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第一部
第三十五話 マネー・イズ・ザ・ベスト
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「よう、サムアっ! 新生黒王様だって!? 成り上がったくせに俺達を呼びつけるのかよっ!?」
「戴冠式前に一発殴らせろっ! 略奪中にメテオ級なんて使われて、最新の魔術弾生成連射銃手に入れられなかったんだぞっ!? 身代わりアミュレットも使って大赤字だぜっ!」
「私はお金より子種が欲しいわっ。黒王直系の子供なんて才能と素質の塊よっ。男を産めれば種付け代で稼げるじゃないのっ」
「はいはい、みんな3週間ぶり。ほんとにこっちの空気が性に合うよ」
「ダークエルフは世間体悪ぃもんなっ、ギャハハハハッ!」
よく手入れされて守られた、清純な森の別荘庭園に荒くれ者達と僕が集う。
ドミディナの輸送列車を襲った際、強盗列車の衝突時に共に飛び出した20余名のアウトロー。賞金首仲間として商売敵として、協力したり敵対したりしたから身を以って実力を知っている。チームプレイやチームワークは2流なれども、1人1人は軍の特殊部隊1分隊に匹敵する。
日々生死をかけ、これまで生き抜いてきた生存のエリート。
軽口は多くても、仕事となれば報酬次第できっちりこなす。
「黒王直系って言っても第3位だから、名前だけってみんな知ってるよね? 上の2人に優先権があるし、王城のメイドまで『こいつ飾りだ』って目で見てくるの。まぁ、元性奴隷だし? 今生き残ってるダークエルフもほぼほぼ全員性奴隷か繁殖奴隷だし?」
「見る目がねぇなっ。それで? 俺達呼んだってことは仕事だろ? 内容と報酬を聞かせてくれよ」
「相手はドミディナ。目標は国家滅亡とユーティルス、ディルシナ、ヒュンエルへの分割併合。報酬は1人100万トルエとホワイトドラゴンの鱗を1匹分人数割り。仕事中に手に入れた物は各自の収納ポーチに仕舞って良い」
僕から聞いて口笛が1つ、呆れた表情が人数分。
オープンテラスのテーブルを持ってきて、中央に置いて書類を広げた。ヒュンエル国境に潜伏する人狼部隊の情報と、最近分かった密入国出国の形跡。およそ30人が密かに活動し、はるか後方の正規軍と定期的に連絡し合っている。
判明している顔写真29枚を見て、1人の触手が3枚を取った。
「エビディにガージャ、オルドロか。ドミディナの軍属だったとは初耳だ」
「知り合い?」
「死人狩りのエキスパートだ。人の血が濃いからいつもは人間、特定の脳内麻薬を分泌すると人狼化する。爪には不死否定の魔術式が彫られてて、速いし馬鹿力だし厄介極まりない。13年前のアンデッドマーチはこいつらが解決してる」
「元解決屋か、現役で隠れ蓑ってところか? 人狼の寿命は人間の3倍だからな。実績からするとイリーガル期間も長ぇかもしれねぇ」
「古参組は手の内を知られてる可能性あり、と。でも全部見せるようなヘマはしてないよね? エビディって娘は年頃そうだし、もしかして狙ってたりする?」
「ガージャもだ。アイツら姉妹でなっ。獣化封じの首輪をつけて、いつかヒィヒィ言わせようと思ってたんだよっ」
写真を持った集合触手人ジャジャファビは、2本を伸ばして狙いの2枚をその場の全員に回して見せる。
着込んだローブで人型に見えて、実は20の核から300本を生やす群体知的生命体。
他種族の雌を捕らえて苗床にし、産ませた核と同化する生態を持つ。まさに女の敵と言って良い彼なのだが、アウトローからすれば姿形以外何も変わらない。化け物扱いされる表を早々に切って、ここの皆で酒を交わした回数は100か200かもう忘れた。
――――搾取対象種族と見られる僕も、結構気が合う親友同士。
「へぇ? 出産2回で堕ちそうな釣り目してるよ、この娘達。ジャジャファビって意外と紳士だからねぇ…………ガワの警戒が解けたら戻って来れないかも?」
「なんだよ、イザベラとヤったことあんのか? どうだったんだ、ジャジャ?」
「いやいや、苗床見られただけだからっ。ヤってない、ヤってないっ」
「先に言っておくと、無力化した後の処理は各々に任せるよ。で、コレが仕事の1つ目。作戦立案はディルシナの単眼公が担当し、僕達は遊撃部隊として3国の侵攻を手助けする。どう? 乗る? 報酬はセイコフに預けてあるから、万が一こっちが負けても半額保証がついてるよ?」
『やるに決まってんだろ、馬鹿野郎っ! さっさと前金寄こしやがれっ!』
手を出したり指で丸を作ったり、全員揃ってやる気満々。
前金入りの収納ポーチを1人ずつ配り、僕はジャジャファビの尻を思いきり叩いた。人の目の辺りにある核が涙のような雫を流し、何をするのかとこちらを向く。寄ってきた首に腕回して引っ張り、そっと小さく言って聞かせる。
…………ほんの一瞬、アマゾネス族の女戦士イザベラをチラ見して。
(告白するって言ったの何年前だよっ!?)
