RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第二編第一章 辻斬り事件

街中チェイス

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「チッ…話を聞く気がねぇじゃねーか。サイボーグみたいな真顔貫きやがってよ…」


「問答は埒も無しと知り得た迄の事」



ドーマンが長刀を鞘から引き抜いた瞬間に
ロードは一度間合いを開けようと周りを
見渡して狭い通路を発見すると其処へ
一気に走り込んで逃走を図る。



「アンタとやり合う気はねぇんだよ…」


「逃走…か。抵抗はするなとお頼み申した筈…やはりお主が辻斬りか…!」



ロードを追う様に、ドーマンも長刀を
脇に仕舞い込む様な形で走り出す。

ロードにとってはあの長い武器なら
狭い細道では上手く振れないと判断した。

それならば持ち前のスピードを生かして
逃げ切る事も出来ると踏んだ。

だが、ドーマンは地形に於いて其の長さの
デメリットなど微塵も感じさせない立ち回り
を見せて、ロードを長刀で襲う。



「…ニャロウ…!真顔で軽々振り回すなよ…仕舞うぐらいはしとけ、こんだけ狭いんだから…」


「意に介す程の狭さでも無かろう」


「こんのサイボーグ野郎…真顔が怖ェんだよッ!」



ロードは突如立ち止まると右足で
一気に方向転換を決めるとドーマンの
間合いに潜り込み、右足の蹴りを叩き込む。

腕に嵌めた籠手で其れを防ぐがドーマンは
勢いに押されて後ろへ足を滑らせながら
下がらされて行くが、体勢はブレない。



「…痛ってェ…其の籠手固すぎだろ…」



涙目になりながら脛を押さえるロードを
見てドーマンは真顔のまま長刀を突き立て
緩りと近寄り声を掛ける。



「捕まる気は無いとお見受けするが、闘り合う気にはなったのか?」


「そりゃ見当違いだ。アンタと戦う理由が無ェ…よっ!!」



近くに落ちていた空き缶を足で蹴飛ばし
ドーマンの顔目掛けて飛ばす。

其の空き缶をドーマンは長刀の側面で
弾いて飛ばすと、近くのゴミ箱に綺麗に
収まると同時にまたロードの逃走が始まる。



「…おおっ!ナイスコントロールッ!」


「ゴミはゴミ箱に捨てるのは当然の事」


「…さっすが真面目な軍人さんは違ェな…アイツが変なんだよ…やっぱり…」



ロードの脳裏に褐色サングラスの
ミスター適当男の顔がよぎる。

そんな無駄な思考に気を取られた一瞬で
ドーマンは頭上から長刀を振り下ろす。



「うおおおっ!!ニャロウ…!本気で斬り掛かりやがったな!?」


「抵抗と逃走。罪を重ねる事はもう辞めておくんだ」


「見てみろコラッ!善良って文字が見えるぐらい無実だ俺はッ!!」


「残念だが…拙者には理解し得ぬ事の様だ」



ドーマンの追撃は止まない。

ロードは真顔のサイボーグ男の表情を見て
深い溜息を吐きながら、セイントピア本町の
裏通りを駆け抜けて行く。



「チクショー…アイツ等の忠告聞いときゃ良かったな…」



背を向けた儘、ロードは致し方無しと
ばかりに背の刀の柄に手を掛ける。
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