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第一編第三章 蔓延る悪意
人類が手にした力の名
しおりを挟む「サバネさん。もう一個知ってたら教えて欲しいんだけど…さっきのアレンって奴が使ったのか?さっきの“水の攻撃”みたいなやつ」
「其れは私も気になっていた」
ロードがサバネに対してした質問に
寄ってきたシャーレにロードが目を向ける。
「…って、うおおおっっ!ビックリした、何だその顔ッ!!」
ロードの視線の先には右の顔面が大きく
腫れ上がったシャーレが居た。
「いや、ポアラとのスキンシップをだな…」
「ポアラ…もう少し手加減してやれよ…」
「だ、だって急に抱きつこうとするんだもん、このスケベが!」
「あー…じゃあシャーレ。お前が悪い」
何だか話の腰を折られたロードは
髪をガシガシと掻くとサバネに向き直す。
「はは、仲良しですね。まあ話を戻して結論から述べると彼が出した攻撃に間違いないです」
先程出した“水の攻撃が”アレンによるもの
だと判明し、三人は驚きの表情を浮かべる。
「彼の口から先程“波動”という言葉が出たでしょう?あれは…」
“波動”其れは、人間誰しもが先天的に
体内に生まれた時から備える力である。
其れは言わば体力であり、腕力。
脚力、思考力に至るまで人間が体現する
力の源であると言われている。
そして、波動を極める。
噛み砕いて伝えるならば心・技・体
其の全てを鍛え上げた先に後天的に
手にする力がある。
其の力の名はーー。
「“ギフト”そう呼ばれています」
「ギフト…?」
“ギフト”とは波動を極めた人間が達する
言わば人類の第二ステージ。
其の力は、十種に別れて居る。
“業火のギフト”
“閃光のギフト”
“迅雷のギフト”
“疾風のギフト”
“氷雪のギフト”
“暗黒のギフト”
“樹木のギフト”
“流水のギフト”
“鉄鏡のギフト”
“大地のギフト”
かつては唯一神と呼ばれた神が手にした
十種の神器が神話として残されており
此の力が初めて顕現された人類が出現した頃
“神から授かる力”と崇められた事から
“ギフト”という名が付けられた。
「とまあ、最後の方は言い伝えなんだけど、ってあれ?大丈夫?ロード君」
サバネの説明が終わった頃、ロードは
何やらふらふらとよろけながら目を
ぐるぐると回していた。
「君は…自分から聞いたのだろう?」
「長い話、苦手だったんだね。ふふ、可愛い」
ボンっと、頭の中で何かが爆発したような
状態でロードは困っていた。
「サバネさん。其のギフトと呼ばれている力には差はあるのか?」
「各々特徴はあるんだけど、まあ其れは今はやめておきましょう。ロード君には無理そうですし」
「…ですね」
複数人を一斉に仕留めたギフトの力。
鍛錬の先に手にする事が出来ると知り
此の先強者を前にした時には必要となる。
シャーレとポアラは鍛錬は欠かせないと
脳で理解していた。ーが。
ロードが此れを理解するのは
もう少し時間が必要だ、と周りは
しみじみと考えていた。
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