11 / 45
第一部
第十一話 多勢に無勢
しおりを挟む
科学と魔術が共に発展し、絶対的な『最強』は過去にしかない。
自分の適性と見合った装備と、戦技戦術戦略で戦いは進められる。修練鍛錬の途中ではなく、整合しない戦法なら3流以下。得意を知って不得意を知って、得手を鍛え不得手を埋める。
――――身体が小さく非力な僕は、身体強化と空間魔術を選んだ。
修得途中の幾つかもあるが、今の1番はこの2つ。特に乱戦、特に市街戦、塹壕戦に電撃戦にその他色々を切り抜け現在。左舷下に傾く甲板で両足を着き、軽量取り回し重視のサブマシンガンからマガジンを抜く。
32発装填のロングマガジン。
ジャケットに差した6本も含め、今回はどのくらい必要になるのか?
「目標、エンディグレル工房塔から半径100メートル円周上6点。弾種、音響炸裂弾」
『装填完了』
「発射」
甲板左舷に取り付けられた小型砲塔3門から、重く響く砲撃音が合計6回薄霧の虚空へ。
狙撃に比べればゆっくりと弧を描き、折れた塔の周囲6方向に光跡を伸ばす。地上から撃ち落そうと対空射撃が始まり、4か所の射撃点を確認できた。魔術で視力を強化すると更によく見え、ドワーフとサイクロプスの部隊が複数展開している。
一つが撃ち落され、耳を劈く暴音をかき鳴らす。
地上に届いたであろう頃合いを見て、僕は空間をずらして地上へ歩いた。
「ほぼ全員男? となると、女子供は別途隠れてるのかな?」
「お、おいっ、だれかっ! へんじをしてくれ!」
「くそっ、耳がっ!」
「はい、バイバイ」
軽い軽いパタタッで3つ、髭面のドワーフが血の花を咲かして倒れ伏す。
一時的に聴覚を麻痺させる音響炸裂弾に、音が過ぎ去った直後現地入りする空間転移。急襲でありながら足音が聞こえず、混乱もあって気配を感じ取れない無防備は容易だ。視線を流して男は射殺し、一人いた女は両脚を撃って行動を封じた。
あと3箇所。
時間の猶予は、おおよそ2分から3分。
「次」
空間の断層に飛び込んで、ズレた本来の座標へ出る。
大きな通りの中央に、塔を背にした土嚢陣地が組まれていた。
こちらは全員サイクロプスで、耳を押さえて涙を流し蹲る。傍らに落ちるセミオートアサルトライフルから、砲弾を落としたのはココの誰かだろう。単眼族の狙撃適正は二流三流でも、動く目標を的確狂い無く撃ち抜いて見せる。
しかし、ならば、なんで最初の狙撃にAS弾なんて使わせた?
面子を考えれば、アレも間違いなくサイクロプスの射手だ。でも、単眼は縦横2次元の1点狙いに秀でても、奥行を含めた3次元を把握しきれない。おそらくちゃんと撃ち抜いた弾は幾つもあって、全部船体を透過してから術式が切れていた…………。
これだから、適材適所を知らない輩はっ。
「くっそっ、一体なんなんだっ!?」
「気付けない内にバイバイ。来世は頑張って」
「アッ」
僕を視界に入れた大目玉に2発をくれて、他のは頭の横から3発ずつ。
念のため塹壕向こうをクリアリングし、他の呻きが聞こえないのを確認したら3か所目に移った。だが、こちらは砲弾が直撃したらしく全員絶命していて、4か所目も最初から生存者無し。仕方なく1か所目まで急いで戻り、生き残りの女ドワーフを鋼線ワイヤーで締めあげる。
身長は僕より小さい、130以上140未満。
やや太めの四肢は筋骨隆々が良く似合い、浮き上がったエイトパックの上には上向き爆乳が素晴らしい。戦時即応で出てきたらしく、チューブトップにスパッツという薄着が何ともそそる。しかも端が捲れた下は真っ白と褐色が境を作り、日焼けのコントラストが女の魅力を何倍にも何倍にも。
――――短く揃えた赤髪を掴んで押し倒し、収納ポーチから1つ取り出す。
丸く黄金に輝く小さな輪。
びっしり魔術式が刻まれたソレは、暴れて手が付けられない奴隷用に開発された拘束具。強制的に主従契約を行い、主に対して絶対服従。自意識を失わせ朦朧とさせ、主の命なら酒場でストリップも平気で見せる。
ただし、コレは僕の専用特注。
空間魔術を使わないと、付けも外せもしない最低最高の逸品だ。
「な、に、しやが、るっ!?」
「わからない内に手遅れにするのって、とっても興奮するっ。詳しくは首輪から情報引き出してねっ。終わったら帰りの停泊地でたっぷり可愛がってあげるよっ」
「くそっ! くそっ、くそっくそっくそがぁあああああああああああああっ!」
「はぁ~い、バイバイっ。そして初めまして、これからよろしくっ」
彼女の首の真ん中が消え、ぽっかり空いた隙間に金の輪を通す。
大分余りが出ているものの、まるでネックレスのように鎖骨の上に。抜けた首の間が元に戻れば、着用者の魔力を魔術式に走らせ効果を起動。汚い言葉を叫ぶ声が苦悶と共に小さくなり、押し付けに抵抗する力も弱く果てて脱力舌出し。
覗き込んだ顔は虚ろで、瞳もまた焦点が合っていない。
「それじゃ、聴力が戻るまでそこらのお家で休もっかっ。傷も治して装備も整えて、そしたらお名前と所属と本拠地と目的と…………ベッドの上で全部曝け出してねっ」
「………………」
ひょいっと担ぐ僕に悪態をつかず、言われるがままされるがままの美体は媚体。
こういうたまの上物が、自分に対する最大のご褒美。思う存分楽しんで、思う存分使い潰す。そして全部を喰らいつくして奪いつくして、もっともっともっともっと。
――――彼女は一体、何を持っているのだろう?
場合によっては、ヴィナの支払いのあては無くなるのかな?
…………楽しみだなぁ……っ。
自分の適性と見合った装備と、戦技戦術戦略で戦いは進められる。修練鍛錬の途中ではなく、整合しない戦法なら3流以下。得意を知って不得意を知って、得手を鍛え不得手を埋める。
――――身体が小さく非力な僕は、身体強化と空間魔術を選んだ。
修得途中の幾つかもあるが、今の1番はこの2つ。特に乱戦、特に市街戦、塹壕戦に電撃戦にその他色々を切り抜け現在。左舷下に傾く甲板で両足を着き、軽量取り回し重視のサブマシンガンからマガジンを抜く。
32発装填のロングマガジン。
ジャケットに差した6本も含め、今回はどのくらい必要になるのか?
「目標、エンディグレル工房塔から半径100メートル円周上6点。弾種、音響炸裂弾」
『装填完了』
「発射」
甲板左舷に取り付けられた小型砲塔3門から、重く響く砲撃音が合計6回薄霧の虚空へ。
狙撃に比べればゆっくりと弧を描き、折れた塔の周囲6方向に光跡を伸ばす。地上から撃ち落そうと対空射撃が始まり、4か所の射撃点を確認できた。魔術で視力を強化すると更によく見え、ドワーフとサイクロプスの部隊が複数展開している。
一つが撃ち落され、耳を劈く暴音をかき鳴らす。
地上に届いたであろう頃合いを見て、僕は空間をずらして地上へ歩いた。
「ほぼ全員男? となると、女子供は別途隠れてるのかな?」
「お、おいっ、だれかっ! へんじをしてくれ!」
「くそっ、耳がっ!」
「はい、バイバイ」
軽い軽いパタタッで3つ、髭面のドワーフが血の花を咲かして倒れ伏す。
一時的に聴覚を麻痺させる音響炸裂弾に、音が過ぎ去った直後現地入りする空間転移。急襲でありながら足音が聞こえず、混乱もあって気配を感じ取れない無防備は容易だ。視線を流して男は射殺し、一人いた女は両脚を撃って行動を封じた。
あと3箇所。
時間の猶予は、おおよそ2分から3分。
「次」
空間の断層に飛び込んで、ズレた本来の座標へ出る。
大きな通りの中央に、塔を背にした土嚢陣地が組まれていた。
こちらは全員サイクロプスで、耳を押さえて涙を流し蹲る。傍らに落ちるセミオートアサルトライフルから、砲弾を落としたのはココの誰かだろう。単眼族の狙撃適正は二流三流でも、動く目標を的確狂い無く撃ち抜いて見せる。
しかし、ならば、なんで最初の狙撃にAS弾なんて使わせた?
