RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第二編第三章 護る為の決意

林道の急襲

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「我等の目的は隣国バルモアの王女シェリー・ノスタルジア。大人しく差し出して貰おう」


其の人間の発した声から女性と認識出来る。

青い蜘蛛の仮面の集団がジリジリと全方位
から馬車を追い詰める様に近付いて来る。



「シャーレ殿、ポアラ殿…馬車の周りを固めて頂きたい。背後は全てヴィスタ殿に任せて前方は私達で対処します。宜しいですか?ロード殿」


「二人が後ろに居てくれりゃあ安心だ。試したい事もあるしな…」



ロードは勢い良く抜刀すると一度目を瞑り
集中を高め、目を見開くと同時に愛刀の
最上大業物鳳炎おおとりのほむらに業火のギフトを宿す。

炎がイメージ通りに纏われた刀を見て
ロードはニヤリと笑みを浮かべる。



「おし!上々だぜ!」



ロードは勢い良く地面を蹴ると一歩前に
出て居た青い蜘蛛の仮面の女性に突っ込む。

そして、脇に仕舞い込む様に構えた刀を
真横に振り切ると、其の仮面の女性は
背後へバックステップで避ける。

すると、腰元から取り出したクナイを持ち
逆に懐へ飛び込んで来ると、ロードは刀で
其れを受け止めて足を踏ん張る。



「シェリーの命を狙って来た今度のアンタ等は何モンなんだよ…!」



其れと同時に外套が風に揺られて女性の
装束姿が露わになると、ロードは何故か
相手の女性の攻撃に押される。



「どうした?…フフ、そんなに気になるか?」



仮面の女性はロードの視線が自身の胸元に
向いていると認識すると片手で装束の胸元を
ほんの少し開いて見せる。



「何言ってやがんだ!こんな時に!!」



ロードは刀を振り切って女性のクナイを
弾くとバックステップで距離を取る。



「余り女性の身体には耐性が無いのか?そうか、君は童貞なのであろう」


「…ぶっ!いいから俺の質問に答えやがれッてんだァ!」


「ロード!君って奴は、羨まし…じゃなかった。女性の胸、それも巨乳に見惚れているとは、ふしだらだぞ!」


「お前じゃねぇんだよッ!黙ってろ、このオープンスケベ野郎ッ!」



顔を真っ赤にしてシャーレの言葉に叫んで
対抗するロードの視線の先でポアラの強烈な
一撃を食らったシャーレが居た。

すると、仮面の女性は外套を脱ぎ去ると
肩に掛かった布をせっせと横にずらして
胸元を敢えて強調した格好へと変わる。



「…ッ!テメェも何やってんだッ!!」


「そんなに叫んで疲れないのか?童貞くん」


「おーし!いい度胸だ、ニャロウが…やってやるよッ!!」


「ロード…アンタ目瞑ってコッチ見てたら戦えないでしょーがッ!!」



何故か仮面の女性へは視線を向けず
後ろを向き、更には目すら力強く瞑って
刀を構えるロードにポアラが叫ぶ。



「ちょっと可愛いが…。でも童貞くん、申し訳ない。死んでくれ…」



ある種戦闘不能のロードに向かって来た
仮面の女性の足元に弾丸が撃ち込まれる。

其の攻撃を避ける様に仮面の女性はまた
距離を取ると、視線の先に片眼鏡の男
レザノフの姿があった。
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