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第壱武将 休日は地獄
1 休日は地獄
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翌朝。
なかなか目覚ましが鳴らないためミニ武将達が私を起こすが、今日は土曜日。
今日明日はゆっくりと寛げる日だ。
部活もしていないため何時もならダラダラとした休日が過ごせるのだが、今回はそうもいかず、朝からミニ武将達に起こされ、今日明日は学校が休みだと伝え再び眠ろうとするが、騒がしさで目が覚めてしまう。
「もう、何してんのよ」
「見てわからぬか」
「私と虎で勝負をしているのですよ」
小さな刀ではあるが本物。
ぶつかり合う音が煩く眠れるはずもない。
そもそも刃物、こんなものを振り回されては危ないと思い取り上げようとするが、信玄はサッと避ける。
今度は謙信の刀を取ろうとするが華麗に交わされ、そんな私の姿を見てケラケラと笑う政宗。
その笑っている隙を狙い、政宗の刀を取ろうとしたが交わされてしまう。
「何で逃げるのよ。危ないから刀は私が預かるわ」
渡せと言わんばかりに手を出すが、誰一人差し出す者はいない。
どうやら3人とも刀を渡すきはないらしく、無理矢理にでも取り上げようと試みるも、相手はミニ武将。
小さい上にすばしっこくなかなか捕まらず、私の方が体力の限界となる。
ベッドに倒れ込むと、何故休みの朝からこんなことをしなければならないのかと馬鹿馬鹿しくなってくる。
横に視線を向ければ、机の上で呑気にお茶を飲むミニ武将達の姿が目に入り、何でそこまで刀を渡したくないのか尋ねる。
すると3人は湯飲みを置き、刀は我々にとって大切なものだからだと言う。
言われてみれば、ミニ武将といえど戦国時代の武将。
現代でも武将が使っていたとされる刀は貴重品とされるほどの物だ。
そんな大切な刀を手放すはずがなかったのだと気づき、私は起き上がるとミニ武将達の元へ近づく。
「刀、持ってていいわ。でも、今は戦国時代でもないし煩くされると迷惑だから、刀を抜くのは禁止」
納得いかないといった表情をするミニ武将達に、もし刀を抜いたらその時は刀は預かると言うと、渋々3人は了承した。
なんとも騒がしい朝を迎え、私は朝食を食べにリビングへと降りていく。
これが平日なら、朝食を済ませた後は学校へ行くのだが、休日はリビングでのんびりとテレビを見ることができる。
父は仕事でなかなか家には帰らないため、いつも休日は仕事が休みのお母さんと二人。
平日の日は、私が学校へ行った後お母さんが仕事に行き夕方には帰ってくる。
そのため学校が終わり家に帰ると、すでにお母さんは夕食の準備をしている。
土日は私だけでなくお母さんもゆっくり過ごせる日でもあるのだが、基本お母さんは休日も外に出たきり夕方まで戻らない。
そんなお母さんが何をしているのかだが、土曜日はお友達と息抜きに毎週お出かけ。
日曜日は買い物。
平日に使う食材をまとめ買いしてくるのだが、それ以外にも洋服などの店を見て回るため帰りが夕方になるのが何時ものことだ。
そして今日は土曜日。
お母さんは食器洗いや洗濯を済ませると、お友達と買い物に行くため家を出ていく。
一人となった私はテレビをつけると、久しぶりにのんびりとした時間を楽しむ。
考えてみるとこの2日、ミニ武将達のことでバタバタとしていたため、こんなにのんびりと過ごすのは久しぶりな気がする。
「そういえばアイツら何してるんだろ」
今までこの時間は学校で家にはいなかったため気にしたこともなかったが、ミニ武将達は普段何をしているのだろうかと様子を見に行く。
2階に続く階段を上り、自分の部屋の前で立ち止まるが、騒がしいどころか静まり返っている。
てっきり誰もいないことをいいことに好き勝手やっていると思っていたのだが、これだけ静かだと逆に入りづらい。
だがここは自分の部屋。
堂々と入ればいいのだと思い扉を開く。
いつも人のベッドの上で騒いでいるミニ武将達の姿はなく部屋の中を探していると、何やら階段の方から話し声が近づいてくる。
今この家にいるのは私とミニ武将達だけ。
声の正体は直ぐにわかり振り返ると、開かれたままの扉から武将達が戻ってきた。
その手には何か持っており、よく見ると信玄の手にはスルメ。
政宗の手にはなんだかよくわからない白い物。
謙信の手には丸いチョコが一粒。
明らかにリビングにあったものを持ってきたといった様子だ。
「アンタ達、いつの間に部屋から出たわけ!?」
「お主が部屋を出ていったあと、ワシらも下りていったのだ」
「まあ、何時もの事だからな」
「そうですね」
言われてみて気付いたが、私は今までミニ武将達に食べ物を与えたことがない。
妖精的な、幽霊的な何かだという認識だったため食べなくても大丈夫だと勝手に思っていたが、思い出してみればお酒を持っていたりしていた。
