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第137話 ギュンドラへ!
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最前線の脱走兵が如く、遮二無二我武者羅走って走る。
トルオスはマヌエル山脈の西端より西に在り、少し南に行けば山脈越えと同等だ。そこからギュンドラに至るには牧草豊かな丘陵地帯と未開拓の険しい山岳地帯を越え、北西の玄関口であるクルングルーム領に入らないとならない。
後についてくるユーリカを、一瞬チラリと垣間見る。
一昨日から昨日まで続いた逆レイプ祭りで、綺麗な褐色の肌が更に潤い艶々している。しかし、まだ足りないのか私の視線にすぐ気付き、露骨に距離を詰めて羽衣を肌蹴て風を入れた。
入り込んだ空気が暴れ、チラチラチラチラピンクを晒す。
もう……この性欲魔人は…………。
「ユーリカ。誰かに見られたらいけないからちゃんと着て」
「申し訳ございません。風が強すぎて帯が結べないのです。少し先に宿がありますので、一休み致しませんか?」
「本当に休むだけ?」
「はい。ご休憩です」
裏がありそうなじっとりした目に、私の本能が警鐘を鳴らす。
もう三時間ほど走りっぱなしで、ユーリカを休ませる良いタイミングではある。だが、ニヌによって最大の性感帯を暴かれてしまったが故、あの目をされるといつどこで犯されるのかと怖くて怖くて仕方がない。
本当に、何で私の巫女達は力を付けると下剋上を狙うかな?
私にペットになれと本気で言うし、定期的にわからせてあげないと主従逆転が日常茶飯事。今回は何とか全員返り討ちにしてやったが、いつまで堪えられるのか正直不安だ。
…………ん? こういう二人っきりの機会に、髄の髄まで刻み込むと予防になるかも?
「その宿、宿泊もできる?」
「はいっ。温泉を引いているので湯浴みも出来ます。宜しければ、ご一緒にいかがですか?」
「……何でそんな事まで知ってるの?」
「その宿はギュンドラ裏部隊が経営しています。私もこの辺りで任に就いた時は、よく利用しておりました」
「周辺国偵察の拠点ってわけね。わかった。情報収集ついでに一泊していこう」
小高い丘を越えて下りに入り、畑と牧場が併設された宿屋が見えた。
ある程度の自給自足が出来る様に、牧畜と野菜作りを行っているらしい。この辺りはチーズやソーセージ作りが盛んだし、同類の品を作っていれば怪しまれる事も少ない。
あっ、畑のキャベツが収穫適期だ。ポトフかザワークラウトあるかな?
「あれ? 温泉は?」
「屋内にございます。ささ、参りましょう」
ユーリカは私の手を取り、嬉しそうに楽しそうに軽やかに宿へと脚を向けた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ユーリカ!? 随分久しぶりじゃない! 元気にしてた!?」
「ご無沙汰、ニゥミ!」
宿に入るなり、田舎娘に全く見えない白肌のウェイトレスが私達を迎えた。
ユーリカは旧知の仲らしく、私を置いて彼女と抱き合う。互いに腰や尻を撫でているのはそういう仲なのだろうと思い、左手に輝く金の指輪がどこまでもどこまでもどこまでも余計だ。
ふわふわで柔らかそうな三つ編みを解いて、もちもちと柔らかそうな乳尻を露わにし、足先から膝まで触手を巻きつかせて温泉の湯気に紛れさせたら開始のゴングがビートを刻む。
だというのに、スタート前から邪魔をするのはどこの馬の骨なの? 奥で料理作ってるオークの彼? 女騎士をクッ殺させそうな恰幅が良い彼がそうなの、ねぇ?
美女と野獣ならぬ、美女と汚豚か。
仕方ないから祝福してあげるよ。今夜は温泉で元気いっぱい励むと良いさ。うん。
「ユーゴの旦那から聞いたよ? 大変だったんだってね? 予定日はいつ?」
「しなずち様? いつになさいます?」
「一応、毎回孕ませるつもりでやってるんだよ? ――――生の神しなずちと申します。今後ともよろしく」
「私はニゥミ・ドゥキバ。調理場にいるのは旦那のマックスよ。マックス! 貴方の主神様がいらっしゃったからご挨拶しなさいな!」
「!? し、しなずちしんさま? ほ、ほほほんもの!?」
煮込んでいる鍋から目を離し、まさに豚、どうみても豚という丸い顔がこちらを向いた。
目が爛々と輝き、調理していなければ平伏しそうな喜びようだ。よく見ると宿屋の出入り口に血色の蛇の紋章が下げられていて、私を信仰している事が一目でわかる。
えぇ……? ここってギュンドラ王国の裏部隊待機所でしょ? 良いの、それ?
