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第三篇第二章 一脈の幕間
流水躍る演舞の剣士
しおりを挟む場面はルームAに戻る。
其処ではレザノフの弾丸で更に傷付いた
シャーレの姿があったが、息は切れ
体力の限界に近付いて居た。
だが、シャーレの眼は死なぬまま。
覚悟がシャーレの身体を突き動かす。
「そろそろ、終わりにするべきなのは重々承知ですが、私からは今辞める事は選択しません。気付いてるでしょう?シャーレ殿。自身の変化に…」
レザノフの言葉に改めて自身に目を向ける
シャーレは体内の波動の流れを初めて
自身の感覚で認識できる様になっていた。
「…はぁ…はぁ…何かが変わった…此れは…」
「目覚めの時…そう捉えても良い物でしょう…ですから、今は辞めません。追い込みますので其のチカラを手にして見せなさい!シャーレ殿…!」
レザノフの二丁拳銃の銃口から鈍色の
オーラを纏った弾丸が連射される。
シャーレは足をふらつかせながらも其の
弾丸を円の様に振り上げた青龍刀で弾き
前へと足を強く踏み出して行く。
「(私は…ロードに助けられた…。そして、シェリーの件でポアラの事も苦しめた…そんな私に出来る事は強くなって仲間の助けになる事だ…!!)」
心中で描いたシャーレの覚悟は形を成す。
レザノフの放たれた弾丸がシャーレの
身体に激突した其の瞬間だった。
シャーレの身体が青い水の塊となって
弾丸衝突の勢いで、飛散する。
レザノフの意識の外側、正に死角の
背後から青い水が出現し、其の水が
シャーレの姿へと変貌して行く。
「貰った…!」
「水の幻影…分身の力ですか…!」
シャーレの気配を感じ取ったレザノフは
またも右腕と拳銃を硬化させて攻撃を防ぐ。
其の瞬間に二人は動きを止めた。
「…今のは…?」
「素晴らしい。若さ故の成長速度、今のは流水のギフトのチカラですよ。シャーレ殿」
「流水のギフト…。隙を突くしかないと考えた思考が水の変わり身となった…」
シャーレは自身の分身が弾丸を受けて
飛散した位置に目を向けると身体の変化に
驚きを隠せず、其の場に座り込む。
「…シャーレ殿。本日は此処までにしましょう。痛かったでしょう?済みません…」
「いや…レザノフさんのお陰でギフトを手に出来ました…。此処から先はどうしたら?」
「もう先の話を…貪欲ですね。若い方は…。扱いの熟練度を上げながらギフトの絶対値を上げる作業です。シャーレ殿の言う通り、此処から、ですよ?」
「…ええ。ですがこんなに早く掴めるとは…強運さはロードにも負けていないか…」
伸ばされたレザノフの手を握ると確かな
達成感を胸に晴れやかな表情を、浮かべて
シャーレは勢い良く立ち上がる。
ルームAの修行場ではシャーレが念願の
ギフトのチカラ“流水のギフト”を授かった。
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