とくに深く考えたことはなかったが、あのお酒もリビングやキッチンから持ってきたのだろう。
そしてお酒を入れていたあの徳利。
どこかで見たことがあると思ったが、あれは私が小さい頃に買ってもらい、今は押し入れに眠っているはずのおままごとセットの一部。
その徳利にキッチンに置いてあったお酒を入れていたのだろう。
まさか自分が気付かないうちに物色されていたとは思わなかったが、これは食べ物を与えなかった私にも責任があるため怒ることもできない。
だからといって家の中を歩き回られて親にでも見つかれば大変な騒ぎになる。
「わかったわ。これからは私が食べ物を持ってくるから、勝手に家の中を歩き回らないで」
「なんだと、俺はまだ探検が済んでいないんだぞ」
「済んでなくて結構です」
ブーブーと騒ぐミニ武将達に、私は深い溜息を吐くと、条件付きで家の中を歩き回ってもいいと口にする。
その条件とは、この部屋から出る際は私と一緒に行動すること。
この機会に更に条件を付け加え、家族がいるときに騒ぐのは禁止という二つの条件を出した。
今はなんとか気づかれずにすんでいるが、ミニ武将達が騒いでいることにお母さんが気づく可能性もこの先有り得る。
このミニ武将達がいついなくなってくれるのかわからない以上、ある程度のルールは必要。
ミニ武将といえどあの有名な武将達、私が何を心配しているかくらい気づいているのだろう。
仕方ないといった様子だが了承してくれた。
「だが、今はお前しかいないんだろ」
「うん。まぁそうだけど」
「なら、部屋で騒ぐのは問題ないな。部屋にはお前もいることだしな」
ずっと静かにしていてという約束にすればよかったと後悔してもすでに遅く、いつの間にか持ってきていたお酒を朝から飲み始める武将達。
今はお母さんも出掛けていて夕方までは帰らないので、まぁいいかと思い私はリビングに戻る。
流石にリビングまで声が届くことはなくほっと安堵しソファに座ると、何やら視線を感じ振り返る。
すると、いつの間にか隣に座っていた佐助の姿がそこにはあり、一体いつからいたのか尋ねると、私が起きてから佐助はずっと私の護衛していたという。
家の中で護衛なんて必要ないんじゃないかと言うが、佐助はただ、信玄の指示だからなと答える。
佐助は何故護衛をしているのか気になるが、聞いても答えてくれないのはわかっている。
なら、こんな指示をした張本人に話を聞くのが早いのだが、今は信玄もお酒を飲んでいるため、聞きに行ったとしても話にならないだろう。
仕方なくテレビをつけると、私は長かったドタバタの疲れを癒そうとのんびり過ごす。
なかなか目覚ましが鳴らないためミニ武将達が私を起こすが、今日は土曜日。
今日明日はゆっくりと寛げる日だ。
部活もしていないため何時もならダラダラとした休日が過ごせるのだが、今回はそうもいかず、朝からミニ武将達に起こされ、今日明日は学校が休みだと伝え再び眠ろうとするが、騒がしさで目が覚めてしまう。
「もう、何してんのよ」
「見てわからぬか」
「私と虎で勝負をしているのですよ」
小さな刀ではあるが本物。
ぶつかり合う音が煩く眠れるはずもない。
そもそも刃物、こんなものを振り回されては危ないと思い取り上げようとするが、信玄はサッと避ける。
今度は謙信の刀を取ろうとするが華麗に交わされ、そんな私の姿を見てケラケラと笑う政宗。
その笑っている隙を狙い、政宗の刀を取ろうとしたが交わされてしまう。
「何で逃げるのよ。危ないから刀は私が預かるわ」
渡せと言わんばかりに手を出すが、誰一人差し出す者はいない。
どうやら3人とも刀を渡すきはないらしく、無理矢理にでも取り上げようと試みるも、相手はミニ武将。
小さい上にすばしっこくなかなか捕まらず、私の方が体力の限界となる。
ベッドに倒れ込むと、何故休みの朝からこんなことをしなければならないのかと馬鹿馬鹿しくなってくる。
横に視線を向ければ、机の上で呑気にお茶を飲むミニ武将達の姿が目に入り、何でそこまで刀を渡したくないのか尋ねる。
すると3人は湯飲みを置き、刀は我々にとって大切なものだからだと言う。
言われてみれば、ミニ武将といえど戦国時代の武将。
現代でも武将が使っていたとされる刀は貴重品とされるほどの物だ。
そんな大切な刀を手放すはずがなかったのだと気づき、私は起き上がるとミニ武将達の元へ近づく。
「刀、持ってていいわ。でも、今は戦国時代でもないし煩くされると迷惑だから、刀を抜くのは禁止」
納得いかないといった表情をするミニ武将達に、もし刀を抜いたらその時は刀は預かると言うと、渋々3人は了承した。
なんとも騒がしい朝を迎え、私は朝食を食べにリビングへと降りていく。
これが平日なら、朝食を済ませた後は学校へ行くのだが、休日はリビングでのんびりとテレビを見ることができる。
父は仕事でなかなか家には帰らないため、いつも休日は仕事が休みのお母さんと二人。
平日の日は、私が学校へ行った後お母さんが仕事に行き夕方には帰ってくる。
