101 / 104
妖精魔法学校の女神と先生《騎士》/テーマ:私にしか出来ないこと
2 妖精魔法学校の女神と先生《騎士》
しおりを挟む
その後、私はワルダー先生からいろんな話を聞かされた。
まずワルダー先生の役割は、女神である私に魔法の使い方を教えること。
普通なら精霊は一体との契約だが、全属性を呼び出した女神は全てと契約をする。
それは、全属性を扱えるようにならなくてはいけないということでもある。
そのため、全属性を使うことのできる人物が教えることに適している。
だが、女神以外に全属性を使える人間などおらず、だからといって属性ごとに先生を変えるのも効率が悪い。
そんな中ただ一人、全属性を使える人間が女神以外にも存在した。
それがワルダー先生の家系。
ワルダー先生の家系は代々一人の男児しか生まれることはなく、どれだけ子供を授かりたくてもそれ以上の子が生をなしたことはない。
そしてその男児こそ、女神以外に全属性が使える人物。
先生が読んだ書物によると、最初に全属性が出た女生徒のときは、その場にいた先生がいつも通りに一人の精霊と契約をするように言った。
だがその時、光の精霊が「女神に選ばれし者は、来たる災いに備え全精霊と契約を」と言い、女生徒は契約を結ぶことになった。
そしてもう一人、全属性を扱う人物が誕生して同じく契約を結んだ男子生徒。
その男子生徒に光の精霊が伝えた言葉は「騎士となり女神に仕え共に戦う者よ。全精霊と契約を」だった。
同時に男女の全属性使いが誕生したわけだが『災い』という言葉に警戒した先生達は、精霊の言った言葉通り男を女生徒の騎士として仕えさせた。
その男子生徒こそがワルダー先生のご先祖様であり、騎士としての使命は今も続いている。
女神はいつ現れるのかもわからないのに、ワルダー先生の家系だけは騎士としての使命が続く。
勝手に決められた人生を、いつ現れるかもわからない女神のために捧げ続けるのはどれだけ大変だったかを考えると胸が苦しくなる。
女神と違って先生の家系は、生まれたときから運命が決まってしまう。
「それで先生は女神である私にそんな粗暴な態度を……」
「は? 何言ってんだ。俺は俺だ。何か勘違いしてるみてーだが、俺は使命に縛られる気はねえ。だが災いなんてごめんだからな、女神が出てきちまった以上は使命とやらをやってやるだけだ」
その態度は先生そのもので、使命とかそんな環境で捻くれたんじゃなかったんだと知り尚更溜息を吐きたくなる。
なんか嫌な人の時に女神になってしまったなとは思うものの、先生の言う通り確かに災いなんて嫌だ。
私に何ができるのか、一体どんなことがこの先起こるのかはわからないけど、これは女神に選ばれた私にしかできないこと。
先生にしか騎士が出来ないのと同じように。
「いきなり女神なんて言われてどうしたらいいのかわかりませんでしたが、私は自分にしかできない事をします。なので、これからよろしくお願いします」
ソファから立ち上がり頭を下げると、何かが上に乗せられ顔を上げれば「任せとけ」と言いながら、ニッと笑うワルダー先生の顔が瞳に映り胸がドキッとする。
粗暴で嫌な人に思えたけど、本当はいい人なのかもと思ったのも束の間。
今入学したばかりの私にその日から精霊魔法の扱い方を叩き込まれた。
出来ないと「アホか」とか言われ、早くも心が折れそうになる。
こんな人を一瞬でもいい人なんて思った自分こそ先生の言う通りアホだ。
でも、諦めるわけにはいかない。
世界に災いが起きたとき何も出来なかったら絶対後悔するから。
「だからちげーっつの。精神集中させて使いたい属性の精霊をイメージしろ」
「してますよ! 入学したばかりなのにそんなすぐにできるはずないですよ」
こんなやり取りが数時間続いたが、結局その日魔法は使えず「のろま」と先生に言われた。
見た目を見る限り二十歳くらいでそこまで年も変わらなそうなのにこの暴言の数々。
イライラしながらも先生に、魔法学校での私の部屋に案内された。
他の生徒達は皆一緒の敷地内にある寮生活だけど、私は校内にある女神専用の部屋を与えられた。
そこは長く使われていないからか扉を開けた瞬間埃っぽい。
もう夜なのに、これでは眠ることすらできない。
先ずは掃除をと思ったとき、騎士の存在を思い出し声をかけようとすれば、そこに先生の姿はない。
「逃げられた。手伝ってくれてもいいのに」
ブツブツと文句を言いながら、取り敢えず今日のところは眠れるようにベッドとお風呂、あとは他の簡単な掃除だけ済ませお風呂に入る。
明日は先生を捕まえて掃除を手伝わせようと湯船に浸かっていると、先生の声が聞こえた。
まさかねと思いながら耳を澄ませるが、やはり声なんて聞こえない。
気のせいだと思いお風呂から出てタオルを体に巻く。
