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第25話 都合の良い休戦の使者
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ギュンドラ王国と休戦する。
私の呼びかけで始まった会議は、全会一致でそう決まった。
地域情勢から、ダルバス神聖王国の滅亡は不可避。そうなれば、神々のルールを知らない、もしくは知っている者達によって尖兵は見逃され、ダルバス神再興の目が残されてしまう。
確実に仕留め、一柱分の座を確保しなければならない。
では、誰がダルバス神の後釜に就くか。
意外にも、これはすんなり決まった。力の女神アーウェルだ。
正義を倒し、民衆の支持と信仰を得るのは難しい。
知は小賢しく、勇は正当性が無く、繁栄はそもそも関係が無い。尖兵を倒してもその後の統治を円滑に行えず、だからこそ、支持と信仰の土台を吹き飛ばす『力』が必要となる。
正義とはとどのつまり、勝った方が正しいのだ。ならば、単純でわかりやすい力の尖兵達は、この上なく適切な侵略者と言えた。
そして、決まってからは早かった。
第一軍はクルングルーム領から撤退し、ギュンドラ王国を迂回する形でダルバス神聖王国に向かった。
奴らの足なら、徒歩で二か月かかる道のりを十日で駆ける。俺達はその間にギュンドラ王国と停戦合意を結び、可能なら終戦して、第一軍の支援物資を運ぶルートを確立させたい。
こっちから攻めておいて何を言っているのかと言われるかもしれない。
だが、状況は既に変わっている。南北の戦争と内の交渉を、南の戦争と内の円満に変えられる。
少なくとも、私にはそれが提示できる。
しかし、思惑通りにはなかなかいかないもので、私は交渉の場であるアギラ領領主館の一室で一人ため息をついた。
「やり過ぎたな……」
交渉の為に単身訪れた私に、若年の新領主はこう告げた。
『停戦協議はギュンドラ王が直接為される。馬車が遅れていてもう二日ほどかかるが、その間はこの部屋から出ないで欲しい。先の襲撃で皆気が立っている。貴方の身の安全を保証できない』
間接的にとはいえ、父親を殺した相手にあそこまで理性的に振る舞える新領主の器の広さ。
感嘆に値し、対して、ギュンドラ王が遅れている原因を推測して自分の事が恥ずかしくなる。おそらく、ミュウに仕掛けた所業が強く影響しているだろうから。
先日明け渡したミュウには、体力の増強と、子を孕むまで性欲が尽きなくなる本能の強化を施してあった。
寝ずに抜かずの連戦も余裕で出来る。おそらく、やりながらこっちに向かっているから時間がかかるのだろう。それを考えると、今私が置かれている状況は巡り巡った自分の行いの結果とも言える。
いっそのこと、こちらから迎えに行って強化を弱めてやるべきか?
