RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一編第三章 蔓延る悪意

vsワグラターナ “援軍”

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「どうもめんどくせぇ事はサボりたくなるもんだろ?“P・J”」



振り返った其の男はバリバリのコーンロウに
黒いサングラスに褐色の肌。

羽織の下に着込んだのは金のストライプの
スーツに襟をスーツから出した派手な
黄色の柄シャツと何とも特徴の多い男。



「P・Jは恥ずかしいから止めてくれと何度も言ってるでしょう」


「めんどくせぇからP・Jで良いんだよ、お前は」



とても長い十手を肩に乗せて低い声を
発する其の男に全員の視線が集まっていた。



「えーっとそこの帽子のアンタ、P・Jと一緒に奥の部屋調べて来な。記者かなんかだろう?」


「何故、それを?」



其のコーンロウの男が指差したのはサバネの
尻のポケットに入れられたメモ帳だった。



「メモ帳にペン、落ちた時に大事そうに締まってたからな。勘だよ、ただの」


「後から来てテメェは…俺の存在忘れてんのか?U・J…」



U・Jと呼ばれたコーンロウの男は
ウィグルに向き直ると口を開く。



「本当なら忘れときてぇんだけどよ、めんどくせぇがそうは行かねぇ。でもまあ俺が出て来たんだ、終わりなんだよアンタは」



十手をワグラターナ総帥ウィグルに
向けた瞬間に、パイロはサバネの肩を支え
ウィグルの出て来た奥の部屋に向かう。

ウィグルは蔓を発生させて、パイロと
サバネに襲い掛かるが、U・Jは瞬時に
十手でその蔓を両断する。

其の姿に倒れ込んだままのロード達は
驚きの表情を浮かべる。

ギフトの力相手に、U・Jは何と武器
一つで其れを抑え込んでいたからだ。



「早くヤツ等を始末したいなら俺を始末しなきゃな?犯罪組織の目付きガンギマリ兄さん」


「抜かせッ!政府の犬が…!!」



ウィグルの足元から出現した大量の
蔓が一気にU・Jを襲う。

其のU・Jは何故か背を向けてロード達に
視線を向けて話し始める。



「安心していいぞ?俺の後ろは比較的安全だからな」


「いや、アンタ!後ろ、後ろッ!!」



ロードが叫ぶのも無理はない。

ウィグルの放った“樹木のギフト”其の力に
因って生み出された蔓の触手がU・Jの
真後ろに迫っていたからだ。

だが、それもほんの一瞬の出来事。

彼が振り返り構えた十手の乱舞に因って
全ての蔓の触手は叩き落とされ、其の光景に
其の場に居た全員が唖然とする。



「言ったろ?終わりなんだよアンタは」



其の次の瞬間には、U・Jに間合いを
詰められたウィグルが何かを発しようと
口を開いたが、言葉すら述べられぬまま
上段から振り下ろされた十手の一撃で
背中から畳に倒れ込む。

其のまま意識を失ったウィグル。

唖然としたまま動けないロード達の視線を
受けながら、十手を肩に乗っける其の男。

国王直下帝国軍“少将”
ユーリック・ジャクソン・ブラッド
通称“U・J”ブラッドが此の場を収めた。
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