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第一部
第八話 君は僕のモノ
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「変質者っ! 誘拐犯っ! 強姦魔っ!」
「ふむふむ……主従登録は出来とる。じゃがおかしいの? 従者型のアンデッドは主の魔力で動くのじゃが、起動後は自分で賄えておる。その上、登録した主に手を上げてまで純潔を守ろうとするとは…………一般的な製法では作られておらんじゃろ」
「どうでも良いけど、誰か引っ張って引き抜いて……?」
「はいっ!――って、あれ!? どうして!? 身体が勝手にっ!?」
頭を首までレンガの壁にめり込まされ、ガシッと力強い掴みとみゅにゅんっ、ふにゅんっ、ぷにんっの柔らかさが胴に。
ボコンッの音と共に助け出され、救助主で加害者のロリ超乳サイクロプスが困惑を浮かべた。小さく細い手と腕で、オーガすら殴り殺せるだろう絶大な腕力膂力。咄嗟の魔力保護で頭部を守れたのは、きっと奇跡の一つと怖気が走る。
とりあえず、また殴られないように来ていたジャケットを脱いで羽織らせた。
前が全然隠せないのは、サイズ故に致し方なし。
「あ、あなたたちは何者ですかっ!? 工房はっ!? 鍛冶場と皆はどこですかっ!?」
「お~い、なんだ今の音…………なんだなんだ? 従者型じゃなく自立型だったのか? おっ、セイコフ。飯出来たから持ってきたぞ」
「ありがとうよ。お主のリザードバーガーは、脂がくどくなくて喰いやすいんじゃ」
「揚げポテトも作ってきた。おら、お前らも抓め抓め」
湯気立つ山盛りポテトの皿を僕に持たせ、つけていたガスマスクを脱いでブディランスが素顔を晒す。
強力な毒ガスにより、顔の左半分が焼け爛れたクール系イケメンが露わになった。知って慣れている僕達は気にせず抓み、熱々サクサクの絶妙塩加減に舌鼓。一方、初見の単眼ロリ――――命名済みなんだからヴィナと呼ぼう――――は、心の準備が遅れてギョッと目を見開き退く。
気にはしないだろうが、フォローを兼ねてマナーを学ばせよう。
「ちょっとコロイドになってるくらいで驚かないのっ」
「あっ、ご、ごめん、な、さい……っ」
「構いやしねぇって。にしても、自立型のアンデッドなんて珍しいじゃねぇか。変に意志や自我を持たせると、発狂、精神崩壊、凶暴化のコンボかますってのに」
「わ、私はアンデッドじゃありません! 魔鉱山都市グレスティースの一級鍛冶師『ヴィナ・ディアリ』――――え? あれ? 名前っ!? 名前が違っ!?」
「しっかり命名できとるの。まぁ、過去や肩書はともかく、お前さんの今は単眼ロリ超乳アンデッドのヴィナ・ディアリじゃ。主はそこの外道ショタダークエルフ、サムア・ディアリ。何人産ませられるかわからんが、従者として母親として頑張るんじゃぞ?」
「うううう産ませっ!? 母親っ!?」
あくまで将来的な予定にもかかわらず、もうこれから致すと言わんばかりにセイコフがほざく。
トーストしたパンにリザードハンバーグと葉野菜、トマトを挟んだバーガーを頬張り、僕からの反論は受け付けず受け取る気が一切ない。おかげで貞操の危機を感じる処女は羞恥と軽蔑を僕に向け、じりじり距離を取って逃げ出そうとした。駆け出す前に胴を掴んで抱きしめ密着して、しっとり触り心地の良い青肌柔肉の身体を弄る。
生者と違って、死者に尊厳はあっても人権はない。
何をしようがされようが、所有者の自由で他は関係なし。
「はっ、はなしてっ! だれかっ、だれかたすけてぇえええええええっ!」
「はいはい、大人しくしないとエッチなダンスを強制的に踊らせるよ? それと、元の名前で名乗りたかったら、今じゃなくて数日前の自分を思い浮かべて名乗ってごらん。そうすれば、問題なく思い出せるから」
「いやっ、いやあぁああああああああっ! お父様っ、お母様っ、ガドーザっ! ダークエルフのあかちゃんなんてうみたくないぃいいいいいいっ!」
「あぁぁぁ……すっごく傷つく。やっぱり男性向けのベッドダンスさせようかな……?」
「どうでも良いけど、グレスティースってどこ? 前に情報屋から全鉱山都市のリストを買ったけど、そんな名前無かったわ。何かおかしくない?」
「おかしくないよ。70年前に滅んだ都市だもん」
「…………は?」
「え……?」
2つの困惑が僕に向かい、僕はセイコフに目くばせ1つ。
察した老人は食べながら棚を開け、左上が留められた地図の束を取り出した。
10年ごとに発行される世界地図のまとめ一覧。7枚捲って当時の端に、グレスティースの表記が大きく載っていた。ここからおおよそ1300kmの位置にあり、1枚を戻すと影も形も失せて無くなる。
純魔鉱石の産出地として勢いに乗り、オリハルコン鉱脈の発見と共に近隣国の戦争で潰えた絶不運。
そして、そうか、なるほどと納得した。あれほどの量のオリハルコンインゴットは、鉱脈でもないと作りえない。かといって近年該当する噂はなく、何かしらの理由から隠匿されて今に至ったのか、と。
ブラックオーガのルーキー、グロウバルン達が狙っていたのもソレ関連か、と。
――――でも、彼らの狙いはインゴットじゃなくヴィナの方だった……。
「ねぇ、ヴィナ? 僕の知っている全部を教えるから、君の知ってる全部を教えて?」
「ふむふむ……主従登録は出来とる。じゃがおかしいの? 従者型のアンデッドは主の魔力で動くのじゃが、起動後は自分で賄えておる。その上、登録した主に手を上げてまで純潔を守ろうとするとは…………一般的な製法では作られておらんじゃろ」
「どうでも良いけど、誰か引っ張って引き抜いて……?」
「はいっ!――って、あれ!? どうして!? 身体が勝手にっ!?」
頭を首までレンガの壁にめり込まされ、ガシッと力強い掴みとみゅにゅんっ、ふにゅんっ、ぷにんっの柔らかさが胴に。
ボコンッの音と共に助け出され、救助主で加害者のロリ超乳サイクロプスが困惑を浮かべた。小さく細い手と腕で、オーガすら殴り殺せるだろう絶大な腕力膂力。咄嗟の魔力保護で頭部を守れたのは、きっと奇跡の一つと怖気が走る。
とりあえず、また殴られないように来ていたジャケットを脱いで羽織らせた。
前が全然隠せないのは、サイズ故に致し方なし。
「あ、あなたたちは何者ですかっ!? 工房はっ!? 鍛冶場と皆はどこですかっ!?」
「お~い、なんだ今の音…………なんだなんだ? 従者型じゃなく自立型だったのか? おっ、セイコフ。飯出来たから持ってきたぞ」
「ありがとうよ。お主のリザードバーガーは、脂がくどくなくて喰いやすいんじゃ」
「揚げポテトも作ってきた。おら、お前らも抓め抓め」
湯気立つ山盛りポテトの皿を僕に持たせ、つけていたガスマスクを脱いでブディランスが素顔を晒す。
強力な毒ガスにより、顔の左半分が焼け爛れたクール系イケメンが露わになった。知って慣れている僕達は気にせず抓み、熱々サクサクの絶妙塩加減に舌鼓。一方、初見の単眼ロリ――――命名済みなんだからヴィナと呼ぼう――――は、心の準備が遅れてギョッと目を見開き退く。
気にはしないだろうが、フォローを兼ねてマナーを学ばせよう。
「ちょっとコロイドになってるくらいで驚かないのっ」
「あっ、ご、ごめん、な、さい……っ」
「構いやしねぇって。にしても、自立型のアンデッドなんて珍しいじゃねぇか。変に意志や自我を持たせると、発狂、精神崩壊、凶暴化のコンボかますってのに」
「わ、私はアンデッドじゃありません! 魔鉱山都市グレスティースの一級鍛冶師『ヴィナ・ディアリ』――――え? あれ? 名前っ!? 名前が違っ!?」
「しっかり命名できとるの。まぁ、過去や肩書はともかく、お前さんの今は単眼ロリ超乳アンデッドのヴィナ・ディアリじゃ。主はそこの外道ショタダークエルフ、サムア・ディアリ。何人産ませられるかわからんが、従者として母親として頑張るんじゃぞ?」
「うううう産ませっ!? 母親っ!?」
あくまで将来的な予定にもかかわらず、もうこれから致すと言わんばかりにセイコフがほざく。
トーストしたパンにリザードハンバーグと葉野菜、トマトを挟んだバーガーを頬張り、僕からの反論は受け付けず受け取る気が一切ない。おかげで貞操の危機を感じる処女は羞恥と軽蔑を僕に向け、じりじり距離を取って逃げ出そうとした。駆け出す前に胴を掴んで抱きしめ密着して、しっとり触り心地の良い青肌柔肉の身体を弄る。
生者と違って、死者に尊厳はあっても人権はない。
何をしようがされようが、所有者の自由で他は関係なし。
「はっ、はなしてっ! だれかっ、だれかたすけてぇえええええええっ!」
「はいはい、大人しくしないとエッチなダンスを強制的に踊らせるよ? それと、元の名前で名乗りたかったら、今じゃなくて数日前の自分を思い浮かべて名乗ってごらん。そうすれば、問題なく思い出せるから」
「いやっ、いやあぁああああああああっ! お父様っ、お母様っ、ガドーザっ! ダークエルフのあかちゃんなんてうみたくないぃいいいいいいっ!」
「あぁぁぁ……すっごく傷つく。やっぱり男性向けのベッドダンスさせようかな……?」
「どうでも良いけど、グレスティースってどこ? 前に情報屋から全鉱山都市のリストを買ったけど、そんな名前無かったわ。何かおかしくない?」
「おかしくないよ。70年前に滅んだ都市だもん」
「…………は?」
「え……?」
2つの困惑が僕に向かい、僕はセイコフに目くばせ1つ。
察した老人は食べながら棚を開け、左上が留められた地図の束を取り出した。
10年ごとに発行される世界地図のまとめ一覧。7枚捲って当時の端に、グレスティースの表記が大きく載っていた。ここからおおよそ1300kmの位置にあり、1枚を戻すと影も形も失せて無くなる。
純魔鉱石の産出地として勢いに乗り、オリハルコン鉱脈の発見と共に近隣国の戦争で潰えた絶不運。
そして、そうか、なるほどと納得した。あれほどの量のオリハルコンインゴットは、鉱脈でもないと作りえない。かといって近年該当する噂はなく、何かしらの理由から隠匿されて今に至ったのか、と。
ブラックオーガのルーキー、グロウバルン達が狙っていたのもソレ関連か、と。
――――でも、彼らの狙いはインゴットじゃなくヴィナの方だった……。
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