィルフィン…!」
地べたに這いずりながら血塗れの姿で
ロードを一瞥したウィルフィン。
其の姿にロードは驚きを隠せない。
あれ程強かった男が目の前の帝国軍の男に
全くと言っていい程に歯が立って居ない。
ヨハネとウィルフィンの姿を見れば今此の
場にやってきたロードでも一目瞭然だった。
「…革命軍でも反乱軍でも無い…只の一般人か?退がれ、此処は貴様の様な者が来る場所では無い…」
ヨハネはロードを冷たい眼で一瞥すると
ウィルフィンの元に静かに歩み寄る。
すると手に持ったレイピア型の刀をうつ伏せ
で倒れ込むウィルフィンに突き立てる。
「捕らえても良いのだが…口だけは立派だった貴様を讃え、此処を死に場所にしてやろう」
ヨハネはレイピアを振り上げると突き刺す
様に其の凶刃をウィルフィンの背中に向け
鋒を振り下ろす、ウィルフィンは自身の死を
覚悟し、緩りと静かに瞳を閉じた。
だが、レイピアはウィルフィンに届く事無く
刀同士がぶつかる甲高い金属音だけが静かな
密林に響き渡ると、驚いたウィルフィンは
顔をぐっと上げて、其の光景に目を向ける。
「何してる…?貴様」
「…わかんねぇ…わかんねぇけど身体が動いちまった…!」
ウィルフィンの頭上では敵であった筈の
ロードがヨハネの刀を受け止めて居た。
「邪魔をするな、無関係の者よ」
「はっ…目の前で人が殺されそうなのに黙って見てろってか?…理由はまだわかんねぇけど其れがおかしい事ぐらいなら解るぜ?」
ロードは刀から真紅の炎を噴き上がらせると
ヨハネは其の熱量の高さに一度距離を取る。
「立てるか?ウィルフィン」
「貴様は何をしているのか解っているのか…?俺はシェリー姫の命を狙う…」
「…ごちゃごちゃうるせェ!!…話はここを切り抜けてからだ…!」
ウィルフィンは力を振り絞り腕で支えて
傷だらけの身体を起こし、立ち上がる。
「なら、少し力を貸せ…!貴様は全力で炎をヤツにぶつけろ…俺の風を纏わせて一撃を強化する…!」
「へっ…そんな事やった事ねぇから頼むぜッ!?ウィルフィン…!」
無言で頷いたウィルフィンを見て、ロードは
全力を以て業火のギフトを解放すると純度の
高い高火力の炎の斬撃が袈裟懸けの向きに
振り下ろされ、ヨハネに襲い掛かって行く。
其れに合わせてウィルフィンは其の炎に片手
を伸ばして漆黒の風を螺旋の様に纏わせる。
「「行けェェ!!」」
二人の声に呼応し加速する斬撃にヨハネは
黄金色の風の斬撃をぶつけて相殺を狙う。
そして、密林内に大きく音が響き渡る
轟音の大爆発を引き起こした。
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