RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い

反乱軍副長ウィルフィンvs帝国軍中将ヨハネ

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既に傷だらけの状態でヨハネを睨み付ける
ウィルフィンは薄暗い密林の中にあっても
力強く漆黒の風を纏うと前へと出る。

ヨハネは其れを迎え撃つ様にレイピア型の
大業物、艶光剣あでのみつるぎを華麗に振るってウィルフィンの
攻撃を捌き切って行く。

激しい音を奏でて吹き行く漆黒の風の中で
ほんの少しではあるが焦りを顔に浮かべる
ウィルフィンと表情を崩さないヨハネ。

どちらが優勢か、其れは言う迄も無い。

そんな状況が続く中、ヨハネはレイピア型の
刀と身体にウィルフィンと同じ種類となる
疾風のギフトを纏うと風で加速した刀を振り
ウィルフィンの身体ごと吹き飛ばす。

呻き声を上げながら密林に生い茂る大樹に
背中から衝突したウィルフィンは口から
血を吐きズルズルと地面に向かって落ちる。

緩り緩りと身体がずり落ち、臀部から地面に
触れ、肩で息をしながら痛みを堪える。

そんなウィルフィンの視界の先には華麗に
吹き荒れる黄金色(黄金の様に光る黄色)の
風を纏うウィルフィンが近寄って来る。



「同じギフトの力でも所詮は此の程度…。やはり貴様は美しくない…。貴様の異名は確か…闇蝙蝠やみこうもり…我の異名は舞鷹ぶよう……」


「其れがどうした…?」


「どう足掻こうとも蝙蝠は鷹より高くは舞えぬ。其れが我と貴様の埋め切れぬ差だ…」



ヨハネが冷たく吐き捨てる様に言い放った
言葉を聞いてウィルフィンは緩り緩りと
よろめく身体を腕で支えながら立ち上がる。



「確かに…蝙蝠は悠然と空を舞う鷹の様に美しく舞う事は出来ないだろう…だが蝙蝠は特殊な其の技能で此の暗闇を跳ぶ事が出来る…」


「負け惜しみだな…醜い者よ」


「俺が蝙蝠で貴様が鷹なら…暗闇こそ今此の逆境だ…必ず突破口を見つけ出し貴様を倒すッ!!」



ウィルフィンは風を纏った其の足で痛みに
軋む身体に鞭を打ちながら高速で周囲の樹の
幹を蹴りヨハネの隙を窺って行く。

そして、一瞬の隙を見つけたウィルフィンは
脇に仕舞い込んだ刀を構えてヨハネの頭上
から一撃に見舞おうと斬り込んで行く。



「…だから貴様は美しく無いと言うのだ…」


「な、何……?」



微動だにしないヨハネの足元から激しく
巻き上がった黄金色の竜巻がウィルフィンの
身体を切り裂きながら巻き込んで行く。

ヨハネの背後で消えて行く竜巻の中で
傷だらけのウィルフィンが落下する。

どすん、と痛ましい音を上げて地面に消灯
したウィルフィンは薄れ行く意識の中でも
必死に痛みを堪えて立ち上がる。



「其の往生際の悪さも醜さの一つだ…」


「俺が死ぬのはこんな所じゃ無い…」


「笑止…。詰まらぬ男だ、ウィルフィン・フィンドールよ…」



ウィルフィンとヨハネ、勝負の大勢はほぼ
決まっているであろう、其の戦場に勢い良く
走り込んで来る男の姿があった。

二人は其の男を目にして動きを止める。
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