そのため学校が終わり家に帰ると、すでにお母さんは夕食の準備をしている。
土日は私だけでなくお母さんもゆっくり過ごせる日でもあるのだが、基本お母さんは休日も外に出たきり夕方まで戻らない。
そんなお母さんが何をしているのかだが、土曜日はお友達と息抜きに毎週お出かけ。
日曜日は買い物。
平日に使う食材をまとめ買いしてくるのだが、それ以外にも洋服などの店を見て回るため帰りが夕方になるのが何時ものことだ。
そして今日は土曜日。
お母さんは食器洗いや洗濯を済ませると、お友達と買い物に行くため家を出ていく。
一人となった私はテレビをつけると、久しぶりにのんびりとした時間を楽しむ。
考えてみるとこの2日、ミニ武将達のことでバタバタとしていたため、こんなにのんびりと過ごすのは久しぶりな気がする。
「そういえばアイツら何してるんだろ」
今までこの時間は学校で家にはいなかったため気にしたこともなかったが、ミニ武将達は普段何をしているのだろうかと様子を見に行く。
2階に続く階段を上り、自分の部屋の前で立ち止まるが、騒がしいどころか静まり返っている。
てっきり誰もいないことをいいことに好き勝手やっていると思っていたのだが、これだけ静かだと逆に入りづらい。
だがここは自分の部屋。
堂々と入ればいいのだと思い扉を開く。
いつも人のベッドの上で騒いでいるミニ武将達の姿はなく部屋の中を探していると、何やら階段の方から話し声が近づいてくる。
今この家にいるのは私とミニ武将達だけ。
声の正体は直ぐにわかり振り返ると、開かれたままの扉から武将達が戻ってきた。
その手には何か持っており、よく見ると信玄の手にはスルメ。
政宗の手にはなんだかよくわからない白い物。
謙信の手には丸いチョコが一粒。
明らかにリビングにあったものを持ってきたといった様子だ。
「アンタ達、いつの間に部屋から出たわけ!?」
「お主が部屋を出ていったあと、ワシらも下りていったのだ」
「まあ、何時もの事だからな」
「そうですね」
言われてみて気付いたが、私は今までミニ武将達に食べ物を与えたことがない。
妖精的な、幽霊的な何かだという認識だったため食べなくても大丈夫だと勝手に思っていたが、思い出してみればお酒を持っていたりしていた。
とくに深く考えたことはなかったが、あのお酒もリビングやキッチンから持ってきたのだろう。
そしてお酒を入れていたあの徳利。
どこかで見たことがあると思ったが、あれは私が小さい頃に買ってもらい、今は押し入れに眠っているはずのおままごとセットの一部。
その徳利にキッチンに置いてあったお酒を入れていたのだろう。
まさか自分が気付かないうちに物色されていたとは思わなかったが、これは食べ物を与えなかった私にも責任があるため怒ることもできない。
だからといって家の中を歩き回られて親にでも見つかれば大変な騒ぎになる。
「わかったわ。これからは私が食べ物を持ってくるから、勝手に家の中を歩き回らないで」
「なんだと、俺はまだ探検が済んでいないんだぞ」
「済んでなくて結構です」
ブーブーと騒ぐミニ武将達に、私は深い溜息を吐くと、条件付きで家の中を歩き回ってもいいと口にする。
その条件とは、この部屋から出る際は私と一緒に行動すること。
この機会に更に条件を付け加え、家族がいるときに騒ぐのは禁止という二つの条件を出した。
今はなんとか気づかれずにすんでいるが、ミニ武将達が騒いでいることにお母さんが気づく可能性もこの先有り得る。
このミニ武将達がいついなくなってくれるのかわからない以上、ある程度のルールは必要。
ミニ武将といえどあの有名な武将達、私が何を心配しているかくらい気づいているのだろう。
仕方ないといった様子だが了承してくれた。
「だが、今はお前しかいないんだろ」
「うん。まぁそうだけど」
「なら、部屋で騒ぐのは問題ないな。部屋にはお前もいることだしな」
ずっと静かにしていてという約束にすればよかったと後悔してもすでに遅く、いつの間にか持ってきていたお酒を朝から飲み始める武将達。
今はお母さんも出掛けていて夕方までは帰らないので、まぁいいかと思い私はリビングに戻る。
流石にリビングまで声が届くことはなくほっと安堵しソファに座ると、何やら視線を感じ振り返る。
すると、いつの間にか隣に座っていた佐助の姿がそこにはあり、一体いつからいたのか尋ねると、私が起きてから佐助はずっと私の護衛していたという。
家の中で護衛なんて必要ないんじゃないかと言うが、佐助はただ、信玄の指示だからなと答える。
佐助は何故護衛をしているのか気になるが、聞いても答えてくれないのはわかっている。
なら、こんな指示をした張本人に話を聞くのが早いのだが、今は信玄もお酒を飲んでいるため、聞きに行ったとしても話にならないだろう。
仕方なくテレビをつけると、私は長かったドタバタの疲れを癒そうとのんびり過ごす。
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