しなずち ~転生触手妖怪 異世界侵略風味、褐色爆乳女神と現地収穫の巫女衆を添えて~

花祭 真夏

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第119話 三秒に満たない三年

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 何度目かわからない盛大な痙攣を触手の先に感じ、置き土産を残して上を擦り上げる様にゆっくり引き抜く。

 白目を剥き、気をやり過ぎて意識を失ったナレアの身体が前に倒れる。固く殺風景だった石造りの神殿は私の触手で全て覆い尽くされていて、受け止めなくても優しく優しい受け止めを気絶者に対し約束している。

 どすんっ、ではなく、たぷ……んっ。

 身体と床に挟まれた胸が潰れて広がり、真後ろから見て両側にはみ出ている。立っていても背中で隠せない程の物量だ。魅力も隠そうとして隠し切れず、両腕を掴み押さえて間髪入れず次ラウンドと、もう百回以上はやっただろう。

 もう一回と腰を落とし、後ろから柔らかい柔らかさを押し付けられる。

 見ると、目の焦点が合っていないディユーが朦朧とした意識の中で圧し掛かってきていた。だらしなく唾液を漏らし、他も盛大に漏らして噴いて素晴らしく美しく艶めかしい。

 やっぱり、犯されるより犯す方が大好きだ。


「しなずち様、もう良いんじゃない? そろそろやりっぱなしで三年くらい経つわよ?」

「う~ん……まだ神喰いについて理解が足りない気がするんだよねぇ……」

「二年半前からずっとそう言ってるじゃない。ここでわかる事は大体わかったんだから、いい加減外に出てやる事をやりなさいっ」

「むぅ……残念」


 足をがくつかせるアシィナの静かな気迫に負け、私は両手をゲル状不定形に解いて広げた。

 倒れ込むナレアと背中のディユー、アシィナの足元で痙攣しているマタタキの身体をまるっと包む。

 びちゃびちゃの水気を吸い取り舐め取り、身を清めて羽衣を着せる。外に出ても良いように、誰の目についても良いように、私だけの彼女達を私の血衣で覆って隠す。

 よし。準備完了。


「ねぇ、私は?」

「ケイズに見せて諦めてもらおうかと」

「実の親に事後なんて見せられるわけないじゃない! さっさと清めてさっさと着せて! でないと一週間入れっぱなしにするわよ!?」

「止めて、ガバガバになったらどうするの……」


 見せ付けられる中指の動きに、尻を隠して一歩退く。

 三年もやり通しだと、私もそうだがアシィナ達もかなり技巧が上がっていた。侵入時の一擦りで腰が浮き、戻りの引っ掛けで腰が引き、押し付けるようなダメ押しにアヘってんほぉおおおって叫ばされる。

 四人にとって、それは攻守逆転の合図だ。

 力の入らない私を仰向けさせ、舐めて跨って搾り取る。復活しかけるとまた入れて擦って昇天させて、全員が満足するまで一方的に嫐り犯す。

 一ヶ月続いた時は流石に狂いそうになった。

 いや、凄く気持ちいいし凄く良いんだけど、最も満たされる極みのあと一歩が届かない。

 くしゃみをしようとして出来ないストレスに似ている。もどかしくってもどかしくって、やっと出来るかと思ったらまた不発でストレスループがもう一回。

 隙を見て押し倒して一方的に使って使って、やっとの解放で溜めた全てを吐き出し満たされる。

 あ、思い出したらまたちょっと…………。


「アシィナ、最後に一回良い?」

「ダメ。それで何回やり戻ったか覚えてないでしょ? 本当にいい加減にしないと本当に怒るわよ?」

「ふぇぇぇぇ…………ナレアぁ~。アシィナが怖いよぉ~……」

「精神退行起こしてないで、ほらっ。調査結果の書類も纏めてさっさと準備するっ」


 無慈悲に急かされ、アシィナを包んで清めて着せる。

 他の三人は動けないから触手で抱いて、少し離れた場所に置いていた数十枚の書類束を手に持った。このほぼ静止空間で調べ上げた神喰いに関する調査報告書。ケイズに対する協力の対価として、きっと相応に価値ある品だと思う。

 ただ、要約すればたった一言で済んだりもする。

 神と尖兵の天敵、と。


「喰った神の力を取り込み、神の力に対する強大な抵抗力を持つ存在、か」

「幸いなのは攻撃より防御に突き抜けてる事よね。食べた量にもよるんだろうけど、攻撃面の伸びは防御面の半分以下。その上、自身を構成する要素が邪魔をして亜神にもなれない」

「もっと食べさせればしなずちになってくれるかと思ったけど、三年かけても上手くいかなかったし…………アシィナとマタタキは食べさせても全然変わらなかったし…………」

「種族によって適性が変わるってわかったのは一番の収穫よ。推測だけど、多分神から遠い存在であるほど神喰いの適性は上がる。この世界で一番遠い生物は人間で、次点はドワーフやケンタウロスといった亜人種。精霊や妖精は世界に近いからダメね。私みたいな魔族やネスエルみたいな天使、シムカを始めとした亜神同然の眷属なんて絶対に無理」

「でも神に近づく眷属化は出来るから、そこの所がやけに曖昧なんだよねぇ…………」


 十六本から三十二本に増えたナレアとディユーの触手をチラ見し、少しばかり思案にふける。

 神である私に神喰いである彼女達が慕い従う。この一点に疑念が過ぎり、調査半分功績半分で二人を眷属へと迎え入れた。

 存在そのものの反発を予想して、端からゆっくり少しずつ。

 しかし意外な事に、眷属化は染み入る様にすんなり進んだ。むしろ私が意図しない速度と容易さとスムーズさで、今までのどの娘達よりも早く簡単に行えた。

 神の天敵である神喰いを、何故眷属にしやすいのか?

 何かしらの意図を感じるというか、そう仕組まれているんじゃないかと疑わしく思える。前世で、『世界がそう在るのはそう成るように出来ているからだ』とヴァテアの奴は言っていた。もしかしたら、まさしくその通りなのかもしれない。

 ――――そういえば、大学で教授が言ってたな。

 『化学屋は無理を無茶にするのが仕事だ。無茶を当然にするのは技術者の仕事だ』。


「…………神喰いが眷属になるのは、システム的に用意された当たり前? だとしたら、かなり綿密に設計され、確立した『技術』なのか……?」


 だとしたら誰が、何の為に?

 そもそも、一体どこからが?

 まさか、神も――――


「しなずち様。一人で考えるより大勢で考えた方が早く済むわ。丁度良いのが外にいるから、引っ張って行って手伝わせましょ?」

「うぅ~ん…………そうだね。材料が少なすぎるし、そうするよ」


 思考の輪廻を途中で切り上げ、私達は牢獄の出口に向かって歩いた。

 私からすれば三年ぶりの再会。あちらからすれば三秒に満たないほんの瞬き。

 どう出ていくのが正しいのか。

 何と言うのが正しいのか。

 少しばかり楽しみだ。


「じゃ、まずは父さんを拾ってダークハイエルフの里に行きましょ。いい加減しなずち様の血肉は食べ飽きちゃった」

「それはちょっと悲しいかも…………複雑……」 
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