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第三篇第二章 一脈の幕間
シャーレvsレザノフ
しおりを挟むルームAでは対峙していたレザノフと
シャーレが何やら言葉を交わして居た。
「レザノフさんから見て。私のギフト授与は遠い未来に感じますか?」
レザノフはシャーレの言葉に目を細めて
体内の波動にじっくりと目を凝らす。
「…いえ。もう間も無く…とも言っても良いでしょう…ですが、其の狭間の状態から授かる事が叶うかはシャーレ殿次第ですね」
「正直…ロードに先を行かれて焦りはあります。私が彼の後ろでは良くない、必ず背中を預けられる強さを手にしなくては…」
「若さとは力。其の覚悟、受け止めさせて頂きます…」
シャーレの言葉にほんの少し笑みを浮かべた
レザノフが意を決した様に鈍色とも呼べる
灰色のオーラを、纏って行く。
「鉄鏡のギフト…此の力を解放する事で私は鋼の弾丸を精製する事が出来ます…シャーレ殿が力を得る為に私も鬼となりましょう」
其の言葉の直後にレザノフの銃から
鋼の弾丸が放たれ、其の銃弾がシャーレの
胸元を直撃し、呻き声と共に膝を付く。
「ぐっ…成る程。…身体は貫いて来ないが何て重さなんだ…!」
「終わりではありませんよ…!」
レザノフはそのまま二丁拳銃を胸の前で
交差させて構えると鋼の弾丸を連射する。
シャーレは危険を察知して横に転がりながら
弾丸を避けると青龍刀で弾きながらレザノフ
の懐目掛けて走り込んで行く。
回避と弾丸を弾く事を続けながら走る
シャーレだったが、中々レザノフの元に
辿り着けず、途中で違和感に気付く。
「…まさか…」
「恐らく違和感の正体は正解だと思います。ギフトの力を使えば銃を使う上で最も隙が出来やすい状況を無用に出来ます」
「弾を切らす心配が無いのか…」
シャーレの違和感とは、対銃戦に於いて
必ず行われる装填の瞬間が無かった事。
銃には本来、込められる弾数には限りが
有り其のリロードのタイミングこそ銃を
扱う者にとって最大の隙となり得る。
だが、体内の波動を媒介として精製される
鋼の弾丸は疲労や怪我による波動の乱れが
無ければ尽きる事は無い。
言わば無限装填の弾丸の嵐。
シャーレは対ギフトに於いて生身で
立ち向かう事の無謀さを感じて居た。
だが、目は死んで居ない。
「恐怖を捨てろ…。私は強くなりたい…見据えるのはもう…前だけで充分さ…」
シャーレが足に込めた力を解放した瞬間に
一気に加速した速度で襲い掛かる剣撃が
レザノフに向かって行く。
速度で圧されたレザノフの弾丸は全て外れ
シャーレの青龍刀による真横への薙ぎ払いが
レザノフに襲い掛かって行く。
「貰った…!」
「甘いですね…まだまだ」
シャーレの渾身の一撃をレザノフは硬化した
拳銃で軽く受け止めると、一気に薙ぎ払い
シャーレの身体ごと吹き飛ばして見せた。
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