RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一編第三章 蔓延る悪意

悪意の巣窟

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マオから伝えられた決死の情報を頼りに
一行は、ワグラターナが隠れ蓑としている
賭場の入り口を探す。

飲み屋が幾つか並ぶ通りの脇道へと
進む一行の前に唯一つ看板の出ていない
シャッターの降りた場所を発見する。



「ここですね、きっと」



サバネの言葉を聞いてシャッターの
前で立ち止まった一行の中でポアラが
緩りと先頭へ足を進める。

するとポアラはシャッターを五度
ノックして見せる。



「………便りは見つかったか?」



多少の間隔を開けてシャッターの奥から
低い男の声が聞こえて来る。



「……書斎の机上の上に…」


「……便りには何と?」


「……花椿を探して西へ」


「…入れ」



シャッターの奥の男と緊張気味のポアラの
会話が途切れるとシャッターが開く。



「…っ…ぷはっ…緊張したぁ…」


「ポアラさん、完璧だったよ」


「おお。あんなの良く覚えられるな」



ポアラを讃えるシャーレの後ろでロードは
あっけらかんとした表情で言ってのける。

そして、何とか合言葉をクリアした
一行はシャッターの奥の長い下り階段を
緩り緩りと進んで行く。

地下何階辺りまで来ただろうか、と
言うぐらいには階段を降りた一行の
前に重厚な扉が現れる。

顔を合わせ意思を示し合わせた一行は
其の扉を開き中へと足を踏み入れる。

其処には、全面畳と仕切りが立ち並ぶ
和装な大部屋があった。

ロード達は周りを注意深く確認しながら
中へ中へと足を運んで行く。

すると、周りの客人や労業の人間達の
嫌な視線を感じ始める。



「な、なんか見られてない?アタシ達」


「ええ、そのようですね」


「私達に何か不審な点でもあったろだろうか…」


「さあな。まあ歓迎ムードには見えねぇよな、流石によ」



一行が四方其々に視線を飛ばして居る最中
近くに現れたのは一人の労働者の姿だった。



「アンタ等、此処は初めてか?」



だらけた着物の着方をした無精髭の
男が顎を摩りながら声を掛けて来る。



「初めて、だと何か問題があるか?」


「……いや。こんな若い人間達がどうやって合言葉を知ったのかと疑問に思ってな」


「知り合いのツテですよ。今日は其の知り合いは来ないみたいですがね」



ロードと無精髭の男の会話に後ろから
前へと足を進めたサバネが割り込む。



「…そうか。なら其の知り合いとやらにも教えといてやれ…此処は武器の持ち込みは禁止だ…ガキ共…」



無精髭の男の言葉にしまったとばかりに
舌打ちをしたロード達は身構える。

無精髭の男が腰に帯に差した鞘から刀を
抜こうとした瞬間に周りの仕切りが勢い良く
倒され、数十人という浪人達が現れる。

賭場には悲鳴が湧き、客人達が慌てて
賭場の出口に向けて走り出す。

此の状況の中でもロード達は退け無い。

逆に好ましい状況だと考えたロードは
一歩前に出ると口を開く。



「アンタ等、ワグラ何とかってヤツだろ?ボスの元に案内してもらうぜ」


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