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第二十四話 変わりゆく戦況 (微エロ 通信機越し)

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『よくやった、カゲツ中尉っ! 君達のおかげで前線の八割がこちら有利だ! 残りの二割も大将の直轄部隊が担当する事になったから、数日もすれば突破できるぞ!』


 興奮したお調子者の声色で、通信機越しに明るい少女がまくしたてる。

 栗色のツインテールを縦に横に揺らして揺らし、自慢げに得意げに良い気になっているツルペタロリが頭に浮かぶ。膨らみかけにすら届かない断崖絶壁は『まな板』の異名を欲しいままにし、アレで三児の母とはとてもじゃないが信用できない。

 それ以前に、外見は十代ギリギリで、実年齢三十と少しは犯罪だ。

 しかも夫に先立たれ、気に入った男を見つけては職権乱用で逆レイプする悪癖まで持つ。聞けば第一旅団の特殊部隊は全員彼女の穴兄弟で、唯一被害を免れているのは俺達の隊だけ。事ある毎にヤッたかどうか聞かれまくり、いつ完遂するかが賭けになっている始末。

 必要なければ、こうして通信するのも控えたい。

 第一旅団団長、ベラコーム・アルエセンブラ中将。


「少しは落ち着けよ、ババアッ。さっきからパンパンパンパン盛りやがってっ。今度は誰とヤッてんだ?」

『ゼヌ……実の母親になんて口の利き方だ? 流石は私を処女レイプした敵兵の種で出来ただけある。子宮がキュンキュンして仕方な――――ひっ、そこ、だめっ、くぅっ!』

「ヤッてる奴、聞こえてたら全部膣にぶちまけてやれっ。親父だけじゃ足りねぇって実の息子まで喰い貪ってた中古だけど、具合だけは良いからよっ。『親子のスキンシップ』とか言って散々搾りやがってっ。親父みたいにデウズとヴヴをヤリ殺してねぇだろうなっ?」

『――っふ、ぅぅ…………ふ、二人とも、大将の直轄に取られたよっ。それと、あの時のアイラスは……ぁんっ……余命、幾許も無い状態だったんだっ。最後にもう一人と思ったが中らず……んんっ……そういえば…………デウズが段々と似てきてっ、立派に……ひんっ!』

「止めろよ、絶対に止めろよ、止めろ! 弟と甥が一緒に出来るとか考えたくもねぇ!」

(隊長。ヴヴって、確か旅団長とゼヌの子供ですよね? もう今更なのでは?)

(ゼヌだけ知らされてない)

(あぁぁぁ…………)


 簡易組み立て式のパラボラアンテナの角度を調整しつつ、グロズは衛星通信機で話すゼヌに悲哀の眼差しを向けた。

 ユアルド領から出立して、今日で三日。

 緊急通信を告げる着信音で夜明け前に叩き起こされ、ストレージ内の通信装備を野営地に展開したらこのザマだ。戦闘指揮となれば持ち前のカリスマと予測計算能力を見せつけるくせに、ゼヌが絡むとヤッてヤッてヤリまくり。素直に孕ませに来いと命じればいいのに、嫉妬ばかり煽って何をやってるんだか……。

 いや、大体の予想はつくけれど。

 ゼヌの顔を見てると、種付けレイプで受精した初体験を思い出すんだろう。確か、中将が十一歳の時だったか?


「はぁ……ベラ旅団長。親子水入らずは直接やってください。今度機会を設けます」

「ちょっ、隊長! 俺を売る気かよっ!?」

「遊びに来る度に七番を指名してくるあたり、多少なりともロリコンの気はあるんだろ? いい加減素直になれ。――――っと、そんな事より用件をお聞かせください。緊急通信で繋いできたという事は、相応の問題があったのではないですか?」

『あ、あっ、あぁっ! ダメ、もうダメ、イィクィクィクイッチャゥウウウウウッ!』


 機械ノイズに混じる潮噴きの水音に、『あぁ、駄目だコイツ』とこの場の全員が俯きため息。

 軍の機密回線でコレだから、その気持ちはわからなくもない。ただ、俺には頭と心にモヤモヤ燻る物があり、何か見落としていないかと思考を回す。

 そもそも、旅団長をイカせられる達人は極めて少ない。

 旅団長近衛隊の隊長と副隊長。各特殊部隊の部隊長クラス。レズセックス仲間の第二、第三旅団長と、大将直轄部隊隊員だったあの世にいる旦那さん。

 万が一の時に押し付ける為、ここまでは酒の席で聞き出した。だが、彼ら彼女らの技術は旅団長と対等。ほぼ一方的にイカされている今回は、調査に漏れた性の猛者が相手の筈。

 相当な古参――――古参?

