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第157話 わりとなんとかなりました。
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「ひぃ……ひぃ……ひぃ…………」
妊婦程の大きさにまで腹を膨らませ、膝立ち状態で気絶したアシィナをベッドの上に優しく寝かせる。
もう何度目かわからない、時忘れの牢獄で全員入り乱れての貪り合い。
私を折檻しようという娘達に無理矢理連れ込まれて襲われたのだが、思ったより簡単に制圧出来て拍子抜けした。ヴィラとキサンディアとマタタキも含めた二柱と二百五十八人の猛攻。俺の言う通りに防御を考えず、一万の触手で逆に攻め返すと一人残らず快楽に伏した。
一糸纏わず、床やベッドや浴場などで倒れて果てて垂れ流している娘達。
皆お腹いっぱいにパンパンに張らせて漏らし、今までで一番の惨状と言って良い。だが、達成感と満足感は過去一・二を争う高みの至りで、今回参加できていない巫女達に少しばかりの罪悪を抱く。
それにしても、守ってばかりだからダメだったのか。
神となって皆を守る事に意識が裂かれ、心の牙を押し込められていた。元から攻めより守りが得意な事もあり、更に更に守り一辺倒へと傾いていたのだろう。
その傾向が、彼女達に対して悪く出た。
攻め気の気質に対して専守防衛で対抗したら、更に攻められるのは当たり前。いかに捌いて料理して平らげるかが基本で大事で、結局それを忘れていた私が一番の悪者だったのだ。
耳元で囁きながら、今まで開発した弱点を交互に同時に連続でねちっこく攻め続ける。
制止の声を口で塞いで、最奥を極太で貫いて隙間という隙間を私で満たす。
ディプカントに来てから、ずっとやって来たことだ。
忘れていただけ。やっと思い出せた。
「『幾ら消耗して力関係で負けていようと、主従契約は俺達の方が上だ。最初の記憶を身体と心に思い出させてやれば、抵抗はされてもやられっぱなしになりはしない』」
「守って耐えたら隙を見て押し倒す…………うん、私覚えた! もう主導権渡したとしても、必ず取り返して叩きつけて奪い取ってねじ込んで食べ尽くす!」
「『その意気だ。――――で、これからどうする?』」
「どうって?」
俺の問いが何に向けられての物かわからず、私は首をかしげて逆に訊いた。
全員の気をやらせるのに、牢獄に入って一か月かかった。
その間ずっとやりまくりのやられまくりの注ぎまくりで、入る前の記憶がいまいち曖昧だ。
何かあったけ?
「『クロッセンド王国に神々の大軍勢が攻めてくるんだろう』」
「あ、そっか。打ち合わせしないとだ。とりあえず、うちからは投入できるだけの戦力を投入しよう。食料増産の為の畑も作って、ドルトマ達も呼んで…………足りるかな?」
「『足りない分は買えば良い。リエラの管轄域やギュンドラは、まだ北のインフレの影響が少ない筈だ。ついでに多少の色を付けて、物価の上昇に耐えられるだけの資金を渡しておこう』」
「なら、クロスサの方もかな? 多分長期戦になるだろうし、兵器関係の発注と傭兵の斡旋をしてもらって――――」
「『長期戦って、まだ守るつもりか?』」
強い口調が、私の思考に否を突き付ける。
防衛戦なのに短期決戦を挑めと? 相手は大軍なのだから、補給切れを狙うのが定石だろうに。
それとも、他に手でもあるのか?