(心の準備が必要なんだよっ!)
「戴冠式前に一発殴らせろっ! 略奪中にメテオ級なんて使われて、最新の魔術弾生成連射銃手に入れられなかったんだぞっ!? 身代わりアミュレットも使って大赤字だぜっ!」
「私はお金より子種が欲しいわっ。黒王直系の子供なんて才能と素質の塊よっ。男を産めれば種付け代で稼げるじゃないのっ」
「はいはい、みんな3週間ぶり。ほんとにこっちの空気が性に合うよ」
「ダークエルフは世間体悪ぃもんなっ、ギャハハハハッ!」
よく手入れされて守られた、清純な森の別荘庭園に荒くれ者達と僕が集う。
ドミディナの輸送列車を襲った際、強盗列車の衝突時に共に飛び出した20余名のアウトロー。賞金首仲間として商売敵として、協力したり敵対したりしたから身を以って実力を知っている。チームプレイやチームワークは2流なれども、1人1人は軍の特殊部隊1分隊に匹敵する。
日々生死をかけ、これまで生き抜いてきた生存のエリート。
軽口は多くても、仕事となれば報酬次第できっちりこなす。
「黒王直系って言っても第3位だから、名前だけってみんな知ってるよね? 上の2人に優先権があるし、王城のメイドまで『こいつ飾りだ』って目で見てくるの。まぁ、元性奴隷だし? 今生き残ってるダークエルフもほぼほぼ全員性奴隷か繁殖奴隷だし?」
「見る目がねぇなっ。それで? 俺達呼んだってことは仕事だろ? 内容と報酬を聞かせてくれよ」
「相手はドミディナ。目標は国家滅亡とユーティルス、ディルシナ、ヒュンエルへの分割併合。報酬は1人100万トルエとホワイトドラゴンの鱗を1匹分人数割り。仕事中に手に入れた物は各自の収納ポーチに仕舞って良い」
僕から聞いて口笛が1つ、呆れた表情が人数分。
オープンテラスのテーブルを持ってきて、中央に置いて書類を広げた。ヒュンエル国境に潜伏する人狼部隊の情報と、最近分かった密入国出国の形跡。およそ30人が密かに活動し、はるか後方の正規軍と定期的に連絡し合っている。
判明している顔写真29枚を見て、1人の触手が3枚を取った。
「エビディにガージャ、オルドロか。ドミディナの軍属だったとは初耳だ」
「知り合い?」
「死人狩りのエキスパートだ。人の血が濃いからいつもは人間、特定の脳内麻薬を分泌すると人狼化する。爪には不死否定の魔術式が彫られてて、速いし馬鹿力だし厄介極まりない。13年前のアンデッドマーチはこいつらが解決してる」
「元解決屋か、現役で隠れ蓑ってところか? 人狼の寿命は人間の3倍だからな。実績からするとイリーガル期間も長ぇかもしれねぇ」
「古参組は手の内を知られてる可能性あり、と。でも全部見せるようなヘマはしてないよね? エビディって娘は年頃そうだし、もしかして狙ってたりする?」
「ガージャもだ。アイツら姉妹でなっ。獣化封じの首輪をつけて、いつかヒィヒィ言わせようと思ってたんだよっ」
写真を持った集合触手人ジャジャファビは、2本を伸ばして狙いの2枚をその場の全員に回して見せる。
着込んだローブで人型に見えて、実は20の核から300本を生やす群体知的生命体。
他種族の雌を捕らえて苗床にし、産ませた核と同化する生態を持つ。まさに女の敵と言って良い彼なのだが、アウトローからすれば姿形以外何も変わらない。化け物扱いされる表を早々に切って、ここの皆で酒を交わした回数は100か200かもう忘れた。
――――搾取対象種族と見られる僕も、結構気が合う親友同士。
「へぇ? 出産2回で堕ちそうな釣り目してるよ、この娘達。ジャジャファビって意外と紳士だからねぇ…………ガワの警戒が解けたら戻って来れないかも?」
「なんだよ、イザベラとヤったことあんのか? どうだったんだ、ジャジャ?」
「いやいや、苗床見られただけだからっ。ヤってない、ヤってないっ」
「先に言っておくと、無力化した後の処理は各々に任せるよ。で、コレが仕事の1つ目。作戦立案はディルシナの単眼公が担当し、僕達は遊撃部隊として3国の侵攻を手助けする。どう? 乗る? 報酬はセイコフに預けてあるから、万が一こっちが負けても半額保証がついてるよ?」
『やるに決まってんだろ、馬鹿野郎っ! さっさと前金寄こしやがれっ!』
手を出したり指で丸を作ったり、全員揃ってやる気満々。
前金入りの収納ポーチを1人ずつ配り、僕はジャジャファビの尻を思いきり叩いた。人の目の辺りにある核が涙のような雫を流し、何をするのかとこちらを向く。寄ってきた首に腕回して引っ張り、そっと小さく言って聞かせる。
…………ほんの一瞬、アマゾネス族の女戦士イザベラをチラ見して。
(告白するって言ったの何年前だよっ!?)
(心の準備が必要なんだよっ!)
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