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第零武将 始まりは一通のメール
1 始まりは一通のメール
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想いは時を越えると言うが、本当にそんなことがあるとは思っていない。
漫画やアニメの世界でもない、現代を生きる人にとって昔の想いが今の時代まで届くはずがないと思っているから。
「海月もこのアプリやってみなよ」
下校時間。
帰り道で友達が見せてきたスマホには、武将との恋愛アプリが表示されている。
歴史や武将に興味のない私にとってはどうでもいいことで、はいはいと適当に受け流す。
最近では、武将系のアプリや携帯ゲーム機のソフトを見掛けたり、歴女なんて言葉も聞く。
私からしてみれば、昔の人物の何がいいのかわからない。
そもそも、実際の恋愛でもないのに何故そこまで楽しめるのか不思議だ。
「そんなに面白いのかな」
単なる気まぐれだった。
家に帰り自室でスマホの電源を入れると、先程友達が見せてきたアプリをインストールする。
先ず最初に自分の名前を設定する画面になるが、名前を考えるのも面倒なため自分のフルネームを打ち込む。
次に表示されたのは、どの武将と恋をするか。
これも面倒で適当に選び、物語はスタート。
読み進めていくが、定番のトリップする主人公の物語。
ありきたりな内容だが、序盤のストーリーはなかなかに長め。
そろそろアンインストールしようかなと思っていたその時、丁度今日の物語は終了した。
「1日に決まった話数しか見れないわけね」
ここで物語の続きが気になる人は課金してしまうのだろうが、私は課金ではなくアンインストールしようとする。
だが、画面を見るとメールマークのところに1と表示されている。
始めたばかりのためお知らせか何かだろうと思いながらも気になりタップすると、件名に奈流へと書かれており、内容は『時を越え会いに行く』ただその一言。
このアプリのシステムなのかなと思いながらアプリを消し、また何時もの日々の始まり。
そう思っていたのだが、翌朝目を覚ました私の視線の先には、何故かミニ武将の姿があった。
人の布団の上に横一列に座る3人のミニ武将。
どうやら私はまだ眠っているようだと苦笑いを浮かべる。
「昨日の文は読んだか」
一人のミニ武将が喋りかけてきたため一瞬驚いてしまったが、文という言葉に心当たりがある。
もしかして、昨日のアプリに送られてきたメールのことなのではないかと尋ねてみると、武将は頷く。
「そうだ。それはワシが送った文だ」
「何言ってんだ。あれは俺様が送った文だ」
何やらもめだしたミニ武将達に煩いと怒鳴り付け静かにさせると、改めて話を聞く。
だが、3人があの文を出したと言って譲らない。
どうやらこの中にメールを送った人物がいるようだが、届いたのは一通。
そうなると、3人の内2人が嘘をついていることになるのだが、先程手紙の内容は話してしまったため誰が本当のことを言っているのか確認のしようがない。
「あ、そっか」
手をうち納得すると、3人の視線が私へと集まる。
ミニ武将達は、私が誰の言葉を信じるのかと緊迫した空気を纏う。
だが私はというと、これは夢なんだから寝てなかったことにしようと言い、再び布団の中へ。
すると、突然扉が勢いよく開かれ、部屋に大声が響く。
「アンタは何時まで寝てんのッ!! 高校生が親に起こしてもらうんじゃないわよ」
その声にミニ武将達は耳を塞ぎ、私が飛び起きるとお母さんは階段をおりていく。
ほっと胸を撫で下ろす私の瞳には、まだ3人のミニ武将の姿がある。
そしてふと目に入ったスマホの時刻は遅刻ギリギリ。
今はミニ武将よりも学校へ行かなければと慌てて着替えようとしたが、パジャマを脱ごうとする背に視線を感じ振り返る。
「我々のことは気にするでない」
「私達はただ見ているだけですから」
「俺様がしっかりみててやるからな」
結構ですとハッキリ口にし、近くにあったタオルをミニ武将の頭上に投げ、今のうちにサッと制服に着替えると家を飛び出した。
なんとも慌ただしい朝だが、あのミニ武将が夢でないことだけはわかってしまった。
だがそれよりも今は、遅刻しないかだけが心配だ。
なんとか遅刻ギリギリでセーフだった私に声をかけてきたのは、後ろの席の友達、美海だった。
美海は昨日あのアプリを教えてきた張本人であり、何か知っているのではないかと然り気無く聞いてみようとするが、ミニ武将が突然現れたなんて話したところで笑われて本気にされずおしまいだ。
ならどうすればいいのかだが、先ずは昨日のアプリのことを話すことにした。
あのアプリをインストールしたことを話すと、美海はキラキラとした瞳で食いついてくるが無理もない。
美海は武将好きであり、今までこの手のアプリやソフトは何度も薦められたが適当に受け流し私はやったことすらない。
そんな私が初めて武将のアプリをインストールしたと知れば、この反応は普通なのだろう。
だがこの話の目的はこの先にある。
「で、美海に聞きたいんだけど、最初の物語が終わった後にメールって来なかった?」
「メール? ああ、来たよ」
その反応に期待するが、美海に来たメールはお知らせメール。
それ以外に変なメールは来なかったか尋ねたが、それ以外は無し。
やはりあの変なメールとミニ武将達が現れたのは私だけのようだ。
一体あれは何なのか、家に帰ったらミニ武将達に問いただしてみようと思ったその時、誰かに見られている気がして、キョロキョロと周りを見るがとくにこちらを見ている人はいない。
不思議に思いながらもようやく下校時間になり、美海に一緒に帰ろうと誘われたが、今日は用事があるからと断りダッシュで家へ帰る。
急ぐのはミニ武将達に詳しい話を聞きたいからでもあるが、今日1日、誰かの視線を感じたからでもある。
家に帰ってきた私が自分の部屋の扉をあけると、ベッドで顔を紅くしながら何かを飲んでいるミニ武将達の姿がある。
何を飲んでいるのかとミニ武将達に近づくと、お酒臭いことに気づく。
漫画やアニメの世界でもない、現代を生きる人にとって昔の想いが今の時代まで届くはずがないと思っているから。
「海月もこのアプリやってみなよ」
下校時間。
帰り道で友達が見せてきたスマホには、武将との恋愛アプリが表示されている。
歴史や武将に興味のない私にとってはどうでもいいことで、はいはいと適当に受け流す。
最近では、武将系のアプリや携帯ゲーム機のソフトを見掛けたり、歴女なんて言葉も聞く。
私からしてみれば、昔の人物の何がいいのかわからない。
そもそも、実際の恋愛でもないのに何故そこまで楽しめるのか不思議だ。
「そんなに面白いのかな」
単なる気まぐれだった。
家に帰り自室でスマホの電源を入れると、先程友達が見せてきたアプリをインストールする。
先ず最初に自分の名前を設定する画面になるが、名前を考えるのも面倒なため自分のフルネームを打ち込む。
次に表示されたのは、どの武将と恋をするか。
これも面倒で適当に選び、物語はスタート。
読み進めていくが、定番のトリップする主人公の物語。
ありきたりな内容だが、序盤のストーリーはなかなかに長め。
そろそろアンインストールしようかなと思っていたその時、丁度今日の物語は終了した。
「1日に決まった話数しか見れないわけね」
ここで物語の続きが気になる人は課金してしまうのだろうが、私は課金ではなくアンインストールしようとする。
だが、画面を見るとメールマークのところに1と表示されている。
始めたばかりのためお知らせか何かだろうと思いながらも気になりタップすると、件名に奈流へと書かれており、内容は『時を越え会いに行く』ただその一言。
このアプリのシステムなのかなと思いながらアプリを消し、また何時もの日々の始まり。