「必然として長期戦にならない?」
「『するんじゃない。戦争は主導権を取った方が勝つ。されるがままの状況で活路なんてあるか』」
「じゃあどうするの? 敵は海路と南の陸路で――――あっ」
そうだ、海路だ。
陸路で馬車を使って運ぶより、船ならずっと大量の物資を一度に運べる。無人島に基地でも作れば補給線の構築も出来るし、戦が長引いても十二分に対応できる。
守ってばかりでは、守ってばかりを強いられる。
その末は物量での圧壊だ。
耐え切れなくて碌に何もできず、無様を晒して果てるのみ。元から勝利を捨てた方針であり、とてもじゃないが愚策としか言えない。
「『気付いたか。海がある限り、敵方の補給切れは望み薄。終わりの見えない猛攻に押し潰されるのがオチだ』」
「じゃあ、敵将を狙った奇襲? でも、神の数は百三十七柱だから、そっちも意味がないよ?」
「『そうだな。それと、一柱辺りに最低でも尖兵三人と考えて、おおよそ四百と少し。一般兵は一国五千から二万と考えて、合計で百万近く』」
「あれ? やっぱり補給切れいけない? そんな数の兵站維持なんて無理でしょ?」
「『一軍の規模なら、な。敵国の数は七十だ。時期をずらして分割して攻めてくるだろう。一回十万で十回。一回五万で二十回』」
「神は一回に付き七柱から十三柱で、尖兵は二十から四十、と。神と尖兵だけで一気に攻めて来たら?」
「『うちの大飯喰らいに平らげてもらおう』」
俺が操る触手が一本、ベッドで眠る黒髪白肌の我儘ボディに先を向けた。
神喰いのナレアとディユーを超える対神戦力、時忘れの主マタタキ。
毎日のように私から時素を数十万年分喰らって喰らい、まだ足りないと朝昼晩の三食に間食まで要求する欠食娘。最近は果物の種を植えて時素を食べ、促成栽培して生った実まで食べ尽くす暴食ぶりを見せている。
彼女の食欲がどこまでのものか。
さすがに、さすがに全部食べ尽くす事はないと思いたい。
戦争を簡単に終わらせる理想的展開ではある。しかし、その後の食事事情が悪化するのではないかという懸念が、心と頭にこびりついて離れようとしない。
私だって、無限に食べられるわけじゃないんだよ?
限度って知ってる?
「『ただ、喰いきれなかった場合の想定も必要だ。その他の詳細も含めて、ヴィットリア達と相談するとしよう』」
「そ、そうだよねっ。それが良いよ、うんっ」
「『? 何を焦ってるんだ?』」
「何でもないってっ! 皆が起きたら急いで出るよ!?」
内心汗だくになりながら、私はこれ以上の俺との話し合いを切り上げた。
戦いの前なのに、後の事の方が心配でならない。
大事が起これば、大きな影響は当たり前。終わってから対処できるならそれでも良いが、対処しきれない事態は予防措置が必要だ。
…………キサンディアと、少し相談しておこうかな?
きっと良い知恵をくれる筈だから。
きっと。
妊婦程の大きさにまで腹を膨らませ、膝立ち状態で気絶したアシィナをベッドの上に優しく寝かせる。
もう何度目かわからない、時忘れの牢獄で全員入り乱れての貪り合い。
私を折檻しようという娘達に無理矢理連れ込まれて襲われたのだが、思ったより簡単に制圧出来て拍子抜けした。ヴィラとキサンディアとマタタキも含めた二柱と二百五十八人の猛攻。俺の言う通りに防御を考えず、一万の触手で逆に攻め返すと一人残らず快楽に伏した。
一糸纏わず、床やベッドや浴場などで倒れて果てて垂れ流している娘達。
皆お腹いっぱいにパンパンに張らせて漏らし、今までで一番の惨状と言って良い。だが、達成感と満足感は過去一・二を争う高みの至りで、今回参加できていない巫女達に少しばかりの罪悪を抱く。
それにしても、守ってばかりだからダメだったのか。
神となって皆を守る事に意識が裂かれ、心の牙を押し込められていた。元から攻めより守りが得意な事もあり、更に更に守り一辺倒へと傾いていたのだろう。
その傾向が、彼女達に対して悪く出た。
攻め気の気質に対して専守防衛で対抗したら、更に攻められるのは当たり前。いかに捌いて料理して平らげるかが基本で大事で、結局それを忘れていた私が一番の悪者だったのだ。
耳元で囁きながら、今まで開発した弱点を交互に同時に連続でねちっこく攻め続ける。
制止の声を口で塞いで、最奥を極太で貫いて隙間という隙間を私で満たす。
ディプカントに来てから、ずっとやって来たことだ。
忘れていただけ。やっと思い出せた。
「『幾ら消耗して力関係で負けていようと、主従契約は俺達の方が上だ。最初の記憶を身体と心に思い出させてやれば、抵抗はされてもやられっぱなしになりはしない』」
「守って耐えたら隙を見て押し倒す…………うん、私覚えた! もう主導権渡したとしても、必ず取り返して叩きつけて奪い取ってねじ込んで食べ尽くす!」
「『その意気だ。――――で、これからどうする?』」
「どうって?」
俺の問いが何に向けられての物かわからず、私は首をかしげて逆に訊いた。
全員の気をやらせるのに、牢獄に入って一か月かかった。
その間ずっとやりまくりのやられまくりの注ぎまくりで、入る前の記憶がいまいち曖昧だ。
何かあったけ?