寝間着はベッドの上に置いてあるから、私はそのまま部屋に直行。
まずワルダー先生の役割は、女神である私に魔法の使い方を教えること。
普通なら精霊は一体との契約だが、全属性を呼び出した女神は全てと契約をする。
それは、全属性を扱えるようにならなくてはいけないということでもある。
そのため、全属性を使うことのできる人物が教えることに適している。
だが、女神以外に全属性を使える人間などおらず、だからといって属性ごとに先生を変えるのも効率が悪い。
そんな中ただ一人、全属性を使える人間が女神以外にも存在した。
それがワルダー先生の家系。
ワルダー先生の家系は代々一人の男児しか生まれることはなく、どれだけ子供を授かりたくてもそれ以上の子が生をなしたことはない。
そしてその男児こそ、女神以外に全属性が使える人物。
先生が読んだ書物によると、最初に全属性が出た女生徒のときは、その場にいた先生がいつも通りに一人の精霊と契約をするように言った。
だがその時、光の精霊が「女神に選ばれし者は、来たる災いに備え全精霊と契約を」と言い、女生徒は契約を結ぶことになった。
そしてもう一人、全属性を扱う人物が誕生して同じく契約を結んだ男子生徒。
その男子生徒に光の精霊が伝えた言葉は「騎士となり女神に仕え共に戦う者よ。全精霊と契約を」だった。
同時に男女の全属性使いが誕生したわけだが『災い』という言葉に警戒した先生達は、精霊の言った言葉通り男を女生徒の騎士として仕えさせた。
その男子生徒こそがワルダー先生のご先祖様であり、騎士としての使命は今も続いている。
女神はいつ現れるのかもわからないのに、ワルダー先生の家系だけは騎士としての使命が続く。
勝手に決められた人生を、いつ現れるかもわからない女神のために捧げ続けるのはどれだけ大変だったかを考えると胸が苦しくなる。
女神と違って先生の家系は、生まれたときから運命が決まってしまう。
「それで先生は女神である私にそんな粗暴な態度を……」
「は? 何言ってんだ。俺は俺だ。何か勘違いしてるみてーだが、俺は使命に縛られる気はねえ。だが災いなんてごめんだからな、女神が出てきちまった以上は使命とやらをやってやるだけだ」
その態度は先生そのもので、使命とかそんな環境で捻くれたんじゃなかったんだと知り尚更溜息を吐きたくなる。
なんか嫌な人の時に女神になってしまったなとは思うものの、先生の言う通り確かに災いなんて嫌だ。
私に何ができるのか、一体どんなことがこの先起こるのかはわからないけど、これは女神に選ばれた私にしかできないこと。
先生にしか騎士が出来ないのと同じように。
「いきなり女神なんて言われてどうしたらいいのかわかりませんでしたが、私は自分にしかできない事をします。なので、これからよろしくお願いします」
ソファから立ち上がり頭を下げると、何かが上に乗せられ顔を上げれば「任せとけ」と言いながら、ニッと笑うワルダー先生の顔が瞳に映り胸がドキッとする。
粗暴で嫌な人に思えたけど、本当はいい人なのかもと思ったのも束の間。
今入学したばかりの私にその日から精霊魔法の扱い方を叩き込まれた。
出来ないと「アホか」とか言われ、早くも心が折れそうになる。
こんな人を一瞬でもいい人なんて思った自分こそ先生の言う通りアホだ。
でも、諦めるわけにはいかない。
世界に災いが起きたとき何も出来なかったら絶対後悔するから。
「だからちげーっつの。精神集中させて使いたい属性の精霊をイメージしろ」
「してますよ! 入学したばかりなのにそんなすぐにできるはずないですよ」
こんなやり取りが数時間続いたが、結局その日魔法は使えず「のろま」と先生に言われた。
見た目を見る限り二十歳くらいでそこまで年も変わらなそうなのにこの暴言の数々。
イライラしながらも先生に、魔法学校での私の部屋に案内された。
他の生徒達は皆一緒の敷地内にある寮生活だけど、私は校内にある女神専用の部屋を与えられた。
そこは長く使われていないからか扉を開けた瞬間埃っぽい。
もう夜なのに、これでは眠ることすらできない。
先ずは掃除をと思ったとき、騎士の存在を思い出し声をかけようとすれば、そこに先生の姿はない。
「逃げられた。手伝ってくれてもいいのに」
ブツブツと文句を言いながら、取り敢えず今日のところは眠れるようにベッドとお風呂、あとは他の簡単な掃除だけ済ませお風呂に入る。
明日は先生を捕まえて掃除を手伝わせようと湯船に浸かっていると、先生の声が聞こえた。
まさかねと思いながら耳を澄ませるが、やはり声なんて聞こえない。
気のせいだと思いお風呂から出てタオルを体に巻く。
寝間着はベッドの上に置いてあるから、私はそのまま部屋に直行。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる