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第一部
第十六話 撤収!
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市場に出たオリハルコンインゴット。
エンディグレルを狙う盗掘団。
ただの点と点で裏付けは何もなく、勘の一言でギレイス何某を間に繋げる。ハイドワーフとハイエルフなんて天敵同士、まともな恋愛でハーフが出来るわけがない。おそらくどちらかがどちらかを奴隷にして、孕ませ産ませて認知したのだ。
では、一体どちらなのか?
かなりの高確率で、ハイエルフの貴族だろう。
「ヴィナ、デルサ。エンディグレルの技術書等をこのポーチ、鍛冶工具類はこっち、窯等の中規模はこっちのバックで、運び出せそうにない大型にはこの爆弾を取り付けて」
「……なにをする気ですか?」
「たぶんハイエルフの裏組織が、ドワーフ族やサイクロプス族のオリハルコン製法・加工法を狙ってる。他の7工房までは見てられないけど、エンディグレルだけでも技術を隠匿しないといけない。あの超排他主義自己優良種思想のことだから、当然の権利とばかりに工房都市全部を占有しようとするよ」
「待て待て待てっ、ここを破壊する気か!? やめてくれっ! 私達の故郷だっ、故郷なんだっ!」
「悪いけど、生易しいことは言ってられない。アルマリアも彼女達について行って、何かあれば守ってあげて。僕は寄ってくる連中に、上から牽制し続ける」
「ん~……真面目な顔のベッドヤクザってなんか違和感……」
「終わったら照明弾を上げてね。すぐ空間転移で回収するから」
へらへら楽観的な自分を切って、真っ当にシリアスを振る舞い指示する。
オリハルコン製ハンドガンで先遣隊を爆散させて以降、グレスティース周辺の山々稜線に監視の目が複数煌めく。
少人数を複数の隊に分け、油断も隙もなくリスク管理もばっちり。試しに1か所を転移強襲してみたが、剣士銃士魔術師の護衛は全員一流の手練ればかりだった。不意打ちでも1人では荷が重く、デルサとアルマリアを連れても苦戦負傷は必至だろう。
加えて、襲撃ついでに覗いた山の向こう。
高速飛行船が3隻待機し、吸魔障壁で狙撃対策とか手が早すぎる。
「ポッと出の資産家が急場で揃えられる規模じゃない…………お抱えの解決屋か、バックにいる国か組織の兵隊か……?」
「いい気味だな、おい。俺達の手で味わわせてやりたかったぞ?」
「っ、ぁぁぁぁぁ…………復讐か仕返しにでも来た? タイミングばっちりだけど後にして欲しいな、グロウバルン?」
「抜かせ、色狂いショタ野郎」
倒壊した建材の影から、見覚えのある巨漢ブラックオーガがヌルリと生えた。
強盗列車でヴィナを巡って争い、確定的に敵対する彼の出現。所属はどうあれ、ポーチからフルオートショットガン2丁を取り出し即座構えた。引き金も躊躇いなく引こうとし、顔を歪ませて天を仰ぐ彼に絞り直前の際で止める。
――――敵対心はあるが、殺気はない。
ヴィナか、エンディグレルの技術目的じゃないのか?
「残念だが、やる気はない」
「お仲間の姿を見せないで通じると思う?」
「どうせ偽装魔術使っても探知できるんだろ? 性奴隷以降のお前の経歴は全部調べた。魔術と手口と修業期間についても洗いざらい、な」
「じゃあ、今の僕たちは2人きりで、ヴィナ達も追わせてないんだね?」
魔力感知に加えて空間振動のソナー探知を併用し、半径500m以内の詳細探査を3重にかけ確認する。
結果は白で、目の前にいる厄介な邪魔者以外の人影はない。しかし、直接対して彼の実力はよく知っている。単身であっても僕を捕縛するには十分で、じりじり摺り足で少しずつ間合いを離す。
そんな僕に、距離を詰める代わりに黒翼のアミュレットが掲げられた。
「やっぱり、ディルシナ魔王国の工作員なんだ?」
「非公認だが、な。賞金も国外追放も本当で、国というより個人の為に動いてる。今回はグレスティースの鍛冶製法を狙う連中の情報収集と対処だ。で、本当に本当に遺憾だが、お前のイカ臭い手を貸してもらいたい」
「ちゃんとシャワー浴びて洗ってるからっ! 我慢できなくて2回ずつシたけどっ!」
大変失礼な物言いに、銃口を頭と股間へそれぞれ向ける。
全く臆することのない溜息を吐かれて、僕も歯軋り食いしばり銃をしまう。話をするのに警戒は必要でも、さすがに銃まで必要はない。互いに思うところあっても後腐れなく、天秤を以って正しく量る。
目下の脅威と優先順位は、遠くで監視するあの連中だ。
「で? 何をどうしたいの?」
「お前は派手に動く。俺は静かに動く。連絡は中継を介し、基本的に取り合わない。そっちが起こした事件を俺は利用し、俺が動いた結果をそっちは利用する」
「『勝手と勝手』方式ね、了解。それで、黒幕については掴んでる? ギレイス・ファンダリアってハーフハイエルフの資産家は、結局のところただの下っ端でしょ?」
「その辺はまだ調査中だ。こっちで野郎の動きを手繰って突き止めるから、適当に好きにボコってやれよ。得意だろ? そういうの」
「乗せられてるみたいで嫌だけどね。中継役兼ケツ持ちは?」
「ウェルシーナ」
「絶対怒ってるよねっ!? 妹2人の純潔穢されて、お姉ちゃん絶対怒ってるでしょっ!?」
従者と奴隷の実姉が協力者と聞き、いつ裏切られるかの不安に加えて焦燥の心が炙られ燻る。
魔族の世界で上位に位置する、武闘派貴族ウェルシーナ家。
今の当主は前当主の元妻にして子無し未亡人だが、彼女以上の優秀はおらず担ぎ上げられて椅子に座った。確か魔王国の防衛大臣まで務めていて、世間体も権力も『僕を潰しに来る理由』も十二分に有している。さらに個人の実力まで決定的に負け、正面切っての争いは9割近い敗北確率。
――――元エンディグレル大工房長女、オルサ・ヴェス・エンディグレル・ウェルシーナ。
80年前、ボルカニックドラゴンの単身討伐を果たしたサイクロプス族の大英雄。
「2人? まさかバルサ嬢だけでなくデルサ嬢も……?」
「あっ、やっぱりなしっ! 僕何も言ってないっ、言ってないからっ!」
「…………こういう時の天秤主義者はどうするんだったか?」
「畜生っ、持ってけ馬鹿ッ! でも絶対にお姉ちゃんに言わないでねっ、お願いだからっ!」
ポーチからミスリル製の魔法銃を出し、高めにある顔に投げつける。
当然のように受け止められ、グリップを見た目がにんまり笑った。なにせたった1丁で20万トルエはする超高級高性能品。でも自前で使える魔術式だから使い道がなく、空きスペースの肥やしにしていた何かの時の被害身代わり。
グロウバルンは腰のポーチに魔法銃をしまい、かわりに1枚のカードを投げる。
受け取った表は縦横いっぱいの単眼であり、僕と目を合わせ観察していた。血管の脈動といい瞳孔の動きといい、本人の視覚を複製して貼り付けているのだろう。つまり、実質、僕の空間魔術と同じで、常にこちらをマークしどんな時も覗いている。
「閣下から伝言だ。『一遍、直接話そうや』」
「え? ちょっと待って? ねぇ? ねぇ?」
「性欲魔人同士、気が合うだろ。俺は身が持たないからお前に譲る。まぁ、がんばれ」
「待って待って待って、ねぇ、待ってよ、ねぇっ!?」
僕が跳び縋ろうとする前に、3m近い巨漢は影の中に溶けて消えた。
たった1人残され、幻か何かと自分に言い聞かせる。しかし、手の中には単眼カードが爛々と、中でハートマークを浮かべてキラキラキラキラ。性奴隷をやめて以降抱かなかった女性への恐怖が、下半身欠損ゾンビのようにぞわぞわ這い寄って這い上がってくる。
ひとまずポーチに突っ込んで、船に乗って空へ高く。
後のことは後で考えよう。今は今を考えるんだ。
エンディグレルを狙う盗掘団。
ただの点と点で裏付けは何もなく、勘の一言でギレイス何某を間に繋げる。ハイドワーフとハイエルフなんて天敵同士、まともな恋愛でハーフが出来るわけがない。おそらくどちらかがどちらかを奴隷にして、孕ませ産ませて認知したのだ。
では、一体どちらなのか?
