RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一編第三章 蔓延る悪意

麻薬を追うもう一人の男

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サバネと共に麻薬を持って逃げる男を
追っているとやっとその男を発見する。

男は、古びた倉庫の中に息を切らして
逃げ込んで行った。



「やっと見つけました」


「行こうぜ?」



一行は其の倉庫の中に男を追って
駆け込むと其処には十人程の集団が
群れを成していた。



「何、アンタら?」



集団の一人がロード達に気付くと
ワラワラと集団が揃って近付いて来る。



「忘れもんだぜ、アンタ。コレ麻薬なんだってな?使い道教えてもらえるか?」



ロードが突き出した麻薬の袋を見せつけると
集団の一人が息を切らして走って来た
男を無言で思い切り蹴飛ばす。



「運びの仕事も務まらねぇかよ、テメェには」


「…ぐっ…す、すみません」


「四人も消さなきゃなんねーのか。仕事増やしやがって」


一行を囲む様に距離を詰めて来る集団を
見てロード達は武器に手を掛けて身構える。

だが、次の一瞬だった。

陸地であり、倉庫内には有り得ない
青紫色の“水”が弾丸の様に集団を襲う。

ロード達は背後から放たれた水の攻撃に
驚いて視線を向けた先には白い服に身を
包んだ少年が立っているだけだった。

カットラスという西洋の剣を持ち
正面から見て右側のみを編み込んだ短髪。

其の少年が何をしたのか理解出来ぬ
ロード達の横にブーツの音を鳴らして
緩り緩りと近付いて来る。



「俺さ、今回別件でここに居るからさ、あんまり時間掛けてらんないんだよね。S D6なんて馬鹿げた麻薬売り捌いてるテメェんとこのボスどこよ?」



ロード達など、無関係と言った様に
目もくれず、倒れ込む集団の前に立った
その少年の問い掛けにも連中は無言で居た。



「もう少し痛い目見る?…でもさ。人には全員流れてる“波動”の強さを見る限り、勝ち目ないでしょ?吐きなよ…手間だから」


「誰だ?アイツ…」



ロードの言葉にサバネが口を開く。



「こんな所に大物が居たもんですね。彼は“独立師団革命軍”の幹部…吹燕すいえんアレン・ノーザンですよ」


「解説どうも。でもアンタ達、コイツ等と無関係でしょ?悪い事言わないからどっか行きな」


「革命軍…?なんでそんなのが此処に」


「あ、しまった…。一人ぐらい縛り付けるんだったよ」



アレンは目の前の集団達がとある行動の
後、揃って血を吐き出して苦しむ様を見て
溜息を付いて、首を横に振る。



「ねぇ、シャーレ。アイツら何したの?」


「恐らく自決剤でも隠し持って居たのだろう。秘密の漏洩の可能性を鑑みて自殺したのさ」


「呆れた。犯罪組織が要らない忠誠心見せてんじゃ無いっての」



アレンと呼ばれた幹部は、白い粉の入った
包みを拾い上げると、ロードの元に寄る。



「アンタの持ってるソレも渡してよ」


「何で革命軍のアンタがコレを回収してんだ?」


「それ説明必要…?」



手を出してロードを睨み続けるアレンを
見て、サバネが口を開く。



「渡して大丈夫ですよ。彼には」



サバネに言われるとロードはアレンに
手に持っていた麻薬を手渡した。
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