「しししししなずちしんさまっ! ど、どどうかおねがいが――――」
「マックス、私達の話は後で。こちらへどうぞ、お二人とも。座る時は対面じゃなく隣合って下さいね。新婚さんみたいに」
「しなずち様、ここから先は夫婦という体で参りましょう? そちらの方が怪しまれなくて済むかと思われます。ニゥミ、ベッド一つの二人一部屋で一泊よろしくね」
「はいはい。媚薬香焚く?」
「私の体液が媚薬そのものです。――よっと」
並ぶ椅子を殆どくっつけ、片方に座ってもう片方を叩く。
破顔して涎を垂らすユーリカを隣に座らせ、胸の谷間に後頭部を突っ込んだ。ふわふわぽよぽよ心地良い弾力と香りに包まれ、そっと下を弄ってそれ以上の狼藉を未然に防ぐ。
小さく鳴る水音に合わせ、褐色の艶々がピクピク跳ねた。
「お近づきの印に一品目は驕りよ。しなずち神様がギュンドラに伝えてくれた精力剤入りポトフ。たくさん食べて今夜に備えて」
「ありがとうございます。追加でソーセージの盛り合わせ二つとザワークラウトを下さい。それとエールも四人分」
「まいどありっ――――って、四人?」
「込み入った話がありそうですから」
チラチラこちらを覗くマックスの視線に、私の視線をそっと重ねる。
そわそわした落ち着きの無さが、彼の心根を示していた。一服盛ろうとか陥れようとかではなく、話したいけど話しに行けないもどかしさ。さっき言いかけていた『お願い』が関係するのだろうと、言われなくても何となくわかる。
私への信仰の根本も、きっとそこだ。
「色々、聞かせてください」
彼女と彼をじぃっと見つめ、私は触手を伸ばして厨房を代わった。
トルオスはマヌエル山脈の西端より西に在り、少し南に行けば山脈越えと同等だ。そこからギュンドラに至るには牧草豊かな丘陵地帯と未開拓の険しい山岳地帯を越え、北西の玄関口であるクルングルーム領に入らないとならない。
後についてくるユーリカを、一瞬チラリと垣間見る。
一昨日から昨日まで続いた逆レイプ祭りで、綺麗な褐色の肌が更に潤い艶々している。しかし、まだ足りないのか私の視線にすぐ気付き、露骨に距離を詰めて羽衣を肌蹴て風を入れた。
入り込んだ空気が暴れ、チラチラチラチラピンクを晒す。
もう……この性欲魔人は…………。
「ユーリカ。誰かに見られたらいけないからちゃんと着て」
「申し訳ございません。風が強すぎて帯が結べないのです。少し先に宿がありますので、一休み致しませんか?」
「本当に休むだけ?」
「はい。ご休憩です」
裏がありそうなじっとりした目に、私の本能が警鐘を鳴らす。
もう三時間ほど走りっぱなしで、ユーリカを休ませる良いタイミングではある。だが、ニヌによって最大の性感帯を暴かれてしまったが故、あの目をされるといつどこで犯されるのかと怖くて怖くて仕方がない。
本当に、何で私の巫女達は力を付けると下剋上を狙うかな?
私にペットになれと本気で言うし、定期的にわからせてあげないと主従逆転が日常茶飯事。今回は何とか全員返り討ちにしてやったが、いつまで堪えられるのか正直不安だ。
…………ん? こういう二人っきりの機会に、髄の髄まで刻み込むと予防になるかも?
