RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三篇第一章 革命家との邂逅

間隙に放たれる一箭

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酒場町カンピオンノールから海辺へと
向かう林道でロードとギルドの戦いは
熾烈を極める様に激しく火花を散らす。

何度も何度も攻勢に転じるロードとは
対照的に迎え撃っては其れを防ぎ切る
ギルドだが息一つ乱しては居ない。

成長を見せるロードだったが、反乱軍幹部
ギルド・ラーケイドとのぶつかり合いには
大きな力の差が見せつけられる内容だった。

そんな折、荒く息を乱したロードが
またも馬鹿正直に真正面からギルドへと
ぶつかる様に地面を蹴った。

だが、ロードはギルドとの間を綺麗に
射抜いた一本の空の様な水色の氷の矢に
よって動きを止めると距離を取る。



「何だ…ッ!?」


「そこまで…はぁ…手間を掛けさせないで。ギルド…!」



地面に撃ち込まれた空色の氷の矢が溶けて
行く其の場に一人の女性がふわりと宙を
飛んで緩りと片足で降り立って見せる。

ロードは其の女性を見て直ぐに目の前に
降り立った彼女が何者なのかに気付く。

何故なら反乱軍の軍服を纏っていたからだ。

矢と同じ様な空色の髪を黒いリボンで
ツインテールに縛り、袖の無いタイプの
団服を纏ったミニスカ、ニーハイの女性は
ロードを一瞥するとギルドに呆れ返った
冷たい目線を送って口を開く。



「ギルド…貴方ね…こんな所で何を油売ってるのよ…はぁ…疲れる…」


「おお…小娘じゃねぇか。元気そうだな、オイ!ロード、紹介するぜ?コイツはウチの頭の良い小娘だ」



ロードはギルドから掛けられた言葉に
口をあんぐりと開けて黙り込む。



「はぁ…それ。本当に紹介してるつもり?」


「ん?何か問題あったか?」


「いや…紹介って普通、名前とかなんじゃねぇか…?」



何故か危険を感じない其の場の空気に
当てられてロードは刀を仕舞うと緩りと
二人の元へ歩を進めて行く。



「…ん?確かにそうだ。お前も中々オツムが切れるじゃねぇかよ」


「…そうか?」


「不毛な会話ね。…はぁ…溜息が止まらない…。そんな事より貴方、何で集合場所に来ないのよ…?」



相変わらず冷たい表情と冷たい言葉で
女性から投げ掛けられる言葉にギルドは
此方も相も変わらず笑いながら答える。



「そんなもん。愉しくなって戦ってたからに決まってんだろ?小娘」


「貴方ね、五十手前になって…そんな子供じみた言い訳は通用しないわ…はぁ…本当に疲れる…」



額に手を当てて困り果てた其の女性の
後ろでギルドは首を傾げて不思議がる。



「小娘、どうした?俺はツイてたんだ、だから戦ってた。なんか変か?なあ?オイ」


「…俺に振るか?それを…」



突如話が振られたロードも困った様に
苦笑いを浮かべていると其の女性がロードに
向かって向き直り口を開く。



「大方…ウチのギルドから売られた、喧嘩だったんでしょ?悪かったわね…光の街から来て早々に…」


「…何でそれを?」



ロードが正に今日、光の街セイントピアから
此処、風の街ヴェントへ着いた事を知って
いた其の女性をロードは訝しむ。
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