そう思っていたのだが、翌朝目を覚ました私の視線の先には、何故かミニ武将の姿があった。
人の布団の上に横一列に座る3人のミニ武将。
どうやら私はまだ眠っているようだと苦笑いを浮かべる。
「昨日の文は読んだか」
一人のミニ武将が喋りかけてきたため一瞬驚いてしまったが、文という言葉に心当たりがある。
もしかして、昨日のアプリに送られてきたメールのことなのではないかと尋ねてみると、武将は頷く。
「そうだ。それはワシが送った文だ」
「何言ってんだ。あれは俺様が送った文だ」
何やらもめだしたミニ武将達に煩いと怒鳴り付け静かにさせると、改めて話を聞く。
だが、3人があの文を出したと言って譲らない。
どうやらこの中にメールを送った人物がいるようだが、届いたのは一通。
そうなると、3人の内2人が嘘をついていることになるのだが、先程手紙の内容は話してしまったため誰が本当のことを言っているのか確認のしようがない。
「あ、そっか」
手をうち納得すると、3人の視線が私へと集まる。
ミニ武将達は、私が誰の言葉を信じるのかと緊迫した空気を纏う。
だが私はというと、これは夢なんだから寝てなかったことにしようと言い、再び布団の中へ。
すると、突然扉が勢いよく開かれ、部屋に大声が響く。
「アンタは何時まで寝てんのッ!! 高校生が親に起こしてもらうんじゃないわよ」
その声にミニ武将達は耳を塞ぎ、私が飛び起きるとお母さんは階段をおりていく。
ほっと胸を撫で下ろす私の瞳には、まだ3人のミニ武将の姿がある。
そしてふと目に入ったスマホの時刻は遅刻ギリギリ。
今はミニ武将よりも学校へ行かなければと慌てて着替えようとしたが、パジャマを脱ごうとする背に視線を感じ振り返る。
「我々のことは気にするでない」
「私達はただ見ているだけですから」
「俺様がしっかりみててやるからな」
結構ですとハッキリ口にし、近くにあったタオルをミニ武将の頭上に投げ、今のうちにサッと制服に着替えると家を飛び出した。
なんとも慌ただしい朝だが、あのミニ武将が夢でないことだけはわかってしまった。
だがそれよりも今は、遅刻しないかだけが心配だ。
なんとか遅刻ギリギリでセーフだった私に声をかけてきたのは、後ろの席の友達、美海だった。
美海は昨日あのアプリを教えてきた張本人であり、何か知っているのではないかと然り気無く聞いてみようとするが、ミニ武将が突然現れたなんて話したところで笑われて本気にされずおしまいだ。
ならどうすればいいのかだが、先ずは昨日のアプリのことを話すことにした。
あのアプリをインストールしたことを話すと、美海はキラキラとした瞳で食いついてくるが無理もない。
美海は武将好きであり、今までこの手のアプリやソフトは何度も薦められたが適当に受け流し私はやったことすらない。
そんな私が初めて武将のアプリをインストールしたと知れば、この反応は普通なのだろう。
だがこの話の目的はこの先にある。
「で、美海に聞きたいんだけど、最初の物語が終わった後にメールって来なかった?」
「メール? ああ、来たよ」
その反応に期待するが、美海に来たメールはお知らせメール。
それ以外に変なメールは来なかったか尋ねたが、それ以外は無し。
やはりあの変なメールとミニ武将達が現れたのは私だけのようだ。
一体あれは何なのか、家に帰ったらミニ武将達に問いただしてみようと思ったその時、誰かに見られている気がして、キョロキョロと周りを見るがとくにこちらを見ている人はいない。
不思議に思いながらもようやく下校時間になり、美海に一緒に帰ろうと誘われたが、今日は用事があるからと断りダッシュで家へ帰る。
急ぐのはミニ武将達に詳しい話を聞きたいからでもあるが、今日1日、誰かの視線を感じたからでもある。
家に帰ってきた私が自分の部屋の扉をあけると、ベッドで顔を紅くしながら何かを飲んでいるミニ武将達の姿がある。
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