しなずち ~転生触手妖怪 異世界侵略風味、褐色爆乳女神と現地収穫の巫女衆を添えて~

花祭 真夏

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第121話 三百を超える戦に挑み、全てに負けた私ことしなずち

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「ぁ~…………たまにはこういうのも良いよねぇ…………」


 供を付けずたった一人、社の水源池をぷかぷかぷかぷか浮いて漂う。

 地水気龍魔の五脈から新鮮な力が供給され、搾り取られた分を急速に回復していく。砂地に降った雨のようにあっという間に染み込み、しかし、完全に溜まり切るには時間がかかりそうだ。

 つい数か月前までは数日で十分だったのに、今は一週間かけても半分に届かない。

 時忘れの牢獄で歳を重ね、それなりに成長したらしい。

 歳を経た妖怪は、より強大に研ぎ澄まされていく。てっきり信仰や畏怖が集まって積み重なるからと考えていたが、存在の器が成長して受容量を増大させるのが原因のようだ。

 現実時間における昨日と比べ、今の私はもはや比較できる所に無い。

 いや、まぁ…………巫女や属神全員と一人一年ずつ、合計で三百年余りも過ごしたのだから、そのくらいにはなっていないと……ねぇ?


「しなずちさまぁー。まだもどらないのぉー?」


 私の胸の内側から顔を出し、マタタキが退屈を訴えた。

 三百年かけて覚えた言葉は幼さが残り、抑揚と発音が未だ怪しい。しかし、意思疎通が出来、良い悪いの価値観が生まれたのはこの上ない成果と言える。

 私の事を巣か何かと勘違いして、相変わらず私の中でずっと過ごしているのは改善の必要があるが…………。


「もうちょっと、このままでいよう」

「おなかすいたぁー。アルマおねえちゃんのごはんたべたいぃー……」

「ガルマスアルマは石材の運搬で忙しいから、また今度作ってもらおう。私のご飯は?」

「あきたぁー」


 『ぐっさぁああっ!』と、赤熱する鉄の槍で尻から口まで貫かれたような痛みが走る。

 たった一言で、心も身体もボロボロのグズグズのビチャビチャ。辛うじてガワだけを保ち、目を水中に入れて溢れる涙を池に混じらす。

 マタタキの言葉は無邪気で、深い意味はない。

 だが逆に、それは彼女の紛れもない本心でもある。

 本心から、私の料理に飽きたと。甘党のマタタキに合わせて甘い卵焼きや味噌田楽、たっぷり油を吸わせた焼き茄子に甘くてしょっぱいすき焼きなどなど、前世のうろ覚えの記憶からこちらの食材で再現できるだけ再現したのにっ。

 飽きたって…………。


「おい、しなずちっ! いい加減にこの枷を外せっ! もう国に帰るって言ってんだろうがっ!」


 私の離れの縁側で、鎖付きの首輪手枷足枷で繋がれたドガが私に怒鳴った。

 粗野で粗暴でよく通る声は、周辺の山々に反響して木霊する。何度も何度も耳に届き、頭が認識する度に微小の怒りが蓄積していく。

 社の本殿をほぼ全壊させておいて、何を言っているんだこの駄女神は……。


「リエラ。ドガの艶っぽい声が聞きたいな」

「はぁ~い。ドガちゃん? 乳搾りと、アヘ顔で気絶するまで子作り、どっちが良い?」

「目ぇ覚ませよ、リエラッ! 俺達は確かにそういう関係だけど、あんな奴に強要されてやるなんて嫌だっ!」

「私は好きだよ? ドガちゃんのぺったんこだったお胸がお母さんみたいに大きくなって、こうやってしゃぶるとあまんうえおいひいんあお?」

「や、やめ――――ひぎぃいっ!」


 小さな出口を舌でこじ開けられ、敏感な内側を舐められてドガの背筋がピンっと伸びた。

 私が直々に大きくした爆乳が、つられて持ち上がって跳ねて波打つ。

 勢いを抑えきれず、リエラの口が先端から離れた。ピンクと褐色の体表にたっぷりの唾液が塗られて輝く。完全なる四肢拘束と合わせるともう犯罪的な犯罪臭に塗れて塗れ、やっぱり私も混ぜてもらって良いかな良いよね良いんだよきっと。

