RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三篇第二章 一脈の幕間

大地を揺らす武道の拳

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シャーレとレザノフの修行に一段落が
着いた隣のルームBではポアラが目覚ましい
成長を遂げた姿を披露していた。

ヴィスタの宙を舞う幾つもの黄色い葉を
避けては穿ち、ポアラは全ての攻撃を
其の拳で力強く砕いて行く。



「ワオ…ポアラ。ナイスな調子だよ…でも防戦一方で其処からどうするんだい?」


「諦めが悪くて負けず嫌いなのがアタシのいいとこなの…!」



ヴィスタの言葉にも動揺は見られない。

ポアラは確りと地に足を付けて来るべき
チャンスの到来を待っていた。

其の中にあっても留まる事は無いヴィスタの
黄色い葉の攻撃を拳を振るって防いで行く。



「ロードといい、シャーレといい。ポアラもそうさ…何がそこまでユー達を動かすんだい?ユーは何を求めてる?」


「えへへっ、本当はね。アタシはシェリーみたいに女子力の高い可愛い女の子になりたいの…!でもね…アタシの生まれ持った性格は負けず嫌いの酷い泣き虫…!」



修行中とは思えない程、ポアラの表情は
晴れやかな笑顔に包まれて居た。



「求めてる物とはアナザーな人物像を目指すのかい?」


「アタシは…会ったばかりのアタシやアタシの師匠の為に身体を張ってくれたカッコいいあの二人みたいになりたいの…付いてくだけはイヤ…いつかはアタシがあの二人を護りたい…!!」



ポアラの言葉が目覚めの瞬間を引き寄せる。

体内の波動が翠色のオーラとなって初めて
ポアラの身体の外へと流れ出て行った。

其のオーラの発現と同時にヴィスタが
放っていた黄色の葉の全てが床へと
無造作に落下して行く。



「……!ワオ…其れがユーのチカラかい?」


「…これは…!」



突然オーラを纏ったポアラは自身の姿に
驚きを浮かべて身体中に細かく目を向ける。

気付けば新しい服を買ってそれを着た時の
様に笑顔でくるくると回っていた。



「ユーに授けられた力は…“大地のギフト”…!まるで大地の上でダンスするフェアリーみたいになったね、ポアラ」


「フェアリー…って妖精?」



ヴィスタの言葉にピタっと動きを止めた
ポアラはほんの少し顔を赤らめて口に
手を当ててクスクスと笑みを浮かべた。



「やーっぱりヴィスタは何だかキザな人…」



まんざらでも無い表情を浮かべたポアラが
緩りと体現したギフトの力を解いて行く。

そして、ヴィスタの元へ歩み寄ると
頭を軽く下げて笑顔を見せた。



「ありがとうっ、ヴィスタっ」


「ワオ!とびっきりキュートな笑顔ね。仲間の為にストロングに戦うフェアリーなんて素敵じゃないか」


「女子力とはまた違うけど…嬉しい。チカラをどんどん磨いて行くねっ」



ポアラは“大地のギフト”を目覚めさせた。

シャーレと共に自身の悩みを払拭し
新たな成長を見せてくれたのだった。
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