そんな事を考えていると、数度ドアがノックされた。力強く、荒々しく、未知への恐怖を吹き飛ばさんと無意識に自身を鼓舞する音だ。
「どうぞ」
私が声をかけると、ゆっくりとドアが開かれた。
腰に双剣を差した男と黒いローブに身を包んだ女魔術師。
二人とも見覚えがあり、その人選に、ギュンドラ王の何がしかの思惑が感じ取れる。
「……ん?」
「あれ? 部屋間違えた?」
「間違えていませんよ、勇者ガイズ。あと、お名前は聞いてませんでしたね、お姉さん」
しばらく前に、クルングルーム領で会った二人。来ている服や鎧がボロボロで、第一軍との戦闘の激しさがよくわかる。
それと、姿はなくとももう一人。
「貴方もお久しぶりです。閃夜のユーゴ」
「……ふん、貴様がしなずちか」
窓のカーテンの陰から噴き出した霧が集まり、黒い外套とマスクに身を包んだ男が現れる。
事前に聞いていたのか、そちらにガイズ達は驚かない。私がユーゴに気づいた事にのみ戸惑いを見せ、以前出会った時とは変わってしまったこの姿をまじまじと確認してくる。
特に、女魔術師の方は興味津々だ。
目を輝かせ、許可もしていないのに私の肌に触れ、きめの細かさと質感を確かめていた。
「面影はあるけど、あの時は二十代前半、今は十歳くらい? 若返りの魔術なんて、出来る事なら是非ご教授頂きたいわ」
「巫女達に搾り取られて幼くなっただけです。私の巫女になるなら不老長寿を約束しますよ?」
「あ、どうしよ。ガイズ、私抜けても大丈夫?」
「勘弁してくれ、ロザリア。ユーゴの旦那も剣から手を離してくれ」
私の軽口が気に障ったらしく、ユーゴは今にも剣を抜こうと構えていた。
シムナの報告で、彼の家族を狩り蛇が吸い殺した事は知っている。
不死の長い生は人間らしい感覚を薄れさせていくものだが、彼はその中でもまともな方か。表面上抑えていてもちゃんと感情があり、見る者が見ればわかりやすい程起伏に富んでいる。
しかし、休戦交渉のメンバーとしては私怨が入りやすいのではないだろうか?
まあ、どうにでもできるし、別にどうでも良いか。
「貴様は信用ならん」
「悪魔と違い、妖怪は契約を守ります」
「ハッ。契約を反故にする方法はいくらでもある。貴様もその手合いだろう?」
「それが出来れば、今頃この国は私の手の内ですよ」
国家転覆は、私のように配下を増やす妖怪にとっては非常に容易い。
まず一人捕まえて隷属させ、二人に増やし、四人に増やし、八人に増やし、十六、三十二、六十四、百二十八、二百五十六、五百十二と倍々にしていく。
見込みのある者は側近に、普通の者は普通に、見込みがない者は捨て駒に。
ふるい分けて分類し、十分な数になったら国の中枢にも手を伸ばす。そして、静かに、いつの間にか、トップに自分が座っているのだ。
私の役割が第一軍と第三軍のサポートでなければ、これをやっていた。
だが、ギュンドラ王国への侵略は彼らの担当で、その後の統治もそう。各々に定められた領分があり、それを逸脱する事は契約違反に等しい。
故に、出来ない。
「妖怪にとって、契約は生き方。それを否定する事は自己の否定になる。概念的な存在が自分に『違う』と言えばどうなるか、様々な禁忌を抱えるヴァンパイアであれば、言わなくてもわかるでしょう?」
「…………流れる水の上、太陽の下、招かれざる建物。私達の行動制限と貴様の契約は同じ物だと?」
「厳密にいえば違うでしょうが、そんな所です。貴方の向こうにいるギュンドラ王にも伝えてください。私は私の役割の内でしか動けない、と」
「……貴様の『家族』も契約の一つか?」
意外な言葉に視線を向けると、侮蔑の瞳がこちらを見ていた。
「脅し、犯し、隷属させた者を『家族』と呼ぶのは楽しいか? 奴隷と何が違う? 呼び方を変えて、罪悪感をごまかしているだけじゃないのか?」
「旦那、大事な交渉の前だ。抑えてくれ」
「ガイズ。お前も、先のアギラ襲撃で妹を連れ去られたんだろう? 犯人を目の前にして何故平気でいられる!?」
「平気じゃねぇよっ。すぐにでも取り返してぇ……でもな、俺は勇者だ。一人より大勢救わなきゃならねえんだ。せっかく生まれた平和のチャンスを、俺の我儘でぶち壊せるわけねえだろっ」
何やら暑苦しい展開になってきて、私は少し距離を置いた。
出来るだけ遠いソファーに座り直し、用意されていた紅茶を啜る。補給路の襲撃活動中に黒巫女衆が作っていた薬草茶も良かったが、こういう嗜好品も違った味わいが楽しめてなかなかに良い。
