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第二章 シヴァール国の黄金の実
うわさのパーティメンバー
しおりを挟む「ど、どうしたんだい!? ミーナちゃん!」
鑑定結果を聞いたホーマーさんが目を丸くする。
2ダースの低級体力回復薬は全部合格。中級も7本のうち1本は規定をクリアしている。
残り6本も低級を遥かに超える魔素含有量だったものの中級には届かず、残念ながら規格外。
ただしこれ位の効果があれば冒険者にそれなりに売れるそうで、今回も鑑定証をつけてもらう。
まあ、お姉ちゃん達にあげるつもりだけど。一応、黒猫印のタグも付ける。
「溶剤の種類を変えたんです。本のレシピを見て。あと、おばあちゃんが魔法薬を作る時のやり方を見様見真似で真似をして…」
それだけならカッコ良かったんだけどね~。
「調子に乗って傷薬…ケガの回復薬も作ってみたら全滅でした」
「はははは」
おどろおどろしい変な色の薬(?)ができた。
フツフツと泡が出て、ずっと傷口に当てておいたバンソーコーのような臭い匂いがするの。
裏のゴミ穴に捨てて大丈夫か悩むし材料の薬草は無駄になるしで散々だった。
「アレはよく使う薬だが作るのは難しいらしいな」
次回は無理せず中級の体力回復薬をたくさん作る事にした。
体力回復薬は疲れが取れるだけだと思っていたら、敵から全速力で逃げる時や戦闘中に激しい動きを続けたりする際に役立つ需要の多い薬なんだって。
今日も取引の後にお昼をご馳走になってから水銀堂を後にする。
ちなみに野菜のかき揚げが乗ったうどんとカブの漬物でした。
病院の面会時間までには少し間があるので商店街に向かう。
そろそろ暑くなってきたので帽子が欲しい。
つばの広い麦わら帽子。子供っぽいかと思ったけど、すれ違った人が被っているのを見たら意外と可愛かったんだよね。
病院に行く前に買えばちょうどいい。
「あれ? ミーナ?」
明るい声が呼び止める。
「お姉ちゃん!?」
振り返るとエレナが居た。
ちょうど冒険横丁から出て来たところのようだ。
「おお、ミーナちゃん。お土産ありがとう。助かったよ」
エレナの後ろにはゴッツさん。それともう一人、革ジャンを着た男の人が一緒。
彼がウワサに聞くパーティメンバーかな?
確かに見た目が少し変わってる。
まず、髪の毛がない。綺麗に剃り上げたスキンヘッドだ。
そして銀のアクセサリーや丸い珠の長いネックレスをジャラッとつけている。
黒い革ジャンの胸元からは鍛えた筋肉が盛り上がっている。
エレキギターを持ってれば似合う感じ。
こっちの世界にもビジュアル系やパンクロックってあるのかな?と思ってたら、
「拙僧は慶空。ケイでいい。僧侶だ。以後お見知り置きを」
まさかのお坊さんでした!!!
びっくりして固まってたら、エレナに大笑いされた。ハッと我に返る。
「よ、よろしくお願いします。ミーナです。この子は闇豹のラル」
あわてて挨拶を返す。
「お坊さんも冒険者をされるんですね?」
「左様。坊主は死んだ者の為だけに在らず。生きている者を救うのもまた仏の道よ。南無……」
「ご、ご苦労様です」
「ミーナちゃん、騙されるな。コイツは寺の雑務がイヤで修行の旅とか言い出しただけだから!」
「いやいや。それはゴッツも似たようなモンだろうがよ」
「いいんだよ、俺は。家は兄貴が継ぐから」
ゴッツさんとケイさんは隣町出身で幼馴染みなのだそうだ。
飾りだと思ったアクセサリーも、実は色々な効果のある装備品なんだって。
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