しなずち ~転生触手妖怪 異世界侵略風味、褐色爆乳女神と現地収穫の巫女衆を添えて~

花祭 真夏

文字の大きさ
上 下
104 / 188

第89話 自ら地獄に舞い戻り、そのまま地獄に落とされる

しおりを挟む
 『執務中につき巫女の立ち入りを禁ず。特にシムカとシムナ、わかってるよね!?』


 勇国との終戦協議を終わらせてミカ・ヴァスに戻った私は、執務室入り口に看板を立て、自ら書類地獄へと身を投じた。

 全ては、シムナとシムカという侵略者から逃れる為。

 全力再生を始めてから三日経ち、ようやっと括約筋の断裂と緩みを修復できた。歩行に若干の支障が出ているものの、二日も静養すれば身体構造を最適化し直して元に戻り、今まで通りの生活に戻れる。

 そう、戻れる。

 戻ってしまう。

 あの二人の毒牙が私の尻穴を狙い、正面から、横から、後ろから、木陰から、直上から、音もなく姿もなく気付く暇すらもなく襲い来る恐怖の日々に。


「しなずち様。率先して仕事をして頂けるのは嬉しいんですが、私達に交代勤務を強いてまで一人でいる事を回避するのはやめてください。仕事が進み過ぎて、まだ昼なのにもうやる事がありません」

「そんなはずないよ、アラタッ! 三日前に王都に向かう前はあんなに残ってたのに、戻ってきた後の一日と少しで終わるわけがない! 町長だからって隠してると為にならないよ!?」

「隠してなんていませんって。ただ、やけに巫女の皆さんが協力的で、現場の仕事がすごい勢いで終わっていったとの報告があります。愛されてるって事ですから、さっさと出てって貪られれば良いんですよ、この淫乱蛇」

「尻穴に小指の第一関節も入れられた事がないからそんな事が言えるんだよ! あのゾワッと来る感覚に気持ち良いかもって思ったら最後、一本が三本になって四本を通り越して手首まで入ってるんだよ!? 嫌って二回目を言う前に女の子みたいな声を出させられて、『イヒィッ!』とか『あふぇぇええええっ!』とか言わされて…………もうお婿にいけないぃぃぃ…………」

「嫁を貰えば良いと思います。では、私は現場の視察をして直帰しますから、あとはお一人で頑張ってください。他の皆も帰しましたので、明日の朝までなら誰か連れ込んでも邪魔は入りません。ごゆっくり」


 踵を返す九尾の白狐を、私は裾を触手で掴んで引き留めた。

 上目遣いの涙目で縋り、「気色悪い」と唾棄されて振り払われる。恋人との仲を夫婦に昇格させてあげた恩を忘れてしまったのか? ぐちゃぐちゃになった死体を見る様な蔑みを向けられて、とてもとても悲しい気持ちにさせられた。

 君の何が、私にそんな感情を向けさせるのか?

 反乱を起こそうとしたけど命を助けて町長にして、恋人と片想いされていた娘二人を娶らせてあげて、来月くらいにはご懐妊の報告を貰えるよう仕込んであげて――――私はそんなに悪い事をしたのだろうか?

 メインディッシュを白濁ソースで盛り付けた後、眺めながら姉妹デザートを食べて凄く美味しかったでしょ?


「おにいたん、たすけて……」

「エハの真似ですか? そんな事をやってるから自分の首を絞めるんですよ? 窓の外でシムナ様が聞き耳を立ててます。『おねえたん』とか言わせられますよ、きっと」

「アラタ、どうにかして! 不老不死の秘薬でも何でもいくらでも用意するから! 何だったらパパって呼んであげるから!」

「ド淫乱なショタ蛇の子供なんていりません。シムナ様っ! 私はもう行きますので、後はごゆっくり! 立て看板も片付けておきます!」

「嫌っ! やめてっ! 誰か、誰か助けて! 犯される!」


 部屋の外を触手が這い始め、徐々に隙間が無くなっていくのを熱感知で感じ取る。

 アラタが立て看板を外したら、ありとあらゆる隙間から侵入してくる筈だ。そうしたら最後、眷属の力で私の身体は人型に固定され、抵抗もままならず前と後ろを蹂躙される。

 影に潜むカラとカルも、興味深そうに私の尻を見ていた。

 きっと全員でかかって来るに違いない。

 今度こそ自我と理性を保てず、圧倒的な快楽に魂と脳細胞を焼き切られるのだ。廃人となってバター犬のように扱われ、来る日も来る日もお腹を晒して踏み躙られる生活を送る羽目になる。

 何か手はないか?


『――――』

「っ!?」


 シハイノツルギが、体の中で甲高い音を鳴らした。

 自分と何かをぶつけて、存在を知らせている。しかし、私の中にある私以外は旅費用の硬貨が主で、シハイノツルギなら簡単に斬り裂いてしまう筈。

 他には何が――――!?


「魔神封印!」


 音源の辺りを弄って、封印のナイフと鍵を取り出す。

 琥人の言った事を鵜呑みにするなら、この鍵で封印の中に入れる。一時的とはいえ姿を隠せ、態勢を立て直す余裕を持てるかもしれない。

 アラタがドアに手をかけ、押し開けようと力を込めている。

 もう時間がない。私は鍵をナイフの柄部分に差し、躊躇せずに一周回した。

 鍵穴なんてないにもかかわらず、鍵は鍵としての機能を当たり前のようにこなして見せる。三百五十五度の辺りで僅かな抵抗に当たり、解錠の気配を知らせてくれた。勢いに任せて残りの五度を回し切り、飛び出した真白な布に全身を包まれ引き込まれる。

 自由落下に似た感覚に、若干の不安を抱く。

 だが、今迫る恐怖に比べればずっとマシだ。私はされるがままに身と心を委ね、少しでもマシな状況に逃れられることを目を閉じ願った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...