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第二編第三章 護る為の決意
傭兵武族 死蜘蛛狂天
しおりを挟む「ロード殿。邪念は取り払う事をお勧め致しますよ」
「ほう。其方の御仁はこんなくだらないお色気は通じないか」
仮面の女性は銃を構えたレザノフを見て
臨戦体勢に入り、時を待つ様に止まる。
「…っが…!くだらないお色気だと?舐めやがって…」
ロードは意を決して仮面の女性の方に
目を向けると、仮面の女性はチラリと
胸元の布を捲って見せる。
「…ぶっ…チクショー…な、何でアレに反応しちまうんだ…っ」
「童貞くん、君は本当に反応が可愛いな…」
勢い良く鼻血を噴き出して膝から崩れ
落ちたロードは片手で鼻を押さえて居た。
「ロード。こんな時にふしだらだと思うが其れは致し方無い。本当に君は強運だ、羨ましい…」
「開き直るなっ…自覚済みスケベ…!」
緊迫した場面の筈なのだが、ポアラにまたも
腹に肘を入れられたシャーレが倒れ込むと
仮面の女性は首を曲げて言葉を発する。
「其処の御仁、バルモアの護衛隊にはコント集団も雇っているのか…?」
「若さ故、そう捉えて置きましょう」
「まあ、いい。コントも面白かったぞ。其処の童貞くんと後ろの女たらしくん」
仮面の女性が揺らりと手を上げようとすると
周りに控えて居た仮面の人間達が腰を低く
構え直すと同時に、レザノフとヴィスタは
総攻撃に備えて集中を高める。
其の時だった。
まだ上がり切って居ない仮面の女性の手を
突如現れた外套の男が自身の手で押さえる。
攻勢に転じようとして居た周りの人間達は
動揺した姿も見せながら、動きを止める。
「…まさか。ディル様…!」
「フフフ…カグラ。此処は退きましょう。皆も武器を仕舞いなさい」
「この声、どこかで聞いたよね…」
戦いを止めた外套の男の声に反応した
ポアラの言葉にロードとシャーレも気付く。
すると、外套の男はカグラと呼ばれた仮面の
女性から手を離すと仮面の人間達がディルと
呼ばれた外套の男の後ろに集まり一斉に
膝をついて、頭を下げた。
其の外套の男は揺らりとフードを外すと
ロード達の前に其の姿を現す。
「テメェ…あん時の…!」
「フフフ…大変だった様だな。赤髪御一行諸君…」
ロード達は記憶を遡る。
そして光の街セイントピアへ辿り着いた
初日の飯屋で遭遇した一人の外套の男との
記憶で回想を止めると目の前に立つ其の男が
其の時の人物であると認識する。
赤い毛先を風に靡かせて蛇の様な目付きに
ロード達は其の日の恐怖を思い出す。
「ユーは何者だい?」
後方から先頭へ向かって来たヴィスタが
ディルと呼ばれた男に質問を投げ掛ける。
「フフフ…我等は傭兵武族・死蜘蛛狂天…そして私はディル・ウォンリザード…」
「傭兵…ユー達は誰かに雇われて此処にいるんだね」
「フフフ…まあ。そんな所だ…」
目の前に現れた外套の男はディルと名乗る。
辻斬り事件の犯人であるとロード達が
目論んだ男の正体は傭兵武族。
その傭兵武族は新たに王女シェリーの
命を狙う組織だとロード達は知る。
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