かなりの高確率で、ハイエルフの貴族だろう。
「ヴィナ、デルサ。エンディグレルの技術書等をこのポーチ、鍛冶工具類はこっち、窯等の中規模はこっちのバックで、運び出せそうにない大型にはこの爆弾を取り付けて」
「……なにをする気ですか?」
「たぶんハイエルフの裏組織が、ドワーフ族やサイクロプス族のオリハルコン製法・加工法を狙ってる。他の7工房までは見てられないけど、エンディグレルだけでも技術を隠匿しないといけない。あの超排他主義自己優良種思想のことだから、当然の権利とばかりに工房都市全部を占有しようとするよ」
「待て待て待てっ、ここを破壊する気か!? やめてくれっ! 私達の故郷だっ、故郷なんだっ!」
「悪いけど、生易しいことは言ってられない。アルマリアも彼女達について行って、何かあれば守ってあげて。僕は寄ってくる連中に、上から牽制し続ける」
「ん~……真面目な顔のベッドヤクザってなんか違和感……」
「終わったら照明弾を上げてね。すぐ空間転移で回収するから」
へらへら楽観的な自分を切って、真っ当にシリアスを振る舞い指示する。
オリハルコン製ハンドガンで先遣隊を爆散させて以降、グレスティース周辺の山々稜線に監視の目が複数煌めく。
少人数を複数の隊に分け、油断も隙もなくリスク管理もばっちり。試しに1か所を転移強襲してみたが、剣士銃士魔術師の護衛は全員一流の手練ればかりだった。不意打ちでも1人では荷が重く、デルサとアルマリアを連れても苦戦負傷は必至だろう。
加えて、襲撃ついでに覗いた山の向こう。
高速飛行船が3隻待機し、吸魔障壁で狙撃対策とか手が早すぎる。
「ポッと出の資産家が急場で揃えられる規模じゃない…………お抱えの解決屋か、バックにいる国か組織の兵隊か……?」
「いい気味だな、おい。俺達の手で味わわせてやりたかったぞ?」
「っ、ぁぁぁぁぁ…………復讐か仕返しにでも来た? タイミングばっちりだけど後にして欲しいな、グロウバルン?」
「抜かせ、色狂いショタ野郎」
倒壊した建材の影から、見覚えのある巨漢ブラックオーガがヌルリと生えた。
強盗列車でヴィナを巡って争い、確定的に敵対する彼の出現。所属はどうあれ、ポーチからフルオートショットガン2丁を取り出し即座構えた。引き金も躊躇いなく引こうとし、顔を歪ませて天を仰ぐ彼に絞り直前の際で止める。
――――敵対心はあるが、殺気はない。
ヴィナか、エンディグレルの技術目的じゃないのか?
