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第二編第一章 辻斬り事件
逃走の為の反撃
しおりを挟むロードの手が刀に掛かった事にも気付いて
いたドーマンが表情を変えぬ儘、身構える。
ロードは刀を一気に引き抜くと背後の
ドーマンに向かって反撃の為に足で
思い切りブレーキを掛ける。
振り向き様に刀を横に薙ぎ払ったロードの
攻撃を跳躍して躱すドーマン。
其れを見たロードは下から刀を振り上げ
雄叫びと共にドーマンを攻撃するが
振り下ろしたドーマンの刀と攻撃が交差。
地面に降り立ったドーマンと鍔迫り合いの
状態に持ち込まれてしまう。
「戦う理由は見つかったか?」
「…いや。アンタに何を言っても無駄だってわかっただけだ…問答は埒も無しってヤツだよッ!!」
鍔迫り合いの状態から一気にロードが
刀を押し込んで弾くと、軽く跳躍した
勢いを使ってドーマンの頬辺りへの
回し蹴りを叩き込む。
だが、また籠手に因って攻撃は防がれ
ジンジンとした痛みがロードの足を襲う。
「だから、痛ェし固ェわ!!」
「同じ事を繰り返す猪突猛進さには感服致した」
長刀を持ち替えたドーマンはロードの
腹部に長刀の柄を使って一撃を放つ。
ロードはしゃがみ込んで其の攻撃を
回避すると足払いをしてドーマンの
体勢を崩し、再度蹴りを腹部に叩き込んだ。
籠手での防御も間に合わず、ロードの
攻撃がヒットしたドーマンはまたも
背後へと飛ばされる。
「お主…侍としての剣劇に体術も中々の物だな」
「何言ってやがる…アンタはまるで本気じゃねぇじゃんよ…!ギフトなんて使われたら厄介なんでな。じゃあなドーマン!」
膝を付いて腹部を抱えたドーマンを一瞥
してロードはその場から再度走り出す。
ドーマンも直ぐ様体勢を立て直して
走り出すが、珍しく考え事に浸る。
「波動の流れを感じ取れば其の者の力が大体は読める…あの男、まだ授かってはいない様だが…間も無く…なのかもしれぬな」
ドーマンが犯人らしき人間を追っている。
其の情報は帝国軍の軍兵達にも続々と
知らせを受けて軍が隊列を立て直し
街中を進軍している。
其の軍の声を聞いて、立ち止まる二人の
男女が紙袋に入った食料を持って耳を疑う。
「ねぇ、スケベ。今の聞いた…?」
「ええ。確りスケベと罵られました」
「そこじゃないッ!」
紙袋を持った男は翠の髪の女性から
頭を軽く引っ叩かれる。
「ま、まさかとは思うんだけど。追われてる赤髪の男って…」
「…そのまさか、の可能性は高いさ。何たってヤツと出逢って早一週間、トラブルと呼べる物には全て首を突っ込んでいたからね…」
「もうっ!トラブルばっかりじゃ逞しくなる一方で女子力なんか上がらないよっ」
呆れた表情を浮かべたシャーレとポアラ。
軍兵達の声と行き先を頼りにとほほ、と
読み取れる表情で追う事を決めた。
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