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第二編第一章 辻斬り事件
少女の正体
しおりを挟むレザノフに連れられて二人はシェリーの
屋敷へと招かれるまま足を踏み入れる。
郊外に建てられた城の様な屋敷に
二人はロードと同じ様に驚くばかり。
レザノフに頭を下げて挨拶する他の
従者やメイドの様な人間達の横を通って
進む二人は、レザノフの位の高さを
直感で理解していた。
半月型の大階段を抜け、長い廊下の先に
待ち受ける二階の大きな扉。
其処をレザノフが二度ノックをして
両手で押し開けると其の先には綺麗な
ドレスを纏った少女と赤髪の青年。
「お!見つかったんすね?レザノフさん」
「ええ。無事に合流出来て何よりですよ」
物凄い笑顔でシャーレとポアラに手を振る
事態が余り理解出来てない様子のロード。
二人は、ずかずかと足を進めて行くと
何も言葉を発しないまま両側から
ロードの頬を思い切り摘み上げる。
「あだだだだっ、ふがっ、な、なにしやがんだ…!」
「それはアタシ達のセリフじゃなーい?ロードくーん…」
「勝手な行動は慎む事だな…これからは」
「す、すびばせん!すびませんでしたァ!」
宜しい、と言った様に笑顔で手を離した
二人とじんじんと腫れ上がった頬に手を
当てて涙目になったロードを見てシェリー
そしてレザノフが口に手を当てて笑う。
「レザノフさんから話は伺ってます、シェリーさん。此方の馬鹿がご迷惑をお掛けしました」
「はわわっ、そんなそんな。私からしたらお話に付き合って貰って凄く楽しい時間でしたし…」
「…てか、ロード。あの子、なに?もしかしてお姫様…?すっごい可愛くて女子力の塊みたいじゃない?」
シェリーとシャーレが言葉を交わしている
後ろでポアラがロードの耳元でひそひそと
シェリーについて話し始める。
「あっ!それだよッ…シェリー。みんな来たしそろそろ教えて貰えるか?」
何かを思い出した様にロードがシェリーに
声を掛けると、シェリーがレザノフに
目配せをし、レザノフが咳払いをする。
シェリーが何者なのかはロードすら
まだ知り得ておらず、これから伝えられる。
レザノフがシェリーの横に立つとソファに
腰掛ける様に勧められたシャーレとポアラは
ロードの腰掛けるソファに横並びに座る。
「訳あって本来ならばあまり公にはしておりせんお話です」
レザノフの前置きを静かに聞く三人。
そして、レザノフが緩りと続ける。
「我々はプレジアとは別の場所からとある用事でやって参りました。永らくプレジアとは交友関係を進めた歴史の後、現在では冷戦中の状態、隣国バルモアからです」
「バルモア…って…」
「そして、此方にあらせられますは、我々母国バルモアの王家となるノスタルジア家の長女であり王女。将来バルモアを背負って立つ由緒正しき王家の後継者、シェリー姫です」
鎖国状態のプレジアに革命軍が大きな
一手として招いた公使、それは隣国バルモア
の正統後継者である姫君。
其の姫君との邂逅を果たす事となった。
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