「『クロッセンド王国に神々の大軍勢が攻めてくるんだろう』」
「あ、そっか。打ち合わせしないとだ。とりあえず、うちからは投入できるだけの戦力を投入しよう。食料増産の為の畑も作って、ドルトマ達も呼んで…………足りるかな?」
「『足りない分は買えば良い。リエラの管轄域やギュンドラは、まだ北のインフレの影響が少ない筈だ。ついでに多少の色を付けて、物価の上昇に耐えられるだけの資金を渡しておこう』」
「なら、クロスサの方もかな? 多分長期戦になるだろうし、兵器関係の発注と傭兵の斡旋をしてもらって――――」
「『長期戦って、まだ守るつもりか?』」
強い口調が、私の思考に否を突き付ける。
防衛戦なのに短期決戦を挑めと? 相手は大軍なのだから、補給切れを狙うのが定石だろうに。
それとも、他に手でもあるのか?
「必然として長期戦にならない?」
「『するんじゃない。戦争は主導権を取った方が勝つ。されるがままの状況で活路なんてあるか』」
「じゃあどうするの? 敵は海路と南の陸路で――――あっ」
そうだ、海路だ。
陸路で馬車を使って運ぶより、船ならずっと大量の物資を一度に運べる。無人島に基地でも作れば補給線の構築も出来るし、戦が長引いても十二分に対応できる。
守ってばかりでは、守ってばかりを強いられる。
その末は物量での圧壊だ。
耐え切れなくて碌に何もできず、無様を晒して果てるのみ。元から勝利を捨てた方針であり、とてもじゃないが愚策としか言えない。
「『気付いたか。海がある限り、敵方の補給切れは望み薄。終わりの見えない猛攻に押し潰されるのがオチだ』」
「じゃあ、敵将を狙った奇襲? でも、神の数は百三十七柱だから、そっちも意味がないよ?」
「『そうだな。それと、一柱辺りに最低でも尖兵三人と考えて、おおよそ四百と少し。一般兵は一国五千から二万と考えて、合計で百万近く』」
「あれ? やっぱり補給切れいけない? そんな数の兵站維持なんて無理でしょ?」
「『一軍の規模なら、な。敵国の数は七十だ。時期をずらして分割して攻めてくるだろう。一回十万で十回。一回五万で二十回』」
「神は一回に付き七柱から十三柱で、尖兵は二十から四十、と。神と尖兵だけで一気に攻めて来たら?」
「『うちの大飯喰らいに平らげてもらおう』」
俺が操る触手が一本、ベッドで眠る黒髪白肌の我儘ボディに先を向けた。
神喰いのナレアとディユーを超える対神戦力、時忘れの主マタタキ。
毎日のように私から時素を数十万年分喰らって喰らい、まだ足りないと朝昼晩の三食に間食まで要求する欠食娘。最近は果物の種を植えて時素を食べ、促成栽培して生った実まで食べ尽くす暴食ぶりを見せている。
彼女の食欲がどこまでのものか。
さすがに、さすがに全部食べ尽くす事はないと思いたい。
戦争を簡単に終わらせる理想的展開ではある。しかし、その後の食事事情が悪化するのではないかという懸念が、心と頭にこびりついて離れようとしない。
私だって、無限に食べられるわけじゃないんだよ?
限度って知ってる?
「『ただ、喰いきれなかった場合の想定も必要だ。その他の詳細も含めて、ヴィットリア達と相談するとしよう』」
「そ、そうだよねっ。それが良いよ、うんっ」
「『? 何を焦ってるんだ?』」
「何でもないってっ! 皆が起きたら急いで出るよ!?」
内心汗だくになりながら、私はこれ以上の俺との話し合いを切り上げた。
戦いの前なのに、後の事の方が心配でならない。
大事が起これば、大きな影響は当たり前。終わってから対処できるならそれでも良いが、対処しきれない事態は予防措置が必要だ。
…………キサンディアと、少し相談しておこうかな?
きっと良い知恵をくれる筈だから。
きっと。
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