RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
7 / 413
第一篇第一章 旅路の出逢い

義賊 シャーレ・スティーバ

しおりを挟む

「な、何だ?門が」


「…あんの赤髪!報告にあった奴じゃねーか!?」


 突如門が吹っ飛び、芝が綺麗に均された
 庭に待ち構える一家の数はおよそ10名。

 ロードとシャーレはお互いに一瞥すると
 左右に別れ、一家を斬り伏せて行く。

 低く構えたロードは抜刀術を活用し
 手合いを持ち前の速度で。

 シャーレは青龍刀を器用に扱い
 鋒を真っ直ぐ前にし片足を軸にまるで
 舞いの如き演舞剣術を披露する。

 瞬く間に十人を斬って捨てた二人の
 大立ち回りを聞き付けた手合いが屋敷の
 中からゾロゾロと顔を出す。


「討ち入りか?舐めやがって」


「いてまえ!こんガキ共!」


一家の連中が二人に大声で怒鳴り散らして
いる後ろから二つの人影が迫って来る。


「退け!おまえら、ワシが相手しちゃる」


「フフフ、片方はわたしが頂くわ」


背後から現れたのは鎖に繋がれた鉄球を
背に乗せた白い髭の大男。

そして、女物の派手な着物を着た女形の
中性的な男性。


「おお!鎖鎌のエルフォーディー様!」


「吹き矢のパーシル様まで!伯盛四天王が二人も!」


何やら盛り上がりを見せる相手陣営を見て
二人は息を飲み、口を開く。


「…く、鎖鎌のエルフォーディー…?」


「…ふ、吹き矢のパーシル。伯盛四天王だと…?」


高まる熱気を隠せない相手陣営から目を
背け、武器を片手に目を合わせた二人。


「シャーレ!…誰だ!アイツら!」


「知らぬ!勢い的に驚いた方がいいかと」


二人の声が届いた相手陣営の声が静まり
口をあんぐり開けた連中が此方を見ている。


「テメェら!何で一回知った風な反応しやがったんだ!」


「我等が四天王に恥かかせやがって!」


「殴り込む相手の戦力ぐらい知ってから来やがれェ!」


「…す、すまねぇ…」


流れで謝ったロードは、はっと何かに気付き
首を横に大きく振って平静を保つ。


「な、なんか流されるトコだった。シャーレ、位置的に目の前の大男貰うぜ。アンタ、向こうの女男頼む」


「承知した」


ロードは大男の前に、シャーレは女男の
前に一歩で移動し、武器を構える。


「あら、私の相手は貴方なの?綺麗な顔してるわね…食べちゃいたい」


得体の知れぬ嫌悪の身震いをしたシャーレ。


「…貴様の様な男に言われても喜ばぬ。私はシャーレ・スティーバ、不当な搾取を続ける貴様等に天誅を下しに参った」


「あら、男なんて失礼ね。私はオ・ン・ナ…」


言い終わると同時に笛の様な武器を
口に咥え、息を吐くと鋭利な矢が放たれる。

其れを華麗に交わしたシャーレは女男の
懐に潜り込み、青龍刀を振るう。


「見た目はともかく、男の中でも声が低過ぎるぞ!!女男ォ!!」


「気にしてるトコ速攻で口にしやがったーーーッ!!」


連中のツッコミと同時にパーシルは
芝の上に背中から倒れ込み、意識を飛ばす。

正に、瞬殺。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:276pt お気に入り:756

ちっちゃな魔女様は家出したい! 〜異世界の巨人の国で始める潜伏生活〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:23

仮の面はどう足掻いても。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:24

四季は夏しかなくなった

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

【新】軟派な聖騎士と寝不足聖女

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:95

処理中です...