RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一篇第一章 旅路の出逢い

目指すは大広間

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大きな音が鳴り響いた通路の逆側では
シャーレが黒スーツの眼鏡の男と相対す。


「向こうは伯盛四天王が一人、大刀のテッサイさんが向かっていましたね。お仲間、其方に向かったんでしょう?」


「其れが何か?」


「可哀想に。今の衝撃から音が止みました。餌食となったお仲間の元へ、貴方も向かわせてあげましょう。此の伯盛四天王の名を授かった二丁拳銃のライがね」


「其の大刀の何やらがやられたとは考えないのかい、彼は強いさ。早く私も先に行かねばな」


「世迷言をッ!」


二丁拳銃から連射される弾丸を前へと
走り込みながら躱し、涼しい顔で眼鏡の男
と間合いを詰めたシャーレは青龍刀の柄と
片手の手刀で器用に弾く。

二丁拳銃を両方とも手から失った眼鏡の男は
一瞬の出来事に呆気に取られ、言葉を失う。


「残念。君の様に話の長い男と悠長に話す余裕は無いのさ」


「や、やめ…」


言葉を待たずして、青龍刀の柄で鳩尾を
殴打し、呻き声を上げて倒れる眼鏡の男が
意識を失うのを見届け、シャーレは緩りと
走り出す。


「伯盛四天王もしかしたら、壊滅したんでは無かろうか。急がねばドノバンの奴、逃げ支度の最中かもしれない」


通路を曲がったシャーレの目に映ったのは
壁に減り込んだ傷だらけの男と壁に
寄り掛かるロードの姿だった。


「フッ、アレが噂の大刀の何やらか?」


「ん?あ、ああ。大刀は使ってなかったがな…」


表情を濁したロードを見てシャーレは
不思議がるが、まあいい、とばかりに
笑みを浮かべる。


「何はともあれ、伯盛四天王とやらは壊滅したみたいだな」


「そっちも居たのか。短時間で合流出来た所見ると…まあ、いいや」


「さあ、行こう」


「おお!」


話し終えた二人は目の前の大きな扉を
片側ずつ開けて、中へと入る。

二人の視界には赤い階段の上で座り込み
侍女の様な女に囲まれた男が二人映る。

片側は、長くて黒い顎髭を摩りながら
此方を睨む目付きの悪い爺さん。

そして、白いスーツを身につけ、跳ねた
口髭を蓄える丸々と太った男。

丸々と太った男を睨み付けて
シャーレが唇を噛む。


「ドノバン…」


「アレがドノバン。じゃあこっちが伯盛一家の親分ってとこか?」


「ああ。伯盛一家の親分、バズー」


「何をごちゃごちゃと。貴様等俺の部下共をどうした?」


「四天王とか言ってた奴らなら全員後ろで伸びてるぜ?」


親指で後ろを指しニヤリと笑みを浮かべる
ロードを見てバズーも不敵な笑みを溢す。


「そうか。褒めてやろう。ガキ共」


「いや、嬉しくねぇ」


いやいや、と手を振るロードの横で
シャーレはドノバンを睨み付け続ける。


「逃げ支度でもせっせとしていると思っていたさ。ドノバン」


「無礼な下衆め。逃げる必要など無いから此処にいる訳だが?…来ましたよ。お願いします!大親分さん!」


ドノバンが不敵な笑みを浮かべながら
声を上げると奥の扉から斧を肩に乗せた
大男が顔を出した。
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