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Ⅳ ノノ

24話 アイアンラッシュ鉱山

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一泊して朝食まで頂いた私達は万全の体制でアイアンラッシュ鉱山の攻略にかかった。
坑道内部はモンスターもいないが最奥部のレインボークオーツがあるアイアンラッシュ第五坑道にはモンスターも出現する。
なんでもレインボークオーツを求めて彷徨うモンスターに出会うらしい。
その為、この第五坑道のみ冒険者以外立入禁止となっている。

第五坑道まではトロッコがあり簡単に着ける。
が、ここから先は徒歩で行くしかない。
しかも、モンスターが出る可能性もある。
ダンジョンでは無い物のこういう狭いところの戦闘は難しくなる。
まぁ、私達は過去にも狭い場所での戦闘は経験してきたし問題なく進めるだろう。

「先生、この坑道のモンスターは?」

「そうだね。死人鉱夫アンデッドマイナー洞窟蝙蝠ケイブバット骸骨スケルトンがメインだね。」

「アンデッドが多いのかぁ。」

「でも、それなら弱点は光って決まってるし分かりやすくない?」

ラナが嫌そうに言うとノノが言った。
アンデッドの特徴として光に弱いと言う物がある。
その為弱点は調べなくても分かるのでそういう意味では戦いやすい。

「けど、スケルトンは武器による攻撃が効きづらいから魔法主体になると思うよ。
それと、ケイブバットは集団で襲ってくるから注意が必要だね。
それと、一番大変なのはアンデッドマイナー。
魔法を使えるからこの坑道では1番危険かも。けど、遭遇率は低いから会っても大量って事はないはず。」

私が言うと皆が頷く。
ダンジョンを攻略する上で必要なのはモンスターの特徴や弱点を把握する事。
そして、その為の事前知識だ。
昨日の夜の内にリノさんにここに出るモンスターの事を聞いておいた。
作戦を出す立場として、敵の事は誰よりも詳しくなくてはならない。
皆の命を預かっているのだ。
私の指示1つでピンチにもチャンスにもなる。
戦闘に置いて指示を出すのはそれだけ重要な役割なのだ。

「ストップ。視認敵3。スケルトンだ。」

入って数分だがもう、か。

「全員武器をとって。ノノは挑発。でも出来るだけ距離をとって。他の皆は魔法で行くよ。」

私がそう言って杖の状態で武器を出す。

「挑発!」

ノノが走りながら叫ぶとスケルトン達が一斉にノノを目掛けて走ってくる。

「《ルクス:【序曲】》!」

ミーナがそう言って踊り始めるとスケルトンに光が降り注ぐ。
踊り子の魔法は踊ることで発動する。
なんとも不思議な物だ。

「《星よ、煌めけ!スターライト!》」

私が詠唱すると杖の先から光が出てきてスケルトン1体を貫く。
星魔法の中でも最弱の魔法だが使い勝手が良い。

「《光よ、魔弾となり撃ち抜け!ルクス・バレット!》」

エリシアが唱えるとエリシアのライフルから光の弾が放たれる。
放たれた弾はスケルトンの足を撃ち抜いてスケルトンを転倒させる。

「《光よ、矢となり貫け!シャインアロー!》」

ラナの唱えた魔法は光属性初級魔法のシャインアロー。
光の矢が敵を貫く魔法だ。
威力こそ弱いがミーナとエリシアの攻撃を受けたスケルトンなら余裕で屠れる。

「《ルクス:【小夜曲セレナーデ】!》」

ミーナがそう言って踊る。
今度は光の弾が現れて最後の1体に襲いかかった。
踊り子の魔法は特殊だと聞いていたがここまでとは。
前半が効果、後半が威力や効果時間等に関わり、それらを組み合わせる事で発動させるらしい。

「ミーナの魔法は凄いなぁ。」

「まぁ、踊り子は特殊だからね。
最初は必ず序曲から始めないといけないし、序曲じゃ出来ない魔法もあるんだよ。
序曲だと初級属性魔法か付与魔法しか出来ないから阻害魔法や上位の攻撃魔法を使う場合先に序曲を使っておく必要があるの。それに、属性との相性もあってね。例えば円舞曲ロンドは岩、闇属性と相性が悪かったり、小夜曲は光、闇、風属性以外で使えなかったりって曲調によって使えない属性や付与効果、阻害効果があるからそれを上手く使い分けないといけないんだよね。」

ミーナが言った。
かなり特殊な魔法になるがその魔法の効果は殆どが全体を対象にする為強力であるのは間違いない。

「あの、序曲があると言うことは終曲フィナーレもあるんですよね?
ミーナは使わないですが。」

「うん。あるよ。終曲は最後の曲。使用後はまた序曲からになるんだ。
だからトドメにしか使えなくてね。それに、使えるのも攻撃魔法だけだし確実に戦闘が終わると分かってる時以外は使わないから使うとしてもボス戦だけ。
けど、ボス戦だと大抵近接クラスがトドメさすでしょ?だから、終曲は殆ど使わないかな。」

ミーナが言った。
確かに、それはあるが・・・

「ハーミットは良く使ってたよ。敵全体への高火力魔法だから形勢逆転を狙う時に終曲で弱点を突いて隙を作ってその後に獅子:【序曲】で形勢逆転を狙うって感じで使ってたかな。」

私が言うとミーナは頷きながらメモをとる。

「そんな使い方も出来るんだ。
やっぱり、デボーチェリーの戦い方は勉強になるよ。」

ミーナはそう言ってからメモ帳を仕舞う。
私達はそれを確認して更に奥へと進む。
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