面子を考えれば、アレも間違いなくサイクロプスの射手だ。でも、単眼は縦横2次元の1点狙いに秀でても、奥行を含めた3次元を把握しきれない。おそらくちゃんと撃ち抜いた弾は幾つもあって、全部船体を透過してから術式が切れていた…………。
これだから、適材適所を知らない輩はっ。
「くっそっ、一体なんなんだっ!?」
「気付けない内にバイバイ。来世は頑張って」
「アッ」
僕を視界に入れた大目玉に2発をくれて、他のは頭の横から3発ずつ。
念のため塹壕向こうをクリアリングし、他の呻きが聞こえないのを確認したら3か所目に移った。だが、こちらは砲弾が直撃したらしく全員絶命していて、4か所目も最初から生存者無し。仕方なく1か所目まで急いで戻り、生き残りの女ドワーフを鋼線ワイヤーで締めあげる。
身長は僕より小さい、130以上140未満。
やや太めの四肢は筋骨隆々が良く似合い、浮き上がったエイトパックの上には上向き爆乳が素晴らしい。戦時即応で出てきたらしく、チューブトップにスパッツという薄着が何ともそそる。しかも端が捲れた下は真っ白と褐色が境を作り、日焼けのコントラストが女の魅力を何倍にも何倍にも。
――――短く揃えた赤髪を掴んで押し倒し、収納ポーチから1つ取り出す。
丸く黄金に輝く小さな輪。
びっしり魔術式が刻まれたソレは、暴れて手が付けられない奴隷用に開発された拘束具。強制的に主従契約を行い、主に対して絶対服従。自意識を失わせ朦朧とさせ、主の命なら酒場でストリップも平気で見せる。
ただし、コレは僕の専用特注。
空間魔術を使わないと、付けも外せもしない最低最高の逸品だ。
「な、に、しやが、るっ!?」
「わからない内に手遅れにするのって、とっても興奮するっ。詳しくは首輪から情報引き出してねっ。終わったら帰りの停泊地でたっぷり可愛がってあげるよっ」
「くそっ! くそっ、くそっくそっくそがぁあああああああああああああっ!」
「はぁ~い、バイバイっ。そして初めまして、これからよろしくっ」
彼女の首の真ん中が消え、ぽっかり空いた隙間に金の輪を通す。
大分余りが出ているものの、まるでネックレスのように鎖骨の上に。抜けた首の間が元に戻れば、着用者の魔力を魔術式に走らせ効果を起動。汚い言葉を叫ぶ声が苦悶と共に小さくなり、押し付けに抵抗する力も弱く果てて脱力舌出し。
覗き込んだ顔は虚ろで、瞳もまた焦点が合っていない。
「それじゃ、聴力が戻るまでそこらのお家で休もっかっ。傷も治して装備も整えて、そしたらお名前と所属と本拠地と目的と…………ベッドの上で全部曝け出してねっ」
「………………」
ひょいっと担ぐ僕に悪態をつかず、言われるがままされるがままの美体は媚体。
こういうたまの上物が、自分に対する最大のご褒美。思う存分楽しんで、思う存分使い潰す。そして全部を喰らいつくして奪いつくして、もっともっともっともっと。
――――彼女は一体、何を持っているのだろう?
場合によっては、ヴィナの支払いのあては無くなるのかな?
…………楽しみだなぁ……っ。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
時のコカリナ
遊馬友仁
ライト文芸
高校二年生の坂井夏生は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する
真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
モブです。静止画の隅っこの1人なので傍観でいいよね?
紫楼
ファンタジー
5歳の時、自分が乙女ゲームの世界に転生してることに気がついた。
やり込んだゲームじゃ無いっぽいから最初は焦った。
悪役令嬢とかヒロインなんてめんどくさいから嫌〜!
でも名前が記憶にないキャラだからきっとお取り巻きとかちょい役なはず。
成長して学園に通うようになってヒロインと悪役令嬢と王子様たち逆ハーレム要員を発見!
絶対お近づきになりたくない。
気がついたんだけど、私名前すら出てなかった背景に描かれていたモブ中のモブじゃん。
普通に何もしなければモブ人生満喫出来そう〜。
ブラコンとシスコンの二人の物語。
偏った価値観の世界です。
戦闘シーン、流血描写、死の場面も出ます。
主筋は冒険者のお話では無いので戦闘シーンはあっさり、流し気味です。
ふんわり設定、見切り発車です。
カクヨム様にも掲載しています。
24話まで少し改稿、誤字修正しました。
大筋は変わってませんので読み返されなくとも大丈夫なはず。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる