RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一編第三章 蔓延る悪意

プレジアの情勢

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「うげっ…ビールって苦いのな…」


「だはははッ!まだまだお子ちゃまの舌だなあ、ロード君」


「ニャロウ…やんのかッ!?」



初めてのビールに苦戦していたロードは
U・Jに茶化されていた。



「今日初めてあったとは思えない仲の良さですね…」


「あ、マオちゃんもそう思う?似た物同士なのよね多分、あの二人」



料理と追加のお酒を運んで来たマオと
ポアラも今日初めてなのだが、此方も既に
仲良しと言った話の交わし方をしている。



「え!?知ってますよ。ドノバンと伯盛一家を陥落させたのってロード君とシャーレ君なんですか!?」


「はは、ロードに手伝って貰ってなんとかさ」



サバネはシャーレとロードが起こした
ドノバンの一件について、シャーレと
興奮気味に話していた。

そうこうしている内にテーブルは
いつの間にやらマオが腕を奮った
手料理で埋め尽くされて行く。

夜も更けて行く中、激戦の後に目の前の
テーブルに並べられた酒と料理に舌鼓を
打つ五人を見て、暗い表情を浮かべて
出逢ったマオも笑顔に包まれる。

マオの父を含め町民を襲った“SD6”という
麻薬を売り捌いていたワグラターナの
恐怖から解放されたのだから無理もない。



「でも不思議な物だ。ロードと出逢ってから数日で反乱軍のアドラスに革命軍のアレンと言葉を交わし、帝国軍の少将とも酒を飲んでいるのだからな」


「へぇ、お前等、アイツらに会ったのか」



シャーレが溢した一言に因ってその場の
話題が塗り替えられて行く。

各々で会話を楽しんでいた一同だったが
気付けば其の話題に集中し始めた。

所謂、此のプレジア国の国家情勢の話に。



「ブラッド少将から見て、反乱軍と革命軍はどんな存在なのですか?」


「だはは、インタビューみてぇだな。記者さんよ」


「勿論、野暮な真似はしません。オフレコですよ、少将」


「そうだな…」



サバネの質問にU・Jが手元のお猪口を
傾けながら、言葉を発して行く。



「今此のプレジアは、革命軍、反乱軍、そして帝国軍。三つの軍旗を中心とした紛争の真っ只中にある」



U・Jは前置きを置いて、続ける。

革命軍とは、現在冷戦中の隣国バルモアとの
関係性を取り戻すと共に鎖国を解き、外界の
国々の文化を取り入れ、国を発展させて行き
プレジアの未来を明るくする事が目的。

対して反乱軍は、戦争に因って受けた傷が
原動力となる者が多く、革命軍のやり方では
無く、自分達の武力を持って此の国の
文化や伝統を護り続ける事を掲げている。



「結局、進む道が違うだけで、プレジアっていう故郷を守りたい。そこは一緒なんだな」


「お、ロード君は良い事言うな」



ロードの相槌となった言葉を訊いて
U・Jは自ら所属する組織、帝国軍に
ついて緩りと口を開いて行く。



「自分自身、看板背負っといてアレなんだがな。その二つと比べちゃあよ。帝国軍は迷走してるかもしれねぇな」



とっくりからお猪口に酒を注ぐと
U・Jは言葉を続けて行く。
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