RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
93 / 894
第三篇第一章 革命家との邂逅

護国師団反乱軍幹部 ギルド・ラーケイド

しおりを挟む


ロードは何度も地面を蹴ってはギルドに
向けて其の刀を振るっては飛ばされる。

一度もギルドにはロードの刀は届かない。

だが、ギルドはロードの刀に纏われる
真紅の炎の火力が上昇している事に気付く。



「…強くなってんな…テメェ、さっきからよォ…」


「そいつァどうも…褒めてもこの刀はやれねぇけどな…!」



ニッと、笑みを浮かべて言葉を放つ
ロードの表情を見てギルドも笑う。



「…チッ…そいつァ諦めるしか無ェか」


「…は?随分あっさり諦めてくれんだな」


「そらそうよ。其の刀は良い持ち主に選ばれた…活き活きしてやがる」


「はっ…刀を生き物みてぇに言うんだな、アンタは…!」



ロードの言葉にギルドは少し沈黙を
挟んだ後でまた、緩りと口を開く。



「俺ァ、今は反乱軍に属してるが…昔はただの刀鍛冶だったんだよ。毎日毎日バカみてぇに刀を鍛えてはああでも無い、こうでも無いってな…」


「刀マニアは本当だったんだな」


「ああ。だがそんな中で気付いた事がある。名刀ってのは良い持ち主に巡り逢えてこそ名刀たり得る…其の刀も前の所有者の威光もあって最上大業物の位を手にした…」



ロードは手に握った刀に目を向ける。

そして刀に意志が宿る、生きている、そう
言われると無いとは言い切れない。

そんな風に感じていた。



「じゃあ何でアンタは今、反乱軍に?」


「俺は此の国の文化が他国を受け入れた事で薄れて行くんじゃねーかと考えた…いつかは、此の国の伝統が消え、銃の発展の様に…武器すら近未来化して行く。刀なんて時代遅れ…そんな時代が来るのかもしれない…」


「確かに、色んな武器はあるな…特に海外製は鍛錬が少なくて済む物も多い…」


「だから俺ァ、護りてぇんだ。此の刀って文化を…只の戦争の道具としてでは無くな…」



ロードは反乱軍の掲げる護国の意志を
其の言葉から理解をする。

ギルドにとっては何代も何代をも超えて
培い、磨いてきた其の伝統、文化こそ
反乱軍の掲げる護国の意志だと。



「アンタ、さっき刀は生きてる風に話したよな…?」


「ああ。刀も良い侍の手に掛かれば其の力を最大限に発揮する、生きてるんだよ。刀と侍は深く繋がってなァ…」


「刀は侍の魂に呼応する。ならアンタみてぇな侍が居る限り、刀は変化の波になんざ負けねェだろ!?」



ギルドはロードの言葉に、はっとする。



「刀の文化が仮に終わる時があったらよ…其れは他国の文化を受け入れた時じゃねぇ。侍の魂がこの国から消えた時だッ!!!」


「……ッ!良く言ったァ。若き侍よォ!!」



ロードが一歩踏み出し今出来る最大火力で
ギフトへと斬り掛かり、其れをギルドも
全力で応戦し、鍔迫り合いが起こる。

其の両者のぶつかり合いで其の場の
空気、大地が激しく揺れた。

しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

死にかけたら謎のステータスが見える様になった件。

メカ
ファンタジー
大学二回生の青年「掛井 嗣仁」は、ある日事故に合う。 凡そ1か月後、目を覚ました彼の眼には「謎の数字」が見えていた。 そして「ソレ」が次第に、彼の生活を崩壊させていく・・・。 元の生活に戻る為、何も分からないまま歩み続けるしかなかった・・・。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

処理中です...