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第一編第三章 蔓延る悪意
次なる進路
しおりを挟むU・Jが行った一連の行動にロードと
シャーレは開いた口が塞がらない。
「どうやらご馳走になってしまったみたいですね。とぼけてる割に確りした人の様です」
サバネは、既に去ったU・Jの背中を
追う様に、玄関口に視線を送る。
「ゆ、U・Jの癖にちょっと。ちょっとだけカッコいいじゃねぇかよ…」
「…はっ!マオさんの頬が赤らんでいる…おのれU・Jめ…」
「いや、お前のその感覚はどーなのよ?」
呆れた様にシャーレの顔を覗き込む
ロードは、サバネの声に首を向ける。
「ロード君達はこの後は何処に向かうのですか?」
「いや、行き当たりばったりなんだよ…当てが無くてな」
すると、サバネが緩りと言葉を続ける。
此のリューグウの町から西へ真っ直ぐ進み
また町を越えた先に水の街へと出る。
また、北西へ向かい此の先の山道を進み
山を一つ越えると光の街の入り口に出ると
サバネはロードに伝える。
「山か…越えるのに何日ぐらいかかんの?」
「早くて三日程でしょうか?」
「そんなら、山を越えて光の街とやらに次は向かうぜ。山なら食いモンがタダだ」
随分とアグレッシブな考えを口にした
ロードの意向で明日の朝一番に出立が
決まり、マオの計らいもあって一晩を
マオの食事処で過ごす事となった。
「私は此処で抜けさせて貰います。整理する物がまだあるので」
「サバネさんのお陰で麻薬事件を放置せずに済んだ。強運な事にな」
「はは、なんかもう正義の味方みたいな言い方になってる。スケベのくせに」
「またどっかで会おうな!サバネさん!」
「ええ、またいずれ…」
サバネは全員に挨拶を済ませると扉を
開けて食事処を後にした。
そして、疲れの中眠りに付いた三人は
また改めて次の街へ向かう英気を養う。
ワグラターナとの激闘。
ギフトという力の事。
成長の余地を残して三人は各々で
強くなると心に誓っていた。
ーーーそして、夜が明ける。
「皆さん、本当にありがとうございました!皆さんの、おかげでまた元気に暮らせますっ!」
「ししし、いいって…!」
「マオさんもお元気で。また此処に来る事があれば寄らせて貰うよ」
別れの言葉を伝えてマオに背を向けた瞬間に
ポアラが一人、マオの元へ戻る。
「マオちゃん…。U・Jにアタックして上手く行ったら教えてね?」
「な、な、なに言ってるんですか、ポアラさんっ!!」
悪戯な笑みを浮かべたポアラの言葉に
マオの表情が真っ赤に染まる。
「わっ…その顔の紅潮はものすっごい女子力高いっ!上手くいく!頑張れっ!」
ポアラはそう言い残して手を振りながら
ロード達の元へ駆け寄った。
ポアラの言葉は勘違いか否か。
マオの表情からはまんざらでもない
そんな予感がしてしまう。
「何話してたんだ?」
「内緒っ」
何やら、るんるんとしたポアラに二人は
笑みを浮かべながらリューグウを後にする。
次の目的地は、光の街セイントピアだ。
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