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第二編第三章 護る為の決意
蜘蛛の仮面
しおりを挟む「ねぇ、アタシ達も負けてらんないね」
「ええ。レザノフさん、ギフトの力を授かる為には如何にして行くのが良いんでしょうか?」
ぐっと拳を固めたポアラの言葉を受けて
シャーレは前を歩くレザノフに問い掛ける。
「日々の鍛錬、此れが最もな近道と言えますが、ごく稀に戦いの中で死線を迎えた方が授かる事も有り得ます。此れが今回ロード殿に起こった稀な事象ですね」
「成る程。焦りは禁物と言えど焦りが無いかと聞かれれば無いとは言えないな」
「だね。正直対ギフトの力となった時に対抗出来る術が今んところ無いよ」
ポアラとシャーレは、始まりの街の
コミンチャーレにあるリューグウという
町で戦った犯罪組織ワグラターナの
首領ウィグルとの戦闘を思い返して居た。
「ふふふ、まだ皆さんは若い。経験値が浅く力が足りないのは仕方ない事です。しかし、若さには“成長速度”という大きな武器も秘められています、考え方次第で貴方達は何倍も強くなる、一歩ずつ進みましょう」
レザノフの言葉と、暖かい其の微笑みに
ポアラとシャーレは笑みを浮かべて頷く。
「おおっしゃ!!」
すると其の真横でロードが何やら
ガッツポーズをして叫び始めた。
全員の視線が集まった先でロードは
指をバーナーの様に其の指先から炎を灯す。
「ロード殿、蝋燭にしては大きいですが素晴らしい、呑み込みの早さですね」
「ねぇ、スケベ!やっぱり焦るっ!」
「今私は何故スケベと呼ばれたんだい?」
苦戦をして居たロードだったが、指先から
炎を放出し、其れを留めるというステップへ
踏み出しており、其れを見たポアラが
シャーレの胸元を掴んで悔しそうに言う。
「へへっ、少しコツを掴めて来た…って、うおっ!!」
ロードは突き出して居た人差し指を
仕舞い込んで小さく拳を握って喜んで
居ると目の前で立ち止まったレザノフの
背中に顔面から勢いよくぶつかる。
「ヘイ!ミスター・レザノフ。ゲストの到着みたいだよ!」
「ええ。此方も気付いております。ヴィスタ殿、後方はお任せ致しました!」
「オールライッ!任せてよ」
馬車の後方と前方で意思の疎通を計った
二人が武器を構えると、まだ事の次第を
把握出来て居ないロード達も連れる様に
武器を構えて周りに視線を飛ばす。
「敵襲です。皆さん御助力御願い致します」
レザノフの言葉と共に、馬車の周りの
林の中から三十人程の黒い外套姿の
集団が素早い速度で現れる。
風に揺れる黒マントの下には青藍色の忍びの
様な装束が目に付き、全員の顔には白面に
青い蜘蛛が描かれた仮面が付けられて居る。
「反乱軍…じゃねぇよな。コイツ等…」
「ええ。別の組織の様ですね」
其の場を仕切る者なのか一人の髪を後ろで
結ったポニーテールの人物が一歩前に出る。
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