スッと、目の前に鮮やかな狐色のスコーンが差し出された。
見れば、ロザリアも舌戦から逃れるべくこちらに避難していた。反対の手には大きめのトレイにティーポットと菓子類、自分用のカップを載せている。
止める気はないらしい。
適当なテーブルを足で引き寄せ、トレイを置いてすぐ隣に腰掛ける。
「ごめんね、面倒臭くて」
「いえ。ガイズの妹は魔術師?」
「そうそう。私の後輩のショタコン娘。勇者候補の子に一目惚れしちゃってパーティに入ったんだけど、魔王とアンタらが戦った時に行方不明になったの。同輩の魔術師と剣士と一緒に。そっちで捕虜にしてる?」
言われてすぐ心当たりが浮かぶ。
あの戦いの中で、ノーラと戦っていたパーティの女魔術師二人と女剣士一人を捕えていた。第一軍か第三軍にでもくれてやろうと、今も卵にして保管している。
そういえば、アガタに引き渡し忘れた。虎娘二人と悪魔娘がいるから、必要とは言えないだろうが……。
―――ここで使うのもあり、か。
「私が捕虜にしています。返還には、正当な対価か代償が必要です」
「そっかそっか。こんなので良い?」
ロザリアはローブの破れた部分を広げ、私の手を取って内側の肌色を触らせた。
相手をするから返してほしい、と。勇気ある行動ではあるが、表情の硬さと手の震えから無理をしていることがわかる。
報いてやりたい気もする。
しかし、三人の捕虜と一晩の相手では、対価として釣り合っていない。私は彼女の手を取り、膝の上に置かせて離した。
「彼女達はギュンドラ王との交渉の材料にもなる。貴女の身体では釣り合わない」
「じゃあ……何が必要かな?」
「貴女の全て―――と言いたい所ですが、もっと優先すべき事があるので、そちらをお願いしましょう」
本来なら急いでやらなければならない事だ。丁度良いから、彼等の戦力を使わせてもらおう。
彼女に微笑むと、私は掌から血を滴らせ、二振りの剣を作り上げた。
私の呼びかけで始まった会議は、全会一致でそう決まった。
地域情勢から、ダルバス神聖王国の滅亡は不可避。そうなれば、神々のルールを知らない、もしくは知っている者達によって尖兵は見逃され、ダルバス神再興の目が残されてしまう。
確実に仕留め、一柱分の座を確保しなければならない。
では、誰がダルバス神の後釜に就くか。
意外にも、これはすんなり決まった。力の女神アーウェルだ。
正義を倒し、民衆の支持と信仰を得るのは難しい。
知は小賢しく、勇は正当性が無く、繁栄はそもそも関係が無い。尖兵を倒してもその後の統治を円滑に行えず、だからこそ、支持と信仰の土台を吹き飛ばす『力』が必要となる。
正義とはとどのつまり、勝った方が正しいのだ。ならば、単純でわかりやすい力の尖兵達は、この上なく適切な侵略者と言えた。
そして、決まってからは早かった。
第一軍はクルングルーム領から撤退し、ギュンドラ王国を迂回する形でダルバス神聖王国に向かった。
奴らの足なら、徒歩で二か月かかる道のりを十日で駆ける。俺達はその間にギュンドラ王国と停戦合意を結び、可能なら終戦して、第一軍の支援物資を運ぶルートを確立させたい。
こっちから攻めておいて何を言っているのかと言われるかもしれない。
だが、状況は既に変わっている。南北の戦争と内の交渉を、南の戦争と内の円満に変えられる。
少なくとも、私にはそれが提示できる。
しかし、思惑通りにはなかなかいかないもので、私は交渉の場であるアギラ領領主館の一室で一人ため息をついた。
「やり過ぎたな……」
交渉の為に単身訪れた私に、若年の新領主はこう告げた。
『停戦協議はギュンドラ王が直接為される。馬車が遅れていてもう二日ほどかかるが、その間はこの部屋から出ないで欲しい。先の襲撃で皆気が立っている。貴方の身の安全を保証できない』
間接的にとはいえ、父親を殺した相手にあそこまで理性的に振る舞える新領主の器の広さ。
感嘆に値し、対して、ギュンドラ王が遅れている原因を推測して自分の事が恥ずかしくなる。おそらく、ミュウに仕掛けた所業が強く影響しているだろうから。
先日明け渡したミュウには、体力の増強と、子を孕むまで性欲が尽きなくなる本能の強化を施してあった。
寝ずに抜かずの連戦も余裕で出来る。おそらく、やりながらこっちに向かっているから時間がかかるのだろう。それを考えると、今私が置かれている状況は巡り巡った自分の行いの結果とも言える。
いっそのこと、こちらから迎えに行って強化を弱めてやるべきか?
