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第一篇第二章 拳術道場の女
二人目の仲間
しおりを挟む旅の同行を決めたポアラは準備があると
言って市場町の外れの自宅に戻った。
合流は明日の朝。
ロード達も準備を整える時間を取る中で
二人は未だマーシャルの墓標の前で手を
合わせていた。
「マーシャルさん。ポアラさんをお借りして行きます」
「約束するよ。アイツが笑って居られる様に俺達が一人にしない…側にいる。だから、見守ってやって欲しい」
二人は緩りと墓標に背を向けると背中越しに
手を上げて挨拶を済ませて町へと移動する。
準備を整え、疲れ切った身体を癒す様に
宿屋で夜を越し、晴れ渡った空の下で
ポアラの到着を待った。
二人の背後からポアラの足音を聞き取り
振り返った先に真新しい服に身を包んだ
ポアラの姿があった。
「お待たせ」
「しししっ、道着でも着物でも無いのは初めて見たな」
袖の無い薄紫の衣服にショートパンツ。
開いた胸元にはサラシが巻かれ、腰に
巻かれた帯は腰の位置で大きめの
蝶々結びで縛られていた。
「悩んだんだけど…動きやすいのがいいかなって?…あ、でも“華”とか言われたからもっと女子力高い服装の方が良かった…?」
「いえ。とっっっても素敵です!ポアラさん」
「だそうだ。似合ってんぜ」
気恥ずかしそうに俯いていたポアラも
二人の反応にちょっとだけ笑みを浮かべる。
そして、昨日で門下生達には事情を説明した事、門下生達の手で道場は建て直す事、更に墓の手入れも受け持ってくれる事。
団子屋は閉める事になったが、門下生は
皆協力的だったとポアラがホッとした様に
説明をするのに耳を傾けていた。
「おし、なら後はポアラが前よりずっと元気になってよ、いつかまた帰って来れる様に頑張らなきゃな」
「うん。もっちろん、マーシャルさんに両親との思い出もあるこの町にもっと大人になって帰ってくるんだ」
「ポアラさんは必ず私が守ります。ご心配無く」
「ちょっと。スケベに守られる程あたし弱く無いからさ、舐めないでよね」
笑顔を見せて歩き出したポアラの背を
追う様に二人も歩き出す。
ポアラと出逢い、道場師範マーシャルとの
別れも経験した此の町カントを後にする。
カントから更に真南へ。
始まりの街コミンチャーレの最南端。
コミンチャーレ最大の漁港にして
鎖国前のかつては、プレジアの中でも
指折りの湊町であったリューグウへ。
流浪人ロードと義賊シャーレの旅に
新たな仲間、武闘家ポアラを加えて
今日も旅路を暇歩く。
「面白くなってきた」
笑みを浮かべたロードが目指す次の町では
どんな出来事が待ち受けて居るのだろうか。
緩りとだが、確りと大地を踏み締めて
一行は進んで行く。
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