「残念だが、やる気はない」
「お仲間の姿を見せないで通じると思う?」
「どうせ偽装魔術使っても探知できるんだろ? 性奴隷以降のお前の経歴は全部調べた。魔術と手口と修業期間についても洗いざらい、な」
「じゃあ、今の僕たちは2人きりで、ヴィナ達も追わせてないんだね?」
魔力感知に加えて空間振動のソナー探知を併用し、半径500m以内の詳細探査を3重にかけ確認する。
結果は白で、目の前にいる厄介な邪魔者以外の人影はない。しかし、直接対して彼の実力はよく知っている。単身であっても僕を捕縛するには十分で、じりじり摺り足で少しずつ間合いを離す。
そんな僕に、距離を詰める代わりに黒翼のアミュレットが掲げられた。
「やっぱり、ディルシナ魔王国の工作員なんだ?」
「非公認だが、な。賞金も国外追放も本当で、国というより個人の為に動いてる。今回はグレスティースの鍛冶製法を狙う連中の情報収集と対処だ。で、本当に本当に遺憾だが、お前のイカ臭い手を貸してもらいたい」
「ちゃんとシャワー浴びて洗ってるからっ! 我慢できなくて2回ずつシたけどっ!」
大変失礼な物言いに、銃口を頭と股間へそれぞれ向ける。
全く臆することのない溜息を吐かれて、僕も歯軋り食いしばり銃をしまう。話をするのに警戒は必要でも、さすがに銃まで必要はない。互いに思うところあっても後腐れなく、天秤を以って正しく量る。
目下の脅威と優先順位は、遠くで監視するあの連中だ。
「で? 何をどうしたいの?」
「お前は派手に動く。俺は静かに動く。連絡は中継を介し、基本的に取り合わない。そっちが起こした事件を俺は利用し、俺が動いた結果をそっちは利用する」
「『勝手と勝手』方式ね、了解。それで、黒幕については掴んでる? ギレイス・ファンダリアってハーフハイエルフの資産家は、結局のところただの下っ端でしょ?」
「その辺はまだ調査中だ。こっちで野郎の動きを手繰って突き止めるから、適当に好きにボコってやれよ。得意だろ? そういうの」
「乗せられてるみたいで嫌だけどね。中継役兼ケツ持ちは?」
「ウェルシーナ」
「絶対怒ってるよねっ!? 妹2人の純潔穢されて、お姉ちゃん絶対怒ってるでしょっ!?」
従者と奴隷の実姉が協力者と聞き、いつ裏切られるかの不安に加えて焦燥の心が炙られ燻る。
魔族の世界で上位に位置する、武闘派貴族ウェルシーナ家。
今の当主は前当主の元妻にして子無し未亡人だが、彼女以上の優秀はおらず担ぎ上げられて椅子に座った。確か魔王国の防衛大臣まで務めていて、世間体も権力も『僕を潰しに来る理由』も十二分に有している。さらに個人の実力まで決定的に負け、正面切っての争いは9割近い敗北確率。
――――元エンディグレル大工房長女、オルサ・ヴェス・エンディグレル・ウェルシーナ。
80年前、ボルカニックドラゴンの単身討伐を果たしたサイクロプス族の大英雄。
「2人? まさかバルサ嬢だけでなくデルサ嬢も……?」
「あっ、やっぱりなしっ! 僕何も言ってないっ、言ってないからっ!」
「…………こういう時の天秤主義者はどうするんだったか?」
「畜生っ、持ってけ馬鹿ッ! でも絶対にお姉ちゃんに言わないでねっ、お願いだからっ!」
ポーチからミスリル製の魔法銃を出し、高めにある顔に投げつける。
当然のように受け止められ、グリップを見た目がにんまり笑った。なにせたった1丁で20万トルエはする超高級高性能品。でも自前で使える魔術式だから使い道がなく、空きスペースの肥やしにしていた何かの時の被害身代わり。
グロウバルンは腰のポーチに魔法銃をしまい、かわりに1枚のカードを投げる。
受け取った表は縦横いっぱいの単眼であり、僕と目を合わせ観察していた。血管の脈動といい瞳孔の動きといい、本人の視覚を複製して貼り付けているのだろう。つまり、実質、僕の空間魔術と同じで、常にこちらをマークしどんな時も覗いている。
「閣下から伝言だ。『一遍、直接話そうや』」
「え? ちょっと待って? ねぇ? ねぇ?」
「性欲魔人同士、気が合うだろ。俺は身が持たないからお前に譲る。まぁ、がんばれ」
「待って待って待って、ねぇ、待ってよ、ねぇっ!?」
僕が跳び縋ろうとする前に、3m近い巨漢は影の中に溶けて消えた。
たった1人残され、幻か何かと自分に言い聞かせる。しかし、手の中には単眼カードが爛々と、中でハートマークを浮かべてキラキラキラキラ。性奴隷をやめて以降抱かなかった女性への恐怖が、下半身欠損ゾンビのようにぞわぞわ這い寄って這い上がってくる。
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