 今、旅団長は部隊指揮の為に前線に近い場所にいる。戦場に出れるレベルの古参なんて、生き残ってるのはもう一人だけ…………っ!?


「…………大将閣下。そちらにおられますでしょうか?」

『ん……もうばれたか。流石だな、カゲツ。――――ゼヌグライア軍曹。弟が出来たら可愛がってやってくれ。認知はする』

「ク、ク、クルーマン大将!?」

『うむ。それと今更だが、先程までの言動については不問だ、軍曹。一つ言うなら、たまにはベラを可愛がってヤレ。こやつのレイプ願望を満たせるのは君だけなのだ』

「は、はいっ! 善処致しますっ!」


 映像の無い通信にもかかわらず、ゼヌは正座の上で最敬礼を大将に向けた。

 出自と家柄で言えば一番近いこの二人。幼い頃は菓子をもらったり肩車してもらったりで非常に懐き、軍に入って最高司令官と知ってからはキッチリ上下を弁えている。

 問題は、大将の方が公私混同気味だという事。

 こんな風に。


『ところでカゲツ。しっかりキリルを可愛がっているのか? お前の子種が胎内に無いと不機嫌で仕方ない。同行中にたっぷり注ぎ置いておけ』

「師匠っ、何言ってんだよっ!?」

『相変わらずの男勝りだな、キリル。ついでだ。第二旅団長からの指令を伝える。『今回の任が終わったらカゲツを連れて寝室に出頭しろ』だそうだ。そろそろ五人目を孕みたいらしい』

「師匠かお気に入り性奴ので良いでしょうがッ! 何で『私の』カゲツで孕みたいんだっ!?」

『お前のセックス自慢で興味を持ったのだろう。しばらく前に種付け性奴が腹上死したのも一因。嫌だったら代わりをくれてやれ』

「あんの腹黒魔女! 頭の中も外っ面と同じでのほほんとしてれば良いのに!」

『聞こえてるわよぉ~? 後でオシオキだからねぇ~、キリル~?』

「ヒィッ!? お、お姉様っ!?」


 あぁ~、そういう事か。状況が読めた。

 戦局が殆ど固まって、旅団長三人がかりで大将に攻勢をかけてるんだな? 第三旅団長は寡黙な人だから、喋らないだけでソコにはいる。で、軍の上から四人揃って、ヤリながら話し合って何かが決まった、と。

 …………一体何が決まった?

 滅茶苦茶嫌な予感がする。


「閣下、本題をお願いします。それと、キリルには昨夜までに四十三回膣内射精しました」

『その調子で頼む。――――さて、ベラ中将の話通り、君達の戦果により前線を押し上げる事が可能となる。だが、ただ押し上げるだけでは足りない。理由はわかるな?』

「勇者、ですね?」

『そうだ』


 短くも確かな肯定の意に、俺は過去起こってしまった大敗の数々を頭に浮かべる。

 ノディクとエルデナクの戦争は、言ってしまえば一進一退の繰り返し。

 一方が有利を取ると数年で逆転し、また逆転と逆転を繰り返して今にまで至る。その原因の全てはエルデナクが召喚する勇者であり、俺達の主任務達成が勝利に向かう最大の鍵となる。

 現状、あまり成果を出せていないが……。


『マグス大尉から送られて来た報告書では、おおよそ二ヶ月の猶予が出来たとある。内容を見るに、ほぼ完遂と見て差し支えないにもかかわらず、な』

「代替施設の準備が周到なのでしょう。残らず探し出し、片端から潰していく所存です」

『それでは足らん』

「?」


 言わんとしている所が、まだわからない。

 敵の手が多いなら、全て叩いて潰せば良い。その為に虎の子の転生者率いる三部隊が潜入しているのだし、今なら本隊の動きも牽制の材料になる。

 時間的猶予も大きく、懸念材料は新円卓のみ。

 一体、何を見据えているのだろう?


「足りない、とは?」

『勝利の手が、だ。結局の所、勇者召喚を阻止しても数年の猶予を作ったに過ぎん。前線の構築と遅滞戦術で時間を稼がれ、どこかで召喚された勇者によりひっくり返される。根を断って絶たねば、解決には程遠い』

「根、ですか…………っ!?」


 まさか、いやまさか……。

 そこは、それはこの後に見据えるべき目標だ。まだ時期尚早に過ぎ、今やろうとすると相当な無理と無茶を重ねる必要が出てくる。それこそ、損耗度外視で進めなければ掴み取るなど到底不可能。

 しかし、挑む価値はある。

 十二分に。


「エルデナク中枢の皆殺し、または傀儡化っ」

『そうだ。勇者を召喚しようとする者達がいる限り、我々は奴らの脅威に晒される。大本を摘み切る必要がある』

「お言葉ですが、残された時間に対して戦力が足りません。一度目の潜入が露呈した今、敵側の警戒も強まっているでしょう。選択できる手段が限られます」

『などと言っておきながら、頭の中には解が浮かんでいるのだろう? 出来る限りの援助を送る。何が欲しい?』

「ドネア・クルーマン中佐とエイル・ドルグ技術大尉」


 俺は即座に答えを返す。

 必要なのは、俺の代わりに指揮を執れる有能な将官と、現地で装備の加工・改修を行える有能な技術者。中でもあの二人は信頼も実力も抜きん出ていて、加われば部隊の質を引き上げられる。

 毎晩搾り取られるのは、この際考えない。

 最大の効率と最大の効果が最優先。任務達成で一時のゴールを決められるなら、俺は俺の何でもかんでも掛け金に投げる。

 それこそ、命でさえも。


『ふむ……ドネアの予想通りか』

「……は?」

『あのじゃじゃ馬に今回の決定を伝えた所、カゲツに必要なのは自分だと数時間前に出立した。ドルグ技術大尉と共に、開発中の偽装トラック二台を調達して、な。今頃、この通信の電波を基に位置特定を済ませている頃だろう』

「………………あんのイノシシ娘……」


 唐突な頭痛に苛まれ、俺は通信機を指でリズミカルに叩く。

 音を使った通信信号に、俺と大将だけが知る暗号を噛ませた代物だ。他に聞かれては拙い話をする時に使用し、特に今は使わざるを得ない。

 アルバ達に聞かせるわけにはいかないから。


(自己換装の戦時無制限使用許可を下さい)

(死ななければ許す。死ねば許さん)

「はぁ……わかりました。中佐達の合流後、エルデナク中枢の攻略にかかります。それと、ユアルド領都の北西にある都市ドーバに、領都の年頃の女二万人を送ってあります。全員従順薬を投与済みですので、兵達の戦勝報酬として分配してください」

『了解した。自分用は確保しただろうな?』

「十五人ほど」

『よろしい。では、任にかかれ。成功と生還を祈る』


 通信が切れた電子音が短く鳴り、手を回す合図で各自収拾と片付けを命じる。

 ここから先、慌ただしい日と時が続く。

 ドネア達が合流したら、英気を養う意味で二日か三日の休息を入れよう。急ぐ必要はあっても、緩急は大事だ。締めるべき時に締められなければ、ずるずる続くだけで意味がないからな。

 …………確か、少し街道から逸れると村があったな?


「全員、手を進めながら聞いてくれ。予定を変更して、ドルッカスの前にジャカッカ村に向かう。目的は玩具の確保だ。それと、女を二十人ほどキープする。ドネア用に」

「ぇぇ~……アレやんの? マジ?」

「アレがあるから中佐は上官に相応しいんだろう、ゼヌ。処理方法は、後始末しやすいように絞殺で良いか?」

「頼む、アルバ。加えてすまないが、一人につき三人分の処理を頼む。俺も五人はやるから、アルバ一人に任せないように」

「四肢は落としても?」

「壊しても良い!?」

「首絞めックスからの電撃蘇生レイプで新記録狙おっ! アルバも付き合いなよ!? この前のリベンジだっ!」


 思い思いの性癖充足に思いを馳せ、全員の動きが機敏さを増す。

 特にアルバとキリルはノリノリだ。死姦趣味とマグロレイプ趣味からすれば、ドネアの為の準備はむしろご褒美。抑える必要が無い分、普段以上に好き放題ヤリまくれる。

 対して、ため息交じりで乗り気でない者も一人。


「ハァァァ……」

「ゼヌ。ジャカッカ村はゼヌの性奴の故郷だろ? まだストレージに残してあるから、姉妹丼でもどうだ?」

「いや、あぁ…………隊長はよく耐えられるよな? 俺も一人二人なら良いけど、中佐のアレは……」

「俺が原因みたいなもんだ。もう慣れた」

「あ、さいで」


 哀れみの目で苦笑を浮かべるゼヌに、俺は肩を叩いて慰めを入れた。

 実の母親にレイプをせがまれて孕ませるお前も、他の連中から見れば大して変わらんよ。

 そんな言葉を、口に出さずに。
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