 答えは聞かず、私は縁側の下に触手を伸ばした。

 程良く出来上がったら二人共巻いて、合わせて三本ずつをくれてぶち込もう。

 片や大波を嵐に置き換え、片や完璧なマウントを崩して無理矢理組み敷く。無意識に覚悟していた以上の快楽で貫き、不快なやまびこは心地良い悲鳴と嬌声を響かせてくれるだろう。

 もうちょっと。

 あとちょっと。

 リエラがドガの脚を掴んで引き寄せて、湿った音を何度も何度も何度も何度も。無駄な抵抗を男っぽい口調が始めて止まり、唐突に女を曝したと思ったら少女を過ぎて雌へと堕ちた。

 『こんなのどうってこ――――ぃんっ! そ、そこだ――んんんんんんんっくぅぃいいいいいいいいっ!』って、どんだけ快楽に弱いの?

 必死に歯を食いしばり、口の両端から溢れた唾液が漏れて伝わる。

 そうやって耐えようとするから耐え切れず壊れていくのだ。ありのまま受け止めてイキ狂えば良い。そして今までの自分を全部捨てて、私のモノになってしまえ。


『しなずち様』


 触手がリエラとドガの足先にかかろうとした所で、本殿跡から静かな口調の念話が届いた。

 送り主は血巫女の一人。

 比較的古参で、社の建設監督をしてくれた棟梁の孫娘だ。幼い頃に魔物に襲われた事があり、両目が無く、背中に大きな鉤爪痕が残っている。

 本殿建て替えの為に、資材調達の統括を任せていた。ついでに棟梁も呼びに行ってもらっていて、戻りは明後日の筈――――


『正面門でお爺様がお待ちです。説教と話があるから早く来い、と』

『ドガが暴国に帰りたいって騒いでるんだけど…………』

『加減も遠慮も容赦もせずに、犯し尽して属神に堕としてください。帰る必要が無くなります。それと、建設資材についても大事なお話がございます。本殿の建て替えに影響が出ると予想されますので、絶対に逃げないでください』

『はぁ~い…………』


 逃げ道にぶっとい釘を刺され、観念した私は伸ばした触手を身体に戻した。

 本殿の件は謝るしかないとして、棟梁からの話でそれ以外って何だろう?

 資材の買い付けも何か問題があったようだし、そちらも大いに気にかかる。巫女達は今、アーウェルが使っていた仮設住宅で寝泊まりしている。十分な個人スペースと一人遊び出来るプライベートがなく、本殿の再築を急がないと余計な不満が溜まってしまう。

 ユーリカ達が気を回してくれているとはいえ、一部のレズ嗜好が強い巫女達は毎晩のように大乱交を繰り広げている。貞操観念の強い娘からするとストレスで、逃げるように夜這いをかけてくるからそろそろどうにかしないと…………。

 いっそ、乱交に私も混ざるのが良いのかな……?


「はぁ…………リエラ。ドガが私の属神になるって言うまで寸止めし続けて。なるって言ったらずっとイかせ続けて」

「わかりました。後でたっくさんご褒美ください」

「ぁ……っ…………ぃぎぃ……っ……」

「ドガちゃん。中のを一回全部出そっか」

「っ!?」


 楽しそうな掛け声の後、断末魔の様な絶叫が山々と大地に木霊し消えていった。

 狂えていれば幸福だが、神の精神力は中々に頑丈だ。

 これからが地獄の始まりで、同時に天国への入り口でもある。精々私も楽しませてもらうとして、その前の難題にゆったり泳いで私は向かう。

 尊敬してるけど、苦手なんだよね。棟梁。
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