RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三篇第二章 一脈の幕間

進退両難の状況

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ルームBから出たポアラとヴィスタは
丁度同じタイミングで通路へと現れた
シャーレとレザノフと遭遇する。



「お疲れ様、ポアラ。そっちはどうだった?」



シャーレに声を掛けられたポアラは自分の
話よりも先にシャーレの表情から何かを
察知して、手を後ろに組むとやらしい顔を
浮かべてシャーレに質問返しする。



「おやおやぁ?スケベのシャーレさんは上手く行ったみたいな顔ですな…」


「ふふ、まあね。其の様子だとポアラも…」


「も、って事はシャーレもだね。イェーイ!ギフトゲットだよっ、もうハッピー!」


「ポアラ。ヴィスタみたいになってるね」



二人は一歩を踏み出した事に際限無く
悦びを表して互いを褒め合った。

そんな中で、ふとルームCに入った
ロードの状況が気になり、四人は連れ立って
ルームCへと向かう事となった。

ウキウキした表情で扉を開けた四人には
想像を絶する光景が広がっていた。

大きな音を立てて壁へと衝突して
倒れ込む血だらけのロードを発見する。




「「ロードッ!?」」



シャーレとポアラはロードの名前を
叫ぶ様に呼ぶと駆け寄ろうと走り出す。



「待った待ーった…お前さん達…!」


「あ、アフロ!?」


「おお、派手なお人だな…」



ウォッカを初めて見た二人は驚いていたが
倒れたロードを一瞥すると今の此の状況が
ふざけられる程生優しい物では無いと悟る。

ウォッカに静止された二人は血に染まる
ロードを心配そうに見つめた。



「卵は卵だな。なあ?ロード。俺っちの攻撃はお前さんのより重いだろ?」


「ぐっ…ニャロウ…!」


「お前さんは本当にロックじゃねぇ。口だけで心の中は悩みと不安のオンパレードだ…俺っち達みたいにギフトを使いこなす自信がねぇんだろ?」



ウォッカとの間にどういうやり取りが
あったかは不明だが、ロードは完全に
技も心も体も全てウォッカに押し負けた。

折られた様に唇を噛むだけで立ち上がれない
其の姿が全てを物語ってくれていた。



「反乱軍のギルドとやり合った…ウィルフィンとやり合った…其れが俺っちの前で倒れてるお前なんだが…良く生きてられたな…」


「…るせぇ…!」


「殺す価値無し…そんな風に思われちまったんだろうなあ…」


「…るせぇってんだよ…!!」



荒々しく叫んだロードの言葉にウォッカは
両手を軽く開いて溜め息を漏らす。



「今日の所は終いにしようや。今は…自分に何が足りないから卵呼ばわりされてんのか。考えてみろ…やる気があるならまた明日見てやるよ…」



疲れた疲れた、と言葉を吐きながら
ウォッカ自身も何かのフラレストーションを
溜め込んだかの様に身体を伸ばして
部屋から緩りと出て行ってしまう。

ロードは両手両膝を着いたままで動けずに
居たが、シャーレやポアラに連れられて
何とか治療室へ向かって行くのだった。
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