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第二編第三章 護る為の決意
風の街ヴェントを目指して
しおりを挟む「おーし。行くかァ!」
時は流れて三日後の朝を迎えた。
屋敷を前にシェリーを乗せた馬車を囲んで
バルモアの姫の従者達と共に足を揃える。
革命軍ヴィスタを最後尾に先頭の
レザノフの後ろにロード達は陣取った。
空は雲一つ無い晴天。
行き先は風の街ヴェント。
馬車を引っ張る二頭の馬に合わせて
ロード達は次の目的地に歩を進める。
「そうだ。ロード殿達に、ついでですので少しギフトについてお話しましょうか」
歩みを進める途中でレザノフはロード達に
ギフトについての提案を始める。
「お!頼むよ、レザノフさん」
「ええ。では、先ず私のギフトは“鉄鏡のギフト”ですのでロード殿の得た“業火のギフト”との扱い方とはまるで違う物になります」
レザノフは続ける。
レザノフの得た鉄鏡のギフトの力は
主に物や自身を硬く変化させ其れを
攻撃力や防御力に変換させる力がある。
対してロードの得た業火のギフトには
他と比べても火力を上げて攻撃力に転じる
使われ方が多いと話す。
「へぇ。特徴が違うんですね。そう言えばヴィスタの使っていた“樹木のギフト”の色は黄色かったですよね」
「ええ。シャーレ殿の言う色は本人自身が体内に宿す波動の色です。出てみないと色はわかりませんね」
「そうなんだ。じゃあ偶々ロードの炎は解り易い赤色だったんだね」
「ですね。紫の炎を使う方を私は知って居ますし、色は各々を区別するだけの物ですので余り深くは考えなくても大丈夫です」
レザノフは重要なイメージを説き始める。
ギフトの力は本人のイメージ力で変わる。
だからこそ自由度の高い、本人が望む
戦い方を体現する力であると言える。
「…ん?待て。わからなくなってきた…」
「ウィルフィンは風を刀に纏ってた。其れを其処から放つ事も出来て居た。恐らく何でも出来るという話だ」
「おお!成る程!」
長い話が苦手なロードの扱い方が
何となく解って来たシャーレのナイスな
フォローがあって先に進む。
「中々例を見ない事でしたが、恐らくロード殿は体内の波動の力を全てギフトの力として放出してしまった。だからガス欠が起きたのでしょう。先ずは人差し指に蝋燭程の炎を灯す所から練習してみてはいかがですか?」
「解った。やってみる…」
ロードは道行く道中で人差し指に小さな
炎を灯す練習から始めるが、此れが中々
難しい様で苦戦をしていた。
「小さく小さくって思うと…上手く出せねぇ…コノ感じだと全部出す方が簡単な気がするんだが…」
「(ロード殿の其れは稀有ですよ。本来なら誰しもが蓋を開けた瓶からほんの少し水を垂らすイメージで。緩りと小さく放出する所から始めるんです…其の中でギフトの力の全体量を増やす筈…彼の力は私達と同じ物なのでしょうか?)」
レザノフの中の心の呟きはロードに
隠されている謎を現している様に感じた。
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