151 / 188
第132話 ドガちゃん(を)三分(で)クッキング
しおりを挟む「ううん……、いい」
まさかこの世に、こんな行為をみずから望んで人前で平然とできる女性がいるということが信じられない。
そんなアベルの想いなど露ともかえりみるわけもなく、アイーシャは恍惚とした表情を顔に浮かべ、腰をゆっくりと動かしはじめる。
化粧をほどこしているために、身体より色が白く見える顔が、愉悦に赤く染まっている。
「ああ……ん。ああ、いいわぁ……」
アベルにはひたすら驚倒ものの光景だった。己の取らされている苦しく恥ずかしい姿勢もわすれて、ただただアイーシャの姿を凝視していた。
サライアもアーミナもエリスも驚きもせず平然と見ていることは、彼らはすでに見慣れているのだろう。
彼女の動きに合わせて手足の銀輪も揺れる。アベルのものとおなじく檜皮色のサンダルが、ひどく猥褻に見える。あのように浅ましい姿を自分もつい先ほど晒したのかと思うと、アイーシャの淫猥なすがたに自分自身がかさなり、アベルはいたたまれない。
目を逸らしたい。だが逸らせない。
「ん、んんん、ああ、ああ……陛下ぁ」
耳をおおいたい。だが、出来ない。
「ああっ、ああっ、ああっ!」
アベルの前で、アイーシャという妖艶な毒花が、開花しはじめている。
アベルは恐怖すら感じながら、つい先ほどまでは、まがりなりにも人の形をしていた生き物が、なにか別の生物に変成していく様を魅入られたように見つめつづけた。
(私も……あんな風になっていたのだろうか?)
強制されたとはいえ、不様な姿で死ぬほどの恥辱をあたえられた果てに、快を得てしまった。その様をすべて見られていたのだ。
自分もまた、今のアイーシャを見ている自分とおなじように、見る者からそう思われていたのかもしれないと思うと、全身から火が吹くほどの羞恥を感じる。
「うう……、いい、いい、いいわぁ!」
と言いつつ、アイーシャの黒い眉が歪んでいるのは、激しく極めた快楽には、ときに辛さも含んでいるのだろうか、とアベルはぼんやりと考えた。
「ああ! はぁ……っ」
天井に向けて放った彼女の吐息は、桃色に染まっているようだ。
女性と本物の接吻すらまだしたことのないアベルには、ひたすら異様な見物で、アイーシャのみならず、グラリオンというこの国が、この国の宮廷が、さらに後宮というものがつくづくおぞましく思えてきた。いや、女という生き物がそのものがおぞましく思えてきた。この世のすべての女性というものは、こんな魔性を身の内に持っているものなのか。そう思うと空恐ろしくさえなってくる。
まさかこの世に、こんな行為をみずから望んで人前で平然とできる女性がいるということが信じられない。
そんなアベルの想いなど露ともかえりみるわけもなく、アイーシャは恍惚とした表情を顔に浮かべ、腰をゆっくりと動かしはじめる。
化粧をほどこしているために、身体より色が白く見える顔が、愉悦に赤く染まっている。
「ああ……ん。ああ、いいわぁ……」
アベルにはひたすら驚倒ものの光景だった。己の取らされている苦しく恥ずかしい姿勢もわすれて、ただただアイーシャの姿を凝視していた。
サライアもアーミナもエリスも驚きもせず平然と見ていることは、彼らはすでに見慣れているのだろう。
彼女の動きに合わせて手足の銀輪も揺れる。アベルのものとおなじく檜皮色のサンダルが、ひどく猥褻に見える。あのように浅ましい姿を自分もつい先ほど晒したのかと思うと、アイーシャの淫猥なすがたに自分自身がかさなり、アベルはいたたまれない。
目を逸らしたい。だが逸らせない。
「ん、んんん、ああ、ああ……陛下ぁ」
耳をおおいたい。だが、出来ない。
「ああっ、ああっ、ああっ!」
アベルの前で、アイーシャという妖艶な毒花が、開花しはじめている。
アベルは恐怖すら感じながら、つい先ほどまでは、まがりなりにも人の形をしていた生き物が、なにか別の生物に変成していく様を魅入られたように見つめつづけた。
(私も……あんな風になっていたのだろうか?)
強制されたとはいえ、不様な姿で死ぬほどの恥辱をあたえられた果てに、快を得てしまった。その様をすべて見られていたのだ。
自分もまた、今のアイーシャを見ている自分とおなじように、見る者からそう思われていたのかもしれないと思うと、全身から火が吹くほどの羞恥を感じる。
「うう……、いい、いい、いいわぁ!」
と言いつつ、アイーシャの黒い眉が歪んでいるのは、激しく極めた快楽には、ときに辛さも含んでいるのだろうか、とアベルはぼんやりと考えた。
「ああ! はぁ……っ」
天井に向けて放った彼女の吐息は、桃色に染まっているようだ。
女性と本物の接吻すらまだしたことのないアベルには、ひたすら異様な見物で、アイーシャのみならず、グラリオンというこの国が、この国の宮廷が、さらに後宮というものがつくづくおぞましく思えてきた。いや、女という生き物がそのものがおぞましく思えてきた。この世のすべての女性というものは、こんな魔性を身の内に持っているものなのか。そう思うと空恐ろしくさえなってくる。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる