RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一編第三章 蔓延る悪意

決死の告げ口

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「マジか?」


「みんな話してくれなくて困ってたの、マオちゃん、ありがとうっ!」


「其れは仕方ないです…。ワグラターナの連中は其の名前を口にする事すら禁じています…禁を破った者が見せしめに磔にされていたのを何度か目にしてリューグウの町民は怯えて暮らしているのです…」



マオの言葉を聞いて町民がワグラターナの
事を聞かれて困っていた理由が繋がる。

ロードの表情に怒りが湧き出る。



「マオ、お前は話して大丈夫なのか?」


「勇気を振り絞りました…ワグラターナを憎んでいる…ので…」



マオの瞳に涙が溜め込まれたのを見て
ロード達は事情を察する。



「ワグラターナは…SD6を包み隠そうとしなかった…薬屋を演じて此のリューグウにばら撒いたのです…」


「な、なに…?」


「私の父は病弱な所を突かれて、SD6の症状で十日苦しんだ後に、一昨日亡くなりました…っ…!」



マオの瞳から耐えていた涙が一気に
ぽろぽろと零れ落ちるのが見える。



「マオ!…辛いならもう話すなッ!」


「そうよ。マオちゃん、ありがとうね?話してくれて」



ロードとポアラは泣き出したマオに寄り添い
声を掛け始めたが、もっとも直ぐに声を
掛けそうなシャーレは黙り込んでいた。



「必ず暴き出します。マオさん、お辛いでしょうが、奴等の居所だけ教えてください」


「は、はい…ぐすっ…地図をお書きします…お待ちを…」



涙を袖で拭ったマオは地図を書く為に
裏へと下がって行った。



「ぶっ飛ばさなきゃいけねぇな」


「うん、あたしも頑張る。マオちゃんの為にも」


「うん?シャーレさん、どうかしましたか?」



一人俯き黙り込むシャーレに声を掛けた
サバネに気が付いた二人もシャーレに
目を向けて、眺めている。



「ワグラターナ…許せぬ…。マオさんを泣かせて悪事を働く外道共め…」


「お、おお。ブチギレてる…」



シャーレの背中に燃え上がる炎が
見えるんでは無いかと言うぐらいに
シャーレは打倒ワグラターナに燃えていた。



「サバネさん、居所がわかったらワグラターナは俺等で何とかする…バッチリ、スクープ頼むぜ?」


「ええ、真実をお届けしますよ」



言葉を交わして居る間に、ポアラは
奥で筆を走らせていたマオに寄り添う。

そして、マオから地図を受け取った
ポアラはワグラターナの本拠地がおそらく
裏の賭場にあると知り、隠れ蓑には
うってつけだと感じていた。

ポアラに地図を渡したマオが全員の
前で口を開いて、言葉を述べる。



「ワグラターナの本拠地は、違法の賭場です…合言葉もありますので覚えて下さい」



マオから場所の地図、合言葉を伝えられた
ロード達は日も落ちたリューグウの町へ
繰り出し、裏の賭場への侵入を試みる。




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