そんな事を考えていると、数度ドアがノックされた。力強く、荒々しく、未知への恐怖を吹き飛ばさんと無意識に自身を鼓舞する音だ。
「どうぞ」
私が声をかけると、ゆっくりとドアが開かれた。
腰に双剣を差した男と黒いローブに身を包んだ女魔術師。
二人とも見覚えがあり、その人選に、ギュンドラ王の何がしかの思惑が感じ取れる。
「……ん?」
「あれ? 部屋間違えた?」
「間違えていませんよ、勇者ガイズ。あと、お名前は聞いてませんでしたね、お姉さん」
しばらく前に、クルングルーム領で会った二人。来ている服や鎧がボロボロで、第一軍との戦闘の激しさがよくわかる。
それと、姿はなくとももう一人。
「貴方もお久しぶりです。閃夜のユーゴ」
「……ふん、貴様がしなずちか」
窓のカーテンの陰から噴き出した霧が集まり、黒い外套とマスクに身を包んだ男が現れる。
事前に聞いていたのか、そちらにガイズ達は驚かない。私がユーゴに気づいた事にのみ戸惑いを見せ、以前出会った時とは変わってしまったこの姿をまじまじと確認してくる。
特に、女魔術師の方は興味津々だ。
目を輝かせ、許可もしていないのに私の肌に触れ、きめの細かさと質感を確かめていた。
「面影はあるけど、あの時は二十代前半、今は十歳くらい? 若返りの魔術なんて、出来る事なら是非ご教授頂きたいわ」
「巫女達に搾り取られて幼くなっただけです。私の巫女になるなら不老長寿を約束しますよ?」
「あ、どうしよ。ガイズ、私抜けても大丈夫?」
「勘弁してくれ、ロザリア。ユーゴの旦那も剣から手を離してくれ」
私の軽口が気に障ったらしく、ユーゴは今にも剣を抜こうと構えていた。
シムナの報告で、彼の家族を狩り蛇が吸い殺した事は知っている。
不死の長い生は人間らしい感覚を薄れさせていくものだが、彼はその中でもまともな方か。表面上抑えていてもちゃんと感情があり、見る者が見ればわかりやすい程起伏に富んでいる。
しかし、休戦交渉のメンバーとしては私怨が入りやすいのではないだろうか?
まあ、どうにでもできるし、別にどうでも良いか。
「貴様は信用ならん」
「悪魔と違い、妖怪は契約を守ります」
「ハッ。契約を反故にする方法はいくらでもある。貴様もその手合いだろう?」
「それが出来れば、今頃この国は私の手の内ですよ」
国家転覆は、私のように配下を増やす妖怪にとっては非常に容易い。
まず一人捕まえて隷属させ、二人に増やし、四人に増やし、八人に増やし、十六、三十二、六十四、百二十八、二百五十六、五百十二と倍々にしていく。
見込みのある者は側近に、普通の者は普通に、見込みがない者は捨て駒に。
ふるい分けて分類し、十分な数になったら国の中枢にも手を伸ばす。そして、静かに、いつの間にか、トップに自分が座っているのだ。
私の役割が第一軍と第三軍のサポートでなければ、これをやっていた。
だが、ギュンドラ王国への侵略は彼らの担当で、その後の統治もそう。各々に定められた領分があり、それを逸脱する事は契約違反に等しい。
故に、出来ない。
「妖怪にとって、契約は生き方。それを否定する事は自己の否定になる。概念的な存在が自分に『違う』と言えばどうなるか、様々な禁忌を抱えるヴァンパイアであれば、言わなくてもわかるでしょう?」
「…………流れる水の上、太陽の下、招かれざる建物。私達の行動制限と貴様の契約は同じ物だと?」
「厳密にいえば違うでしょうが、そんな所です。貴方の向こうにいるギュンドラ王にも伝えてください。私は私の役割の内でしか動けない、と」
「……貴様の『家族』も契約の一つか?」
意外な言葉に視線を向けると、侮蔑の瞳がこちらを見ていた。
「脅し、犯し、隷属させた者を『家族』と呼ぶのは楽しいか? 奴隷と何が違う? 呼び方を変えて、罪悪感をごまかしているだけじゃないのか?」
「旦那、大事な交渉の前だ。抑えてくれ」
「ガイズ。お前も、先のアギラ襲撃で妹を連れ去られたんだろう? 犯人を目の前にして何故平気でいられる!?」
「平気じゃねぇよっ。すぐにでも取り返してぇ……でもな、俺は勇者だ。一人より大勢救わなきゃならねえんだ。せっかく生まれた平和のチャンスを、俺の我儘でぶち壊せるわけねえだろっ」
何やら暑苦しい展開になってきて、私は少し距離を置いた。
出来るだけ遠いソファーに座り直し、用意されていた紅茶を啜る。補給路の襲撃活動中に黒巫女衆が作っていた薬草茶も良かったが、こういう嗜好品も違った味わいが楽しめてなかなかに良い。
スッと、目の前に鮮やかな狐色のスコーンが差し出された。
見れば、ロザリアも舌戦から逃れるべくこちらに避難していた。反対の手には大きめのトレイにティーポットと菓子類、自分用のカップを載せている。
止める気はないらしい。
適当なテーブルを足で引き寄せ、トレイを置いてすぐ隣に腰掛ける。
「ごめんね、面倒臭くて」
「いえ。ガイズの妹は魔術師?」
「そうそう。私の後輩のショタコン娘。勇者候補の子に一目惚れしちゃってパーティに入ったんだけど、魔王とアンタらが戦った時に行方不明になったの。同輩の魔術師と剣士と一緒に。そっちで捕虜にしてる?」
言われてすぐ心当たりが浮かぶ。
あの戦いの中で、ノーラと戦っていたパーティの女魔術師二人と女剣士一人を捕えていた。第一軍か第三軍にでもくれてやろうと、今も卵にして保管している。
そういえば、アガタに引き渡し忘れた。虎娘二人と悪魔娘がいるから、必要とは言えないだろうが……。
―――ここで使うのもあり、か。
「私が捕虜にしています。返還には、正当な対価か代償が必要です」
「そっかそっか。こんなので良い?」
ロザリアはローブの破れた部分を広げ、私の手を取って内側の肌色を触らせた。
相手をするから返してほしい、と。勇気ある行動ではあるが、表情の硬さと手の震えから無理をしていることがわかる。
報いてやりたい気もする。
しかし、三人の捕虜と一晩の相手では、対価として釣り合っていない。私は彼女の手を取り、膝の上に置かせて離した。
「彼女達はギュンドラ王との交渉の材料にもなる。貴女の身体では釣り合わない」
「じゃあ……何が必要かな?」
「貴女の全て―――と言いたい所ですが、もっと優先すべき事があるので、そちらをお願いしましょう」
本来なら急いでやらなければならない事だ。丁度良いから、彼等の戦力を使わせてもらおう。
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