しなずち ~転生触手妖怪 異世界侵略風味、褐色爆乳女神と現地収穫の巫女衆を添えて~

花祭 真夏

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第97話 帝国へ

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 大きなたんこぶを氷嚢で冷やしながら、アンジェラに手を引かれてミカ・ヴァスの会議室を訪れる。

 簡単にテーブルと椅子くらいしかないそこには、猿轡と目隠し、手枷足枷を施されたシムナとシムカとマタタキが転がっていた。誰が作ったのかかなり凶悪なおもちゃが刺さっていて、今も盛大に動き回って床に湿りを供給し続けている。

 身を捩り、快楽に震える姿が酷く艶めかしい。

 ただ、拘束自体は普通の布や縄で行われていて、その気になれば簡単に抜けられる。自主的に切り上げるくらいいくらでも出来るのに、この三人は一体何をどうしてこんな様を晒すのだろうか?

 疑問を視線に篭めて、知っていそうなアンジェラに向く。


「何で素直にオシオキされてるの?」

「多少なりとも負い目があるんだろ。坊やの魂が身体に無いってのに、この娘と一緒に丸一日坊やを貪ってたんだよ。主の一大事に何やってんのかって説教して言い聞かせて、リタにオシオキ棒を突っ込ませてそろそろ半日経ったくらいか。後は、坊やが罪状を決めて罰を与えるだけだ」

「この状態からの罰って、逆にご褒美になりそうだからやめとこう。マタタキは封印に入れて取り込んでおくとして…………カラ、カル! シムナとシムカの介抱を宜しく! あと、巫女達に出立の準備をさせて! 三時間後に帝国に向かう!」

「「『かしこまりました』」」


 私の影から瓜二つの白狐巫女姉妹が這い出、痴態を晒す三人から極力乱暴に拘束と玩具を引っぺがす。

 何やら恨みの篭った力加減を不安に思い、諭す為に尻尾を優しく三度撫ぜる。気を良くした二人は以降丁寧に痴巫女達を扱い、マタタキだけ私に寄越して、後の二人を肩に担いで出て行った。

 残された私は、ドロドロになった魅惑の塊を封印の短剣に収めて胸に。

 こうやって体内に取り込んでおけば、いつでもどこでも彼女を出せる。まだ有意識下で彼女を味わっていないから、適当に暇を作って後日たっぷり堪能しよう。いや、そもそも彼女の能力下にあれば時間を気にする必要はないから、今からでも何も気にせずやりまくれるのか?

 あぁでも、アンジェラがわざわざ戻ってきてくれたのに、彼女を後回しにするのはちょっとなぁ…………。


「ふぅん……十尾のカルラか。超一流の暗殺者姉妹もモノにするなんて、順調だったようだね?」

「そうでもないよ。それより、アンジェラが戻ったって事は報告に来たって事だよね? 帝国はどうなってる? 主に神界絡みで大分問題になってるんだけど?」

「問題……問題ねぇ…………まぁ、そうなるか…………」


 歯切れの悪い言葉をぽつぽつ呟き、アンジェラは椅子を用意してドカッと座った。

 私も椅子を座れるように引き――――手招きされて縁を離す。

 木製の上に柔肉製のカバーが重ねられ、頭の辺りは左右に広げられて準備されている。期待を込めてそっと腰を乗せると、二つの腕に即座に捕まって深く深くまで引き込まれた。

 あっ、これ良い。すごくぴったり。肌と肌が吸い付いて離さなくて温かくて、ハーブ石鹸とアンジェラの匂いが混ざって顔の左右からぱふっぱふって――――。


「ぁふっ……ぅぅ……んぅ…………っ」

「堪能しながら聞いておくれ。結論から言うと、帝国は今レスティの手中だ。帝国はパルンガドルンガからずっと私達を監視していたらしく、国境に着いたレスティ達は国賓として丁重に迎えられた。もちろん訝しんだが、向こうはとにかく必死でね。国の信仰を対価に、国家レベルで直面する問題の対処を約束されられたんだ」

