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第一編第三章 蔓延る悪意
不思議な宴席
しおりを挟むウィグルのギフトの力から解放されたマオを
其の腕で抱えロード達に歩み寄るU・J。
そして自分の足でマオを立たせると
ロード達が囲んで話し始める。
「大丈夫でしたか?マオさん」
「心配したよ、マオちゃん。何でこんな所に来てたの?」
「あ、あの。皆さんが心配で…勢い余って場所をお教えしましたが、どんどん不安になってしまい…」
マオが今にも泣き出しそうな声で話すのを
三人は、ホッとした表情で見ていた。
「まあ、でもよ。U・Jが来なかったら今回は危なかったかもな…助かったよ」
「よしよし。ちゃんとお礼が言えて偉いぞ?若者」
「ガキ扱いすんなッ!」
U・Jに頭をポンとされてイライラを
隠せないロードとのコントの様な一幕に
周りが笑いに包まれていた。
そこに、現場保存と状況証拠の整理を
終えたパイロとサバネが合流する。
そんなタイミングでマオが突然深々と
頭を下げて言葉を述べる。
「皆さんのおかげで父も報われました…どうかウチに寄って行ってはくれませんか?ご馳走させて下さい!!」
ロード達が顔を見合わせて笑みを浮かべる。
「マオちゃん!いいの?お腹ペコペコだよ、あたし」
「ええ。是非ご相伴に預かりましょう。マオさんの料理を頂けるなどとても強運です」
「ラッキー!腹減ったな、サバネさん!」
「ええ、何だか終わりを迎えてホッと致しましたね」
其々が盛り上がりを見せている中U・Jは
パイロの元に何やら物欲しそうな顔で
近付いて行くと、パイロが溜息を吐く。
「全く…はいはい。行きたいんでしょう?貴方も。余りはしゃぎ過ぎて恥を晒さぬ様に…。後始末は私の方でしておきますから。お疲れ様でした」
パイロはU・Jに背を向けたまま
手を挙げ合図するとその場から離れて行く。
「え。それじゃ何か悪いじゃねぇか」
「いつもの事でしょう?貴方が適当なおかげで私達の部隊の人間は皆仕事が出来ますから。…U・Jの助力無しには厳しかったですしね、愉しんで」
「P・J!!ありがとう!大好き!」
パイロの後ろで投げキッスのポーズをする
褐色、黒サングラス、コーンロウ男の行動に
また、笑いが起こった。
そんなこんなで残った五人は足並み揃えて
マオが経営する食事処へ、マオの先導に
付いて歩いて行く事となり、着いて早々
マオは“貸し切り”の看板を立てる。
中に入った五人を座らせるとたった一人で
飲み物を出し、厨房に入った。
てきぱきとした流石の手際で料理を
並べて行くマオはイキイキとしていた。
こうして何の縁で集まったか。
「ほんじゃま、お疲れした!乾杯ッ!!」
年長者だったからか、流れで乾杯の
音頭を取ったU・Jの言葉を皮切りにして
流浪人、元義賊、格闘家、帝国兵、記者の
不思議な宴席がスタートした。
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