「その宿、宿泊もできる?」
「はいっ。温泉を引いているので湯浴みも出来ます。宜しければ、ご一緒にいかがですか?」
「……何でそんな事まで知ってるの?」
「その宿はギュンドラ裏部隊が経営しています。私もこの辺りで任に就いた時は、よく利用しておりました」
「周辺国偵察の拠点ってわけね。わかった。情報収集ついでに一泊していこう」
小高い丘を越えて下りに入り、畑と牧場が併設された宿屋が見えた。
ある程度の自給自足が出来る様に、牧畜と野菜作りを行っているらしい。この辺りはチーズやソーセージ作りが盛んだし、同類の品を作っていれば怪しまれる事も少ない。
あっ、畑のキャベツが収穫適期だ。ポトフかザワークラウトあるかな?
「あれ? 温泉は?」
「屋内にございます。ささ、参りましょう」
ユーリカは私の手を取り、嬉しそうに楽しそうに軽やかに宿へと脚を向けた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ユーリカ!? 随分久しぶりじゃない! 元気にしてた!?」
「ご無沙汰、ニゥミ!」
宿に入るなり、田舎娘に全く見えない白肌のウェイトレスが私達を迎えた。
ユーリカは旧知の仲らしく、私を置いて彼女と抱き合う。互いに腰や尻を撫でているのはそういう仲なのだろうと思い、左手に輝く金の指輪がどこまでもどこまでもどこまでも余計だ。
ふわふわで柔らかそうな三つ編みを解いて、もちもちと柔らかそうな乳尻を露わにし、足先から膝まで触手を巻きつかせて温泉の湯気に紛れさせたら開始のゴングがビートを刻む。
だというのに、スタート前から邪魔をするのはどこの馬の骨なの? 奥で料理作ってるオークの彼? 女騎士をクッ殺させそうな恰幅が良い彼がそうなの、ねぇ?
美女と野獣ならぬ、美女と汚豚か。
仕方ないから祝福してあげるよ。今夜は温泉で元気いっぱい励むと良いさ。うん。
「ユーゴの旦那から聞いたよ? 大変だったんだってね? 予定日はいつ?」
「しなずち様? いつになさいます?」
「一応、毎回孕ませるつもりでやってるんだよ? ――――生の神しなずちと申します。今後ともよろしく」
「私はニゥミ・ドゥキバ。調理場にいるのは旦那のマックスよ。マックス! 貴方の主神様がいらっしゃったからご挨拶しなさいな!」
「!? し、しなずちしんさま? ほ、ほほほんもの!?」
煮込んでいる鍋から目を離し、まさに豚、どうみても豚という丸い顔がこちらを向いた。
目が爛々と輝き、調理していなければ平伏しそうな喜びようだ。よく見ると宿屋の出入り口に血色の蛇の紋章が下げられていて、私を信仰している事が一目でわかる。
えぇ……? ここってギュンドラ王国の裏部隊待機所でしょ? 良いの、それ?
「しししししなずちしんさまっ! ど、どどうかおねがいが――――」
「マックス、私達の話は後で。こちらへどうぞ、お二人とも。座る時は対面じゃなく隣合って下さいね。新婚さんみたいに」
「しなずち様、ここから先は夫婦という体で参りましょう? そちらの方が怪しまれなくて済むかと思われます。ニゥミ、ベッド一つの二人一部屋で一泊よろしくね」
「はいはい。媚薬香焚く?」
「私の体液が媚薬そのものです。――よっと」
並ぶ椅子を殆どくっつけ、片方に座ってもう片方を叩く。
破顔して涎を垂らすユーリカを隣に座らせ、胸の谷間に後頭部を突っ込んだ。ふわふわぽよぽよ心地良い弾力と香りに包まれ、そっと下を弄ってそれ以上の狼藉を未然に防ぐ。
小さく鳴る水音に合わせ、褐色の艶々がピクピク跳ねた。
「お近づきの印に一品目は驕りよ。しなずち神様がギュンドラに伝えてくれた精力剤入りポトフ。たくさん食べて今夜に備えて」
「ありがとうございます。追加でソーセージの盛り合わせ二つとザワークラウトを下さい。それとエールも四人分」
「まいどありっ――――って、四人?」
「込み入った話がありそうですから」
チラチラこちらを覗くマックスの視線に、私の視線をそっと重ねる。
そわそわした落ち着きの無さが、彼の心根を示していた。一服盛ろうとか陥れようとかではなく、話したいけど話しに行けないもどかしさ。さっき言いかけていた『お願い』が関係するのだろうと、言われなくても何となくわかる。
私への信仰の根本も、きっとそこだ。
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