「国家レベルの……んくっ…………問題……?」


 両耳を上下に擦られ、挟まれ、ぎゅっとされて幸せいっぱい。

 報告の内容に耳を向けつつも、何とか長引かせて少しでも現状を維持する方法を思案する。有限な時間だからこそ、今この瞬間の価値は計り知れない。一分一秒でも時を稼ぐ方法はないだろうかと、蕩ける意識の片隅で考えようとして全く考えられる余裕がない。

 片手で顎を掴まれ、片側の柔壁に顔を埋められる。

 巫女になる前の彼女では出来なかった、圧倒的容量による無慈悲な圧攻。正しく息をするのも忘れ、沸き上がる汗の香りを吸い込もうと過呼吸気味にとにかく吸う。

 ヤバイ。このままだとアンジェラで溺れ死ぬかも。


「スースーハ―スーハーススースースースーーーーーー…………ッ」

「この変態。――問題ってのは、帝国中枢を担うエルフ族の出生率低下だよ。ブラックマーケットで坊やの薬を仕入れられた連中は世継ぎが産まれ、それ以外は兆候すらない。貴族間で薬の争奪が始まったら変に派閥が生まれ、最悪内戦の危険すらあった」

「スーーーーーーー……ッ」

「そんな時に、坊やの巫女が帝国を訪れた。派閥、勢力を問わず諸手の歓迎だ。レスティはその状況を利用して坊やへの信仰を集め、七日と経たずに国の実権まで掌握した。ただ、手元に薬はないから坊やが必要で、ユーリカの強い勧めで私が呼びに行く役を受けたってわけだな」

「スーーーーーーーーーーーーー…………ッ、わかった。それじゃ二時間くらいしよっか」

「何が『それじゃ』なんだい? これで我慢しなっ!」


 掴まれていた顎を離され、柔壁の両側に視界が埋まる程まで沈められる。

 ぴったりみっちりしっとりむちむち。アンジェラの雌で五感全てが覆い尽くされ、心と身体と魂が悦びに浸かって染まって叫ぶ。末端から昇天しかけの悪霊のようにプルプルしだし、気を抜けばこの身が滅びて次の身体に移ってしまいそうだ。

 あーっ、あーあーあーあーあーっ、あーっ、あーあーっ。


「大人しくなったねぇ。丁度良いからこのまま攫うか。リタ、いるんだろ? 私達は先に行ってるから、他の連中に後から追い掛けてくるよう伝えな」

「えぇ~? 久しぶりに姐さんと一緒にしたいぃ~……」

「帝都の最高級宿を取っておくから、今夜はそこで三人でしようじゃないか。ソフィア達には直接帝城に行くよう言っておいて、途中で抜けて合流しておいで」

「それでこそ姐さんです! しなずち様の次くらいに愛してます!」

「もう今更だけど、アンタも大概だね。私なんかの何が良いんだか……」


 ため息を吐くアンジェラに、心の中で『全部だよ!』と思い切り叫んだ。

 無論伝わってなどおらず、口を塞がれて声も出せない。伝えるのは今夜にする事を決め、されるがままを受け入れて帝国へのエスコートを彼女に任せる。

 普通の足なら六日の道のり。

 今日中に帝都に入るなら相応の激しさが予想され、心の噛み合わせを直して気を引き締める。

 幾度となく襲い来るであろうアンジェラの愛の暴力は、まさしく暴力と言って差し支えない。道中で堪えきれなくなる可能性ももちろんあり、その時はすまないが、リタはお預けを喰ってしまうだろう。

 …………アンジェラとリタの合わせ丼は、凄く美味しくて凄く歯ごたえがあるんだよなぁ……。

 どうしようか迷いに迷い、いっそのこと運命に任せてしまおうと目を閉じる。寝て起きて、目の前にいる娘達を全員頂く。堪えて受ける精神的ダメージがほとんどなく、お預けをされても幾分持ちこたえられるかもしれない。

 とりあえず、五時間ほど眠ろう。

 私はアンジェラに全てを委ね、目覚めた後の楽土に思いを馳せた。願わくば、そこにリタもいる事を願う。もしいなかったら、社に戻った時に機会を作ろう。

 少